根拠となった試験の抄録
背景と目的:症候性起立性低血圧の患者では、降圧療法の管理は困難であり、降圧療法に関するランダム化比較試験から除外されることが多い集団である。この系統的レビューとメタ分析では、降圧療法と有害事象(例:転倒、失神)の関連性が、起立性低血圧患者を含む試験と含まない試験で異なるかどうかを明らかにすることを目的とした。
方法:血圧降下薬とプラセボ、または異なる血圧目標値を比較したランダム化対照試験について、転倒・失神の転帰および心血管イベントに関する系統的レビューとメタ解析を行った。ランダム効果メタ分析により、起立性低血圧患者を除外した試験と起立性低血圧患者を除外しなかった試験のサブグループにおけるプールされた治療効果全体を推定し、相互作用についてPテストを行った。
主要アウトカムは、転倒イベントであった。
結果:46件の試験が含まれ、そのうち18件の試験は起立性低血圧を除外し、28件の試験は除外しなかった。低血圧の発生率は、起立性低血圧の参加者を除外した試験で有意に低かったが(1.3% vs. 6.2%;P<0.001)、転倒の発生率(4.8% vs. 8.8%;P=0.40)や失神(1.5% vs. 1.8%;P=0.67)ではなかった。降圧療法は、起立性低血圧の参加者を除外した試験(OR 1.00、95%CI 0.89〜1.13) または参加させた試験(OR 1.02、95%CI 0.88〜1.18) において、転倒リスクの増加とは関連していなかった(交互作用P=0.90)。
結論:起立性低血圧患者の除外は、降圧試験における転倒および失神の相対リスク推定値に影響を与えないようである。
キーワード:降圧療法、高血圧症、高齢者、起立性低血圧、システマティックレビュー
引用文献
Randomised controlled trials of antihypertensive therapy: does exclusion of orthostatic hypotension alter treatment effect? A systematic review and meta-analysis
Catriona Reddin et al. PMID: 37014001 DOI: 10.1093/ageing/afad044
Age Ageing. 2023 Apr 1;52(4):afad044. doi: 10.1093/ageing/afad044.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37014001/
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