― インスリン グラルギンとの比較を検証した第Ⅲ相RCT(ACHIEVE-4試験; Lancet. 2026)
- 経口のGLP-1受容体作動薬が登場
- 臨床疑問
- 研究の背景
- 研究デザイン
- 主要評価項目と非劣性の判定基準
- 試験結果から明らかになったことは?
- 主要結果の一覧
- 批判的吟味(研究の限界)
- 臨床的な位置付け
- まとめ
- ✅まとめ✅ 非盲検ランダム化比較試験の結果、心血管リスクが高い2型糖尿病患者において、MACE-4に関してインスリン・グラルギンに対する非劣性が実証され、オルフォルグリプロンの心血管安全性は確認された。消化器系の有害事象は、オルフォルグリプロン投与において最も頻度の高い有害事象であり、治療中止の最も一般的な理由であった一方、臨床的に有意な低血糖は、インスリン・グラルギンと比較してオルフォルグリプロンでは発生頻度が低かった。
- 根拠となった試験の抄録
- 引用文献
経口のGLP-1受容体作動薬が登場
2型糖尿病の治療では、血糖管理だけでなく、心筋梗塞、脳卒中、心血管死などの予防が重要です。GLP-1受容体作動薬の一部では心血管イベントを減少させる効果が確立されていますが、従来の多くの製剤はペプチドであり、注射による投与が中心でした。
今回紹介するオルフォルグリプロン(orforglipron)は、非ペプチド性の経口GLP-1受容体作動薬です。
本研究では、心血管リスクの高い2型糖尿病患者を対象に、オルフォルグリプロンとインスリン グラルギンを比較し、主要心血管イベントに対する安全性を検証しました。
臨床疑問
心血管疾患または慢性腎臓病を有し、心血管リスクが高い過体重・肥満の2型糖尿病患者において、経口オルフォルグリプロンはインスリン グラルギンと比較して、主要心血管イベントの発生リスクについて非劣性を示すか?
消化器系有害事象や低血糖の発生頻度にどのような違いがあるのか?
研究の背景
GLP-1受容体作動薬は、血糖降下作用に加え、体重減少作用を有する薬剤群です。一部のペプチド性GLP-1受容体作動薬では、心血管アウトカム試験によって主要心血管イベントの抑制効果が示されています。
一方、非ペプチド性GLP-1受容体作動薬については、心血管安全性を検証したエビデンスが不足していました。オルフォルグリプロンは、1日1回の経口投与が可能な非ペプチド性GLP-1受容体作動薬です。
そこで本研究では、心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンを実薬対照として心血管安全性を検証しました。
重要なのは、この研究の主要な目的が、心血管イベントの減少効果(優越性)を証明することではなく、あらかじめ設定された基準に基づいて心血管安全性(非劣性)を確認することだった点です。
研究デザイン
本研究は、16か国・地域の317施設で実施された、イベント駆動型の第Ⅲ相ランダム化比較試験です。割付は1:1で、オルフォルグリプロン群とインスリン グラルギン群を比較しました。
PICO
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| P:対象患者 | 心血管リスクが高く、過体重または肥満を有する成人2型糖尿病患者 |
| I:介入 | オルフォルグリプロン1日1回経口投与、最大耐用量まで増量 |
| C:比較 | インスリン グラルギン1日1回皮下注射、用量調節あり |
| O:主要評価項目 | 心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症による入院の4項目複合アウトカム(MACE-4) |
| 研究デザイン | 多施設共同、非盲検、実薬対照RCT、非劣性試験 |
| 追跡期間 | 中央値2年間 |
対象患者の条件
主な組入れ条件は以下のとおりです。
- 2型糖尿病を有する成人
- HbA1c:7.0~10.5%
- BMI:25 kg/m²以上
- 心血管疾患または慢性腎臓病を有する
- メトホルミン、スルホニル尿素薬、SGLT2阻害薬のうち、最大3種類で治療中
つまり、比較的心血管リスクが低い一般的な2型糖尿病患者ではなく、すでに心血管疾患または慢性腎臓病を有する高リスク集団を対象としています。
投与方法
| オルフォルグリプロン群 | インスリン グラルギン群 |
|---|---|
| 1日1回経口投与 | 1日1回皮下注射 |
| 最大耐用量まで増量 | 血糖状態に応じて用量調節 |
| 最大36 mgカプセル(17.2 mg錠に相当) | 用量は個別調節 |
オルフォルグリプロンの「36 mgカプセルと17.2 mg錠」は、抄録に記載された製剤間の対応関係です。一般的な用量換算式として扱うものではありません。
主要評価項目と非劣性の判定基準
主要評価項目は、次の4つから構成されるMACE-4です。
- 心血管死
- 非致死性心筋梗塞
- 非致死性脳卒中
- 不安定狭心症による入院
非劣性の判定基準は、オルフォルグリプロン対インスリン グラルギンのハザード比について、両側95%信頼区間の上限が1.8未満と事前に設定されていました。
これは、統計学的に許容する最大の相対的リスク増加の境界を、ハザード比1.8に設定したという意味です。
なお、主要評価項目および安全性評価には、少なくとも1回試験薬を投与された参加者のデータが用いられ、治療遵守状況にかかわらず、試験終了または中止までのデータが評価されました。
試験結果から明らかになったことは?

結果① 患者背景
2023年5月1日から2024年9月5日までに、2,749人がランダム化されました。
| 患者背景 | 結果 |
|---|---|
| ランダム化患者数 | 2,749人 |
| オルフォルグリプロン群 | 1,371人 |
| インスリン グラルギン群 | 1,378人 |
| 平均年齢 | 63.1 ± 9.9歳 |
| 平均HbA1c | 8.2 ± 1.0% |
| 平均BMI | 33.0 ± 6.2 kg/m² |
| 心血管疾患あり | 2,362人(85.9%) |
| 慢性腎臓病あり | 1,033人(37.6%) |
| 追跡期間 | 中央値2年間 |
※心血管疾患と慢性腎臓病の両方を有する患者も含まれるため、両者の割合は合計100%にはなりません。
結果② 主要心血管イベント(MACE-4)

オルフォルグリプロン群では57人(4.2%)、インスリン グラルギン群では67人(5.0%)に主要心血管イベントが発生しました。ハザード比は0.84、95%信頼区間は0.59~1.20でした。
95%信頼区間の上限1.20が、事前に設定された非劣性マージン1.8を下回ったため、非劣性が示されました。
非劣性と優越性の違い
ハザード比と非劣性マージンの位置関係

(抄録のHRと95%信頼区間に基づく模式図。非劣性マージンは1.8)
この結果は、オルフォルグリプロンの心血管安全性を支持するものです。しかし、95%信頼区間は1をまたいでいるため、インスリン グラルギンより心血管イベントが少ないと統計学的に証明されたわけではありません。
また、非劣性のP<0.0001は、優越性を示すP値ではないため注意しましょう。
結果③ 消化器系有害事象
| 有害事象 | オルフォルグリプロン | インスリン グラルギン |
|---|---|---|
| 消化器系有害事象 | 851/1,371人(62.1%) | 193/1,355人(14.2%) |

(各群で少なくとも1回投与を受けた患者を分母とする報告値)
消化器系有害事象は、オルフォルグリプロン群で高頻度に認められました。両群の発生割合の単純な差は47.9パーセントポイントです。
著者らは、消化器系有害事象がオルフォルグリプロン群で最も頻度の高い有害事象であり、治療中止の主な理由であったと報告しています。
ただし、抄録には悪心、嘔吐、下痢などの個別事象や重症度別の発生率、治療中止率の具体的な数値が示されていません。
結果④ 臨床的に重要な低血糖
低血糖については、血糖値54 mg/dL未満の臨床的に重要な低血糖、または重症低血糖が評価されました。
| アウトカム | オルフォルグリプロン | インスリン グラルギン |
|---|---|---|
| 臨床的に重要な低血糖または重症低血糖 | 93/1,371人(6.8%) | 260/1,355人(19.2%) |

オルフォルグリプロン群では、インスリン グラルギン群と比較して低血糖の発生割合が低い結果でした。絶対差は12.4パーセントポイントです。ただし、オルフォルグリプロン群でも6.8%に低血糖が認められています。
本試験ではスルホニル尿素薬などの併用が認められていたため、低血糖をすべてオルフォルグリプロン単独の作用として解釈することはできません。
結果⑤ 全死亡
試験期間中、合計62人の死亡が報告されました。
| アウトカム | オルフォルグリプロン | インスリン グラルギン |
|---|---|---|
| 全死亡 | 19/1,371人(1.4%) | 43/1,355人(3.2%) |
数値上、オルフォルグリプロン群で死亡が少ない結果でした。しかし、全死亡についてのハザード比、95%信頼区間、優越性検定の結果は抄録に記載されていません。
したがって、この結果のみから「オルフォルグリプロンは死亡率を有意に低下させた」と結論することはできません。また、報告された死亡のうち、インスリン グラルギン群の1例を除いて治療との関連はないと判定されました。
なお、治療との関連性の判定と、群間の死亡リスクの因果的比較は別の問題です。
主要結果の一覧
| 評価項目 | オルフォルグリプロン | インスリン グラルギン | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACE-4 | 4.2% | 5.0% | HR 0.84(95%CI 0.59~1.20)、非劣性達成 |
| 消化器系有害事象 | 62.1% | 14.2% | オルフォルグリプロン群で高頻度 |
| 臨床的に重要な低血糖・ 重症低血糖 | 6.8% | 19.2% | オルフォルグリプロン群で低頻度 |
| 全死亡 | 1.4% | 3.2% | 数値上の差あり。優越性は未確認 |
批判的吟味(研究の限界)
1.非劣性マージン1.8は臨床的に妥当か?
本研究で最も重要な論点の一つが、非劣性マージンとしてHR 1.8が設定されていることです。これは、95%信頼区間の上限が1.8未満であれば非劣性と判定する設計です。言い換えると、試験設計上は相対的なハザード増加が相当に大きい場合でも、非劣性の判定条件を満たし得ます。
今回の結果では95%信頼区間の上限が1.20であり、1.8より十分低い値でした。それでも、非劣性マージンの設定根拠や、その臨床的妥当性については、原著の研究計画書を確認する必要があります。非劣性試験の場合、片側検定になるため、より厳格に片側97.5%で設定する方が適しています。
なお、95%信頼区間の上限1.20は、相対的なハザード増加が最大20%程度という値とも整合するため、完全にリスク増加の可能性が排除されたわけではありません。
2.心血管イベントの優越性は証明されていない
HRの点推定値は0.84であり、オルフォルグリプロンに有利な方向でした。しかし、95%信頼区間は0.59~1.20です。したがって、心血管イベントの減少効果を確立した研究ではありません。
本研究から言えるのは、あらかじめ設定された基準でインスリン グラルギンに対する心血管安全性の非劣性が示されたということです。
3.比較対象がインスリン グラルギンである
インスリン グラルギンは、血糖管理のために使用される基礎インスリン製剤です。一方、心血管イベントの抑制効果が確立されたGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬との直接比較ではありません。
インスリンについては心血管イベントの発生リスクを増加させる可能性が報告されています。また、インスリン製剤は、その特性から低血糖の発生リスクが高いことは疑いようのない事実です。このため、対象薬をインスリン製剤に設定することは、オルフォルグリプロンに有利な結果を得られやすくした可能性があります。
今回の結果から、オルフォルグリプロンが既存の心血管保護作用を有する薬剤と同等、あるいは低血糖の発生リスクにおいて優れていると結論することはできません。
4.非盲検試験である
本研究は非盲検試験です。経口薬と注射薬という投与経路の違いもあり、患者および医療者は割付を認識していました。試験デザインの記載から、少なくともダブルダミーは採用されていないと考えられます。
心筋梗塞や死亡などの比較的客観的なアウトカムでは影響が限定的な可能性がありますが、不安定狭心症による入院、消化器症状の報告、治療中止などには、盲検化されていないことによる影響が考えられます。
主要イベントの判定者が盲検化されていたかについては、抄録からは確認できません。
5.消化器系有害事象が多い
オルフォルグリプロン群の消化器系有害事象は62.1%であり、インスリン グラルギン群の14.2%と比較して大きな差がありました。
長期的な服薬継続を考えると、この忍容性の違いは重要です。ただし、治療中止に至った具体的な人数は抄録に記載されていないため、どの程度の患者が継続困難となったかは判断できません。
実臨床においては、どの程度の症状が、どのくらい持続するのか、ドロップアウトするのが全体でどのくらいか等、服薬指導後のフォローアップを行う上でおさえておきたいところです。
6.追跡期間は中央値2年間
心血管アウトカムを評価する試験として重要なデータですが、長期間の治療を必要とする2型糖尿病において、中央値2年間の追跡ではさらに長期の安全性は分かりません。
特に、長期投与に伴う有害事象や治療継続率については追加のデータが必要です。
7.対象集団の一般化可能性
本研究では、平均BMIが33 kg/m²で、約86%に既存の心血管疾患がありました。
したがって、BMIが比較的低い日本人の2型糖尿病患者や、心血管疾患・慢性腎臓病を有しない患者に、そのまま同じ結果を適用することには慎重であるべきです。
また、抄録には日本人参加者の人数や、日本人サブグループの解析結果は記載されていません。
8.企業資金による試験
本研究の資金提供者はEli Lilly and Companyです。
企業資金による研究であること自体が結果の信頼性を否定するものではありませんが、試験デザイン、非劣性マージン、解析集団、欠測値の扱い、報告されたアウトカムの選択について、研究計画書と原著全文を確認することが重要です。
臨床的な位置付け
オルフォルグリプロンは、経口投与可能な非ペプチド性GLP-1受容体作動薬として注目される薬剤です。
今回の研究は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンと比較した心血管安全性を支持する重要なエビデンスと考えられます。また、低血糖の発生頻度が低かったことは臨床的に有用な情報ではありますが、対象薬がインスリン製剤であるため、比較的に発生が少なくなることは当然でしょう。
一方、消化器系有害事象が多いことから、忍容性には注意が必要です。
なお、今回の抄録にはHbA1cの変化量や体重減少量が示されていません。そのため、本研究だけから血糖降下作用や体重減少効果の優劣を論じることはできません。
まとめ
本研究は、心血管リスクの高い過体重・肥満の2型糖尿病患者2,749人を対象に、経口オルフォルグリプロンとインスリン グラルギンを比較した第Ⅲ相RCTです。中央値2年間の追跡において、主要心血管イベント(MACE-4)はオルフォルグリプロン群で4.2%、インスリン グラルギン群で5.0%に発生しました。ハザード比は0.84(95%CI 0.59~1.20)で、事前に設定された非劣性基準を満たしました。
一方、消化器系有害事象は62.1% vs 14.2%とオルフォルグリプロン群で多く、臨床的に重要な低血糖または重症低血糖は6.8% vs 19.2%と少ない結果でした。
全死亡も1.4% vs 3.2%と数値上の差が認められましたが、死亡抑制効果の優越性が示されたわけではありません。
オルフォルグリプロンは、心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、インスリン グラルギンに対する主要心血管イベントの非劣性を示した。低血糖は少ない一方、消化器系有害事象は多く、心血管イベントや死亡を減少させる優越性が証明されたわけではない。
本研究は、オルフォルグリプロンの心血管安全性を支持するエビデンスですが、心血管保護効果の確立とは区別して解釈する必要があります。
また、未知の有害事象や薬剤クラスに共通する有害反応については、市販直後調査や症例報告等で確認するしかありません。より服薬フォローアップが重要となりそうです。
続報に期待。

✅まとめ✅ 非盲検ランダム化比較試験の結果、心血管リスクが高い2型糖尿病患者において、MACE-4に関してインスリン・グラルギンに対する非劣性が実証され、オルフォルグリプロンの心血管安全性は確認された。消化器系の有害事象は、オルフォルグリプロン投与において最も頻度の高い有害事象であり、治療中止の最も一般的な理由であった一方、臨床的に有意な低血糖は、インスリン・グラルギンと比較してオルフォルグリプロンでは発生頻度が低かった。
根拠となった試験の抄録
背景:オルフォルグリプロン(Orforglipron)は、経口投与型の非ペプチド性GLP-1受容体アゴニストである。一部のペプチド性GLP-1受容体アゴニストには心血管系への有益性が確立されているものの、非ペプチド性GLP-1受容体アゴニストの心血管系における安全性については、これまで研究が行われていない。本研究の目的は、心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病かつ肥満または過体重の患者を対象に、主要な心血管有害事象の発生率について、オルフォルグリプロンとインスリン・グラルギンの効果を比較することである。
方法:本研究は、イベント駆動型の第3相、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験として、16の国および地域にある317の施設で実施された。心血管リスクが高く、糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度が7.0%~10.5%(53~91 mmol/mol)で、BMIが25 kg/m2以上の2型糖尿病成人患者で、最大3種類の血糖降下薬 (メトホルミン、スルホニル尿素系薬剤、および/またはSGLT2阻害薬)を最大3種類まで併用している2型糖尿病の成人患者を対象に、経口薬であるオルグリプロンの最大耐量(最大36 mgカプセル[17.2 mg錠に相当])または投与量を調整した注射用インスリングラルギンを、それぞれ1日1回投与する群に1:1の比率で無作為に割り付けた。すべての参加者は、心血管疾患または慢性腎臓病の既往があった。主要評価項目は、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、または不安定狭心症による入院を含む、4要素からなる主要心血管有害事象(MACE-4)の発生までの時間であった。ハザード比(HR;オルフォグリプロン対インスリン・グラルギン)の双側95%信頼区間(CI)の上限が1.8未満の場合、オルフォグリプロンのインスリン・グラルギンに対する非劣性が認められたと判定された。主要評価項目およびその他の安全性評価項目は、治療の遵守状況にかかわらず、割り当てられた治療を少なくとも1回受けた全参加者について、ベースラインから脱落または試験完了までの全データを用いて評価された。本試験はClinicalTrials.gov(NCT05803421)に登録されており、完了している。
結果:2023年5月1日から2024年9月5日までの間に、2749名の参加者が無作為に割り付けられた(オルフォルグリプロン群1371名、インスリン・グラルギン群1378名)。参加者のうち、1032名(38%)が女性、1717名(62・5%)が男性であった。2,362名(85.9%)の参加者に既往の心血管疾患が認められ、1,033名(37.6%)に慢性腎臓病が認められた。ベースライン時の平均年齢、HbA1c、BMIは、それぞれ63.1歳(標準偏差 9.9)、8.2%(1.0)、33 kg/m²(6.2)であった。追跡期間の中央値2年間において、主要評価項目は、オルフォグリプロン群の1,358例中57例(4.2%)およびインスリン・グラルギン群の1,343例中67例(5.0%)で発生し、MACE-4に関してインスリン・グラルギンに対する非劣性が示された(HR 0.84; 95% CI 0.59-1.20;非劣性検定のp値<0.0001)。消化器系の有害事象は、オルフォルグリプロン群の参加者1,371名のうち851名(62.1%)、インスリン・グラルギン群の参加者1,355名のうち193名(14.2%)に報告された。臨床的に有意または重度の低血糖(血糖値<3 mmol/L [54 mg/dL])は、オルフォルグリプロン群の参加者1,371名のうち93名(6.8%)、インスリン・グラルギン群の参加者1,355名のうち260名(19.2%)に発生した。試験期間中に62例の死亡が報告された:オルフォルグリプロン投与群の1371名の被験者のうち19名(1.4%)、インスリン・グラルギン投与群の1355名の被験者のうち43名(3.2%);1例(インスリン・グラルギン群)を除くすべての死亡は、治療とは無関係であると判断された。
解釈:心血管リスクが高い2型糖尿病患者において、MACE-4に関してインスリン・グラルギンに対する非劣性が実証され、オルフォルグリプロンの心血管安全性は確認された。消化器系の有害事象は、オルフォルグリプロン投与において最も頻度の高い有害事象であり、治療中止の最も一般的な理由であった一方、臨床的に有意な低血糖は、インスリン・グラルギンと比較してオルフォルグリプロンでは発生頻度が低かった。これらの知見は、2型糖尿病患者かつ心血管リスクが高い患者において、心血管の安全性が確立された1日1回投与の経口治療選択肢として、オルフォルグリプロンの有用性を裏付けるものである。
資金提供:イーライ・リリー・アンド・カンパニー
引用文献
Cardiovascular safety of orforglipron versus insulin glargine in adults with type 2 diabetes at increased cardiovascular risk (ACHIEVE-4): a phase 3, event-driven, randomised, open-label, non-inferiority, active comparator trial
Klara R Klein et al. PMID: 42815506 DOI: 10.1016/S0140-6736(26)01865-9
Lancet. 2026 Sep 30:S0140-6736(26)01865-9. doi: 10.1016/S0140-6736(26)01865-9.Online ahead of print.
― 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42815506/


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