非代償性肝硬変患者におけるインデラル®️あるいはアーチスト®️の効果はどのくらいですか?(DB-RCT; PREDESCI trial; Lancet. 2019)

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β blockers to prevent decompensation of cirrhosis in patients with clinically significant portal hypertension (PREDESCI): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial.

Randomized controlled trial

Villanueva C, et al. Lancet. 2019.

ClinicalTrials.gov, number NCT01059396

PMID: 30910320

FUNDING: Spanish Ministries of Health and Economy.

【背景】

肝硬変の臨床的代償不全は予後不良と関連している。肝静脈圧勾配(hepatic venous pressure gradient, HVPG)≥10mm Hgで定義される臨床的に重要な門脈圧亢進症(Clinically significant portal hypertension, CSPH)は、代償不全の最も強力な予測因子である。

本研究の目的は、βブロッカーでHVPGを低下させると、CSPHによる代償性肝硬変の代償不全または死亡リスクが低下するかどうかを評価することだった。

【方法】

門脈圧亢進症による肝硬変の代償不全を防ぐためのβ遮断薬に関する本研究(PREDESCI)は、スペインの8つの病院で行われた研究者主導の二重盲検ランダム化比較試験だった。

高リスクかつ静脈瘤のない代償性肝硬変およびCSPHの患者を登録した。すべての参加者は、静脈内プロプラノロールに対する急性HVPG応答の評価を伴うHVPG測定を行った。

応答者(HVPG減少≥10%)は、プロプラノロール(1日2回最大160 mg)とプラセボ、および非応答者のカルベジロール(25 mg /日以下)とプラセボにランダムに割り当てられた。

用量は、非盲検タイトレーション期間中に個別に決定され、その後、集約化されたウェブベースシステムによる1:1の割り当てでランダム化が行われた。

主要エンドポイントは、肝硬変の代償不全(腹水、出血、または顕性脳症の発症として定義)または死亡の発生率だった。

代償性肝硬変による死亡は通常肝臓とは無関係であるため、競合イベントとして肝臓と無関係の死亡を考慮した治療意図分析(Intension-To-Treat, ITT)が行われた。

【知見】

・2010年1月18日から2013年7月31日までに、631人の患者が評価され、201人がランダムに割り当てられた。

・101人の患者がプラセボ、100人が積極的な治療を受けた(67人のプロプラノロールと33人のカルベジロール)。

・主要エンドポイントは、β遮断薬群の患者100人中16人(16%)に対して、プラセボ群の患者101人中27人(27%)に発生した。

★ハザード比[HR] =0.51, 95%CI 0.26〜0.97 , p =0.041)。

・この違いは、腹水の発生率の低下によるものだった。

★HR =0.44, 95%CI 0.20〜0.97, p =0.0297)。

・有害事象の全体的な発生率は両グループで同様だった。

・6人の患者(β遮断薬群では4人)に重篤な有害事象がみとめられた。

【結果の解釈】

β遮断薬による長期治療は、主に腹水の発生率を減らすことにより、代償性肝硬変およびCSPH患者の代償不全のない生存期間を延長できる。


【コメント】

アブストのみ。

二次エンドポイントである総死亡は HR =0.54 (95%CI 0·20〜1·48, P =0.23)と、減少傾向。

著者の結論は少し誇張しすぎな気もします。

ただ他の研究でインデラル®️(不応答例にはアーチスト®️)による肝硬変の進行抑制が示唆されていますので、長期的には死亡リスク低減もあるえるかもしれない。

続報に期待。

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