高齢者におけるRSウイルスのプレフュージョンF蛋白ワクチンの効果はどのくらい?(AReSVi-006試験; N Engl J Med. 2023)

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根拠となった試験の抄録

背景:呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、高齢者における急性呼吸器感染症、下気道疾患、臨床合併症、および死亡の重要な原因である。現在、RSV感染症に対して認可されたワクチンは存在しない。

方法:現在進行中の国際プラセボ対照第3相試験において、60歳以上の成人を、RSVシーズン前にAS01EアジュバントRSV前駆体Fタンパク質ベースの候補ワクチン(RSVPreF3 OA)またはプラセボを単回投与する群に1:1の割合でランダム抽出した。
主要目的は、RSVの1シーズン中に、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で確認されたRSV関連の下気道疾患に対するRSVPreF3 OAワクチン1回接種のワクチン効果を示すことだった。主要目的を達成するための基準は、有効性推定値の信頼区間の下限が20%以上であることであった。重症RSV関連下気道疾患およびRSV関連急性呼吸器感染症に対する有効性が評価され、RSVサブタイプ(AおよびB)に応じた解析が実施された。また、安全性についても評価した。

結果:合計24,966例の参加者が、RSVPreF3 OAワクチン(12,467例)またはプラセボ(12,499例)の1回接種を受けた。追跡調査期間中央値6.7ヵ月間で、RT-PCRで確認されたRSV関連下気道疾患に対するワクチン有効率は82.6%(96.95%信頼区間[CI] 57.9~94.1)で、RSV関連の下気道疾患の発症はワクチン群で7例(1.0/1,000参加者・年)、プラセボ群で40例(5.8/1,000参加者・年)だった。ワクチンの有効性は、RSVに関連する重症下気道疾患(臨床症状または治験責任医師による評価)に対して94.1%(95%CI 62.4~99.9)、RSVに関連する急性呼吸器感染症に対して71.7%(95%CI 56.2~82.3)だった。ワクチンの有効性は、RSV AおよびB亜型に対して同様であった(RSV関連の下気道疾患に対する効果:RSV関連下気道疾患 84.6%および80.9%、RSV関連急性呼吸器感染症 71.9%および70.6%)。様々な年齢層や併存する疾患を有する参加者において、高いワクチン効果が観察された。RSVPreF3 OAワクチンはプラセボよりも反応性が高かったが、報告を求めたほとんどの有害事象は一過性で、重症度は軽度から中等度であった。重篤な有害事象および潜在的な免疫介在性疾患の発生率は、両群で同様であった。

結論:RSVPreF3 OAワクチンの単回投与は、RSVサブタイプや基礎的な共存疾患の有無にかかわらず、60歳以上の成人において、許容できる安全性プロファイルを有し、RSV関連の急性呼吸器感染症および下気道疾患、RSV関連の重症下気道疾患の予防になった。

資金提供:グラクソ・スミスクライン・バイオロジクス社

ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04886596

引用文献

Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults
Alberto Papi et al. PMID: 36791160 DOI: 10.1056/NEJMoa2209604
N Engl J Med. 2023 Feb 16;388(7):595-608. doi: 10.1056/NEJMoa2209604.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36791160/

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