潰瘍性大腸炎の導入療法および維持療法としてのエトラシモドの有効性・安全性は?(BD-RCT2件; ELEVTE試験; Lancet. 2023)

cardboard appliques showing body inflammation during disease 08_炎症・免疫・アレルギー系
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根拠となった試験の抄録

背景:スフィンゴシン1リン酸(S1P)受容体のサブタイプ1,4,5を選択的に活性化し、S1P2,3には活性が検出されない1日1回投与の経口薬であるEtrasimod(エトラシモド)は、潰瘍性大腸炎を含む免疫媒介疾患の治療薬として開発中である。今回の2件の第3相試験では、中等度から重度の活動性を有する潰瘍性大腸炎の成人患者を対象に、エトラシモドの安全性と有効性を評価することを目的とした。

方法:ELEVATE UC 52およびELEVATE UC 12の2件の独立したランダム化、多施設、二重盲検、プラセボ対照の第3相試験において、中等度から重度の活動性の潰瘍性大腸炎で、少なくとも1つの承認済みの潰瘍性大腸炎治療薬の効果が不十分または消失、不耐性を有する成人患者が、1日1回のエトラシモド2mgまたはプラセボ内服をランダムに(2:1)割り当てられた。
ELEVATE UC 52の患者は、40ヵ国の315施設から登録された。ELEVATE UC 12の患者は、37カ国407施設から登録された。ランダム化は、生物学的製剤またはヤヌスキナーゼ阻害剤による治療歴(あり、なし)、ベースラインのコルチコステロイド使用(あり、なし)、ベースラインの疾患活動性(modified Mayo score [MMS]; 4-6 vs. 7-9)によって層別化された。
ELEVATE UC 52は、12週間の導入期間と40週間の維持期間からなり、トリートスルーデザイン(treat-through design、参考PMID: 30879034)が採用された。ELEVATE UC 12は、12週目に導入期の評価を独自に行った。
有効性の主要評価項目は、ELEVATE UC 52試験では12週目と52週目、ELEVATE UC 12試験では12週目に臨床的寛解を得た患者の割合であった。
安全性については、両試験で評価された。
ELEVATE UC 52はNCT03945188、ELEVATE UC 12はNCT03996369として、ClinicalTrials.govに登録された。

所見: ELEVATE UC 52の患者は、2019年6月13日から2021年1月28日の間に登録された。ELEVATE UC 12の患者は、2020年9月15日から2021年8月12日の間に登録された。ELEVATE UC 52は821例、ELEVATE UC 12は606例の患者をスクリーニングし、その後433例、354例がランダム割付けを受けた。ELEVATE UC 52の全解析セットは、エトラシモドに289例、プラセボに144例が割り当てられた。ELEVATE UC 12では、238例の患者がエトラシモドに、116例の患者がプラセボに割り付けられた。ELEVATE UC 52では、12週間の導入期間終了時(274例中74例[27%]、135例中10例[7%]、p<0.0001)および52週目(274例中88例[32%]、135例中9例[7%]、p<0.0001)にエトラシモド群ではプラセボ群に比べ有意により多くの患者が臨床的寛解に至った。ELEVATE UC 12では、12週間の導入期間終了時に、エトラシモド群222例中55例(25%)が臨床的寛解を示したのに対し、プラセボ群112例中17例(15%)であった(p=0.026)。有害事象は、ELEVATE UC 52ではエトラシモド群289例中206例(71%)、プラセボ群144例中81例(56%)、ELEVATE UC 12ではエトラシモド群238例中112例(47%)、プラセボ群116例中54例(47%)で報告された。死亡や悪性腫瘍の報告はなかった。

解釈:エトラシモドは、中等度から重度の活動性の潰瘍性大腸炎患者における導入療法および維持療法として有効であり、良好な忍容性を示した。エトラシモドは、潰瘍性大腸炎患者の持続的なアンメットニーズに応える可能性のある、ユニークな特性を併せ持つ治療選択肢である。

資金提供:アリーナ・ファーマシューティカルズ

引用文献

Etrasimod as induction and maintenance therapy for ulcerative colitis (ELEVATE): two randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 studies
William J Sandborn et al. PMID: 36871574 DOI: 10.1016/S0140-6736(23)00061-2
Lancet. 2023 Apr 8;401(10383):1159-1171. doi: 10.1016/S0140-6736(23)00061-2. Epub 2023 Mar 2.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36871574/

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