Intensive Diabetes Treatment and Cardiovascular Outcomes in Type 1 Diabetes: The DCCT/EDIC Study 30-Year Follow-up
Diabetes Care. 2016 May;39(5):686-93. doi: 10.2337/dc15-1990. Epub 2016 Feb 9.
PMID: 26861924
PMCID: PMC4839174
DOI: 10.2337/dc15-1990
Trial registration: ClinicalTrials.gov NCT00360815 NCT00360893.
目的
正常に近い血糖値の達成を目的とした糖尿病集中治療を早期に開始することで、1型糖尿病における血管性合併症の早期発症を減少させることができる。
我々は現在、糖尿病コントロールと合併症試験(Diabetes Control and Complications Trial:DCCT)において、従来の治療と比較した集中治療が、30年間の追跡調査で心血管疾患の発生率に影響を与えたかどうかを評価している。
研究デザインと方法
DCCTでは、1型糖尿病患者 1,441例を平均 6.5年間、集中治療と通常治療にランダム割り付けし、全体の93%を観察期間中のEDIC(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)試験でモニターした。
心血管疾患(非致死的心筋梗塞および脳卒中、心血管死亡、確定された狭心症、うっ血性心不全、冠動脈再灌流)は、標準化された尺度を用いて判定された。
結果
・DCCTおよびEDIC群の30年間の追跡期間中に、従来治療群102例では心血管疾患イベントが217件発生したのに対し、集中治療群82例では心血管疾患イベントが149件発生した。
・集中治療により、あらゆる心血管系疾患の発生率は30%(95%CI 7〜48;P=0.016)減少し、主要心血管系イベント(非致死的心筋梗塞、脳卒中、または心血管死)の発生率は32%(95%CI -3〜56;P=0.07)減少した。
・DCCT/EDIC期間中のHbA1c値の低下は、心血管疾患リスクに対する観察された治療効果のすべてを統計的に説明するものであった。
・アルブミン尿の増加もまた、独立して心血管疾患リスクと関連していた。
結論
DCCT期間中(6.5年)の集中的な糖尿病治療は、1型糖尿病における心血管疾患の発生率に対して長期的に有益な効果を有し、最大30年間持続する。
コメント
糖尿病の血糖コントロールは早期かつ厳格に行う?
糖尿病患者における厳格な血糖コントロールは、心血管イベントの発生を減少させることが示されています。糖尿病のタイプにより、心血管イベントの発生率やHbA1cの管理目標値が異なることから、更なる検証結果の集積が待たれます。近年では、2型糖尿病における早期からの厳格な血糖コントロールによるレガシー効果は数年であることが示されています。
厳格な血糖コントロールの方法は?
DCCTの間、厳格治療は、1日3回以上のインスリン注射または外付けインスリン注入ポンプの使用で構成され、用量調整は1日あたり少なくとも4回の自己血糖測定に基づいて行われたようです。
血糖の目標値は、食前に70~120 mg/dL、食後に180 mg/dLのピーク血糖値とし、HbA1cの目標値は6.05%(42.6 mmol/mol)であり、非糖尿病平均値より2SDs高かったようです。
併用療法では、インスリンを1日1~2回注射し、高血糖・低血糖の予防を超える血糖の目標値は設定されませんでした。
今回の試験から明らかになったことは?
さて、本試験結果によれば、厳格な血糖コントロールは、従来治療と比較して、心血管イベントの発生率を低下させました。また、この効果は30年間持続していることが示されました。少なくとも1型糖尿病においては、早期からの厳格な血糖コントロールの実施が有益なようです。2型糖尿病とは異なる結果ですが、追跡された患者数が100例前後と少ない点が気にかかります。直近に追跡可能であった患者数は20例前後であるため、これ以上の追跡は困難であると考えます。
他の類似研究に期待したい。
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