Mechanistic studies on transcorneal permeation of pilocarpine
J W Sieg et al.
J Pharm Sci. 1976 Dec;65(12):1816-22.
doi: 10.1002/jps.2600651230.
PMID: 1032669
概要
雄性アルビノウサギの角膜を用いて、ピロカルピン浸透メカニズムを放射化学的手法を用いて研究した。
その結果、ピロカルピンの角膜への浸透のメカニズムが明らかになった。また、組織切除法を用いて、無傷角膜の上皮とストロマ内皮の薬物濃度を初めてモニターした。さらに、角膜の取り込み率を評価するために、新しい注入後洗浄法を考案した。
その結果、角膜上皮は薬物浸透の障壁として、また無傷角膜内の薬物の貯蔵庫として、二重の役割を果たしていることが明らかになった。
ピロカルピンの経角的なフラックスはデータが示すよりも遅く、以前に過大評価されていた見かけの吸収速度定数は、吸収部位で起こる平行した排泄過程に起因するものであった。
角膜透過の全体的なメカニズムを生成するために、薬物動態パラメータを各組織について決定した。
結果の詳細
・薬剤は少なくとも5分で最大濃度に達した。
・無傷角膜におけるピロカルピンの相対的な分布をFIgure 3に示す。これは、ピロカルピンが上皮に集中していることを示している。この割合は、上皮がより長い時間、stroma(間質)と接触したままであるために減少した。
・これらの角膜研究から明らかなように、上皮(の機能)は、ピロカルピンの経角膜フラックス(transcorneal flux)のメカニズムにおける浸透の障壁として、また無傷の角膜における薬物貯蔵庫として、二重の役割を果たしていることがわかった。
コメント
点眼薬を併用する際に、点眼間隔を5分(薬剤によっては10分)空けることが推奨されています。
薬剤師が患者へ服薬指導する際にも、この “5分” について指導します。果たして、この5分の根拠はどこにあるのでしょうか?そして、なぜ5分なのでしょうか?この臨床疑問に対する答えらしい情報について、論文を用いて解説していきます。
本論文では、ウサギの角膜を用いてピロカルピンの浸透、角膜内濃度について検証しています。その結果、ピロカルピンの角膜内濃度は5分で最大に達しました。このデータを基に、5分間隔を推奨しているようです。
ウサギでの検証結果であることから、少しモヤモヤしますが、倫理的観点からヒトでの検証は難しいと考えられます。したがって、今回の検証結果を参考にするしかないように考えられます。
角膜の細胞間隙の大きさや、各薬剤の分子量や薬液の粘度が、角膜浸透にどのような影響を及ぼすのかは、本試験結果からだけでは不明です。
引き続き追っていきたいテーマです。
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