根拠となった試験の抄録
はじめに:直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は半減期が12時間程度と短いため、DOAC治療の空白期間が短いだけでも抗凝固作用が低下し、有害な臨床転帰のリスクが増加する可能性がある。我々は、心房細動を有するDOAC治療の空白がもたらす臨床的影響を評価し、その潜在的予測因子を同定することを目的とした。
材料と方法:このレトロスペクティブ・コホート研究では、2018年の韓国全国請求データベースからAFを有する65歳以上のDOAC使用者を対象とした。DOAC治療のギャップは、リフィル処方箋の期限から1日以上後にDOACの請求がないことと定義した。時間変動解析法を用いた。
主要アウトカムは、死亡と虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作/全身性塞栓症を含む血栓性イベントの複合であった。ギャップの潜在的な予測因子として、社会人口統計学的因子および臨床的因子が挙げられた。
結果:11,042例のDOAC使用者のうち、4,857例(44.0 %)が少なくとも1回のギャップを有していた。標準的な国民健康保険、医療機関の非都心部、肝臓病、慢性閉塞性肺疾患、がん、認知症の既往、利尿薬や非経口薬の使用は、ギャップのリスク上昇と関連していた。一方、高血圧、虚血性心疾患、脂質異常症の既往は、ギャップのリスク低下と関連していた。DOAC治療の空白期間が短いと、空白期間がない場合と比較して、主要転帰のリスクが高いことに有意に関連した(ハザード比 4.04、95%信頼区間 2.95〜5.52)。
結論:この予測因子は、ギャップを防ぐための追加的なサポートを提供するために、リスクの高い患者を特定するために利用される可能性がある。
キーワード:心房細動、直接作用型経口抗凝固薬、高齢者、虚血性脳卒中、血栓症
引用文献
Clinical outcomes and predictors of a gap in direct-acting oral anticoagulant therapy in the elderly: A time-varying analysis of a nationwide cohort study
Minji Jung et al. PMID: 37121013 DOI: 10.1016/j.thromres.2023.04.018
Thromb Res. 2023 Apr 25;226:61-68. doi: 10.1016/j.thromres.2023.04.018. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37121013/
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