早産児の脳内酸素供給に対する輸血赤血球は新鮮な方が良いですか?(RCT; JAMA Pediatr. 2022)

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輸血赤血球は14以内の保存したものと新鮮なもの、どちらが良いのか?

白血球にガンマ線を照射すると、輸血に伴う移植片対宿主病は予防できますが、赤血球の保存病変形成は悪化してしまいます。輸血必要量の多い早産児において、新鮮な照射赤血球が照射・保存赤血球よりも有効であるかどうかは不明です。

そこで今回は、貧血を有する早産児に対して、放射線照射された新鮮赤血球と同じく放射された保存赤血球の輸血が脳内酸素供給を改善するかどうか検討した二重盲検ランダム化比較試験の結果をご紹介します。

この単施設二重盲検概念実証ランダム化臨床試験は、ニュージーランド・ウェリントンのウェリントン地域病院の新生児集中治療室において、2017年12月1日から2018年11月30日の間に実施されました。試験参加者は、生後14日以上経過し、貧血を有する早産児(出生時妊娠34週未満)でした。試験参加者は緊急ではない輸血を受け、これらのエピソードを介入群(輸血当日に照射したばかりの赤血球の輸血を受けた群)と対照群(照射して14日まで保存した赤血球の輸血を受けた群)にランダムに割り付けられました。

本試験の主要評価項目は、脳局所酸素飽和度(crSO2)のベースライン(輸血直前)から輸血直後までの変化でした。

試験結果から明らかになったことは?

合計42例の乳児(平均[SD]出生後年齢 26[10]週と3日;男児 29例[69%])が試験に登録され、64回の輸血エピソードを受け、介入群(n=31)または対照群(n=33)にランダム化されました。

新鮮赤血球 vs. 保存赤血球
脳局所酸素飽和度
(crSO2)の平均増加
2.0%
(95%CI 1.2~2.8%
脳局所酸素飽和度
(cFTOE)の平均減少
0.02
(95%CI 0.01~0.04

対照群の乳児と比較して、介入群の乳児は、輸血直後に共変量で調整した crSO2の平均増加(2.0%、95%CI 1.2~2.8%)および cFTOEの平均減少(0.02、95%CI 0.01~0.04) がみられました。これらの差は、輸血後120時間または5日間まで維持されました。対照群の乳児では、いずれの追跡時点でもcrSO2またはcFTOEの平均的な変化はごくわずかでした。

コメント

新生児に対する赤血球の輸血において、鮮度による脳内酸素供給量の影響について充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、照射済み新鮮赤血球の輸血は、照射済み保存赤血球の輸血に比べ、輸血後少なくとも5日間は脳内酸素供給においてわずかながら優位に働くことが示されましたが、その差は2%と非常にわずかでした。また、単施設の小規模な検証結果ですので、より大規模な研究による追試が求められると考えられます。とはいえ、試験デザインおよび得られた結果から、保存赤血球の使用が有害となる可能性は低いと考えられます。少なくとも14以内であれば保存赤血球と新鮮赤血球に大きな差はないようです。

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✅まとめ✅ 照射済み新鮮赤血球の輸血は、照射済み保存赤血球の輸血に比べ、輸血後少なくとも5日間は脳内酸素供給においてわずかながら優位に働くことが明らかとなったが、その差はわずかであり、より大規模な研究による追試が求められる。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:白血球にガンマ線を照射すると、輸血に伴う移植片対宿主病は予防できるが、赤血球の保存病変形成は悪化する。輸血必要量の多い早産児において、新鮮な照射赤血球が照射・保存赤血球よりも有効であるかどうかは不明である。

目的:貧血を有する早産児に対して、放射線照射された新鮮赤血球と同じく放射された保存赤血球の輸血が脳内酸素供給を改善するかどうかを検討する。

試験デザイン、設定、参加者:この単施設二重盲検概念実証ランダム化臨床試験は、ニュージーランド・ウェリントンのウェリントン地域病院の新生児集中治療室において、2017年12月1日から2018年11月30日の間に実施された。参加者は、生後14日以上経過し、貧血を有する早産児(出生時妊娠34週未満)であった。参加者は緊急ではない輸血を受け、これらのエピソードを介入群(輸血当日に照射したばかりの赤血球の輸血を受けた群)と対照群(照射して14日まで保存した赤血球の輸血を受けた群)にランダムに割り付けた。データは評価可能集団法を用いて解析した。

介入:照射したばかりの赤血球の輸血

主要アウトカムと測定法:主要評価項目は、脳局所酸素飽和度(crSO2)のベースライン(輸血直前)から輸血直後までの変化とした。副次的評価項目は、輸血直後、24時間後、120時間後または5日後の脳局所酸素飽和度(cFTOE)の変化とした。近赤外分光法を用いて、盲検化された臨床医が測定した。共変量調整線形混合モデルを用いて、平均治療効果を定量化し、一部の乳児における複数の輸血を考慮した。

結果:合計42例の乳児(平均[SD]出生後年齢 26[10]週と3日;男児 29例[69%])が試験に登録され、64回の輸血エピソードを受け、介入群(n=31)または対照群(n=33)にランダム化された。
対照群の乳児と比較して、介入群の乳児は、輸血直後に共変量で調整した crSO2の平均増加(2.0%、95%CI 1.2~2.8%)および cFTOEの平均減少(0.02、95%CI 0.01~0.04) がみられた。これらの差は、輸血後120時間または5日間まで維持された。対照群の乳児では、いずれの追跡時点でもcrSO2またはcFTOEの平均的な変化はごくわずかであった。

結論と関連性:本試験の結果、照射済み新鮮赤血球の輸血は、照射済み保存赤血球の輸血に比べ、輸血後少なくとも5日間は脳内酸素供給においてわずかながら優位に働くことが明らかとなった。赤血球成分のオンデマンド照射は、レシピエントへの酸素供給を最適化するために考慮されるかもしれないが、この生理学的所見はさらに研究を要する。

臨床試験登録:ANZCTR Identifier: ACTRN12617001581358.

引用文献

Effects of Freshly Irradiated vs Irradiated and Stored Red Blood Cell Transfusion on Cerebral Oxygenation in Preterm Infants: A Randomized Clinical Trial
Maria Saito-Benz et al. PMID: 35344031 PMCID: PMC8961404 (available on 2023-03-28) DOI: 10.1001/jamapediatrics.2022.0152
JAMA Pediatr. 2022 Mar 28;e220152. doi: 10.1001/jamapediatrics.2022.0152. Online ahead of print.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35344031/

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