【Up To Date for HIF-PH阻害薬】HIF-PH阻害薬の比較(ナラティブレビュー; 最終年月:2021年5月)

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CKDに伴う貧血治療の背景

これまでは、慢性腎臓病(CKD)や透析に伴う貧血の治療としては、赤血球増殖因子刺激製剤(ESA)による治療が中心でしたが、ESA治療において、ESA低反応性の症例が認められることや、血栓塞栓リスク、赤芽球癆リスクなどの報告があるため、貧血に対する新たな治療戦略が求められてきました。

そこで2019年に登場したのが、低酸素誘発因子(HIF)プロリルヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害薬です。HIF-PH阻害薬はHIFを安定化させ、エリスロポエチンや赤血球の産生を刺激する薬剤です。HIF-PH阻害薬についてもESA同様、米国及び英国では、有効性だけでなくMACE*についても検証するための臨床試験の実施を求めています。

*MACE:あらゆる原因による死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合。これら3つのアウトカムが主であるが、試験により異なる場合がある。

2021年に、MACEをアウトカムとしたバダデュスタットの臨床試験(PRO2TECT試験)が実施されたため、これまでの情報をまとめました。

HIF-PH阻害薬の比較表

ロキサデュスタット(エベレンゾ®️)

CVOTはいくつかの試験が実施中。

これまでに実施された第3相試験の統合解析(n=1,530)によれば、エポエチン アルファよりもMACE、MACE+が有意に低下しました。

  • MACE :HR 0.70(95%CI 0.51~0.96)
  • MACE+:HR 0.66(95%CI 0.50~0.89)
  • 総死亡 :HR 0.76(95%CI 0.52~1.11)

バダデュスタット(バフセオ®️)

CVOTとして、PRO2TECT試験が実施されました。保存期CKD患者(n=3,476)では、MACEについて、ダルベポエチン アルファに対する非劣性(非劣性マージンは1.25)を示すことができませんでした。

MACE:HR 1.17(95%CI 1.01~1.36)

✅まとめ✅ HIF-PH阻害薬において、有効性・安全性について大きな差はなさそう。ただし、バダデュスタットについて心血管イベントのリスク増加が懸念される。

✅まとめ✅ 心血管イベントに対する安全性試験の結果が待たれるものの、現時点においては相互作用や服用回数も踏まえて、バダデュスタット以外を選択したほうが良いかもしれない。

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