デノスマブ投与中止後の椎体骨折リスクはどのくらい?(FREEDOM及びExtension試験の事後解析; JBMR2018)

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デノスマブによる治療を中止すると椎体骨折リスクはどのくらい上昇するのか?

デノスマブは骨吸収を抑制し、椎体および非椎体骨折のリスクを低減します。

これまでの報告によれば、デノスマブ(商品名:プラリア)による治療を中止することにより、予定投与が省略された3ヵ月後に骨代謝マーカーが上昇し、6ヵ月後にはベースライン以上のレベルに達し、12ヵ月後には骨密度(BMD)がベースラインまで低下することが明らかとなっています。しかし、そのリスク増加の程度については充分に検討されていません。

そこで今回は、FREEDOM試験またはその延長試験中にデノスマブを中止した参加者における、新規の椎体骨折または椎体骨折の増悪、特に多発性椎体骨折のリスクを分析した事後解析の結果をご紹介します。本試験の参加者は、デノスマブまたはプラセボ(いずれもQ6M)を2回以上投与され、治療を中断し、最終投与後7ヵ月以上フォローアップされました。

試験結果から明らかになったことは?

椎体骨折率
(/100人・年)
デノスマブ治療期間中1.2人
デノスマブ投与後に中止7.1人
プラセボ投与後に中止8.5人

FREEDOMまたはExtension試験中にデノスマブを中止した1,001例の参加者のうち、椎体骨折率は、治療期間中の1.2人/100人・年から、プラセボを投与後中止した参加者(470例、8.5人/100人・年)と同様の7.1人/100人・年に増加しました。

治療期間外の椎体骨折が1件以上認められた参加者のうち、複数(>1)骨折の割合は、デノスマブを中止した参加者の方がプラセボよりも大きく(60.7%、p=0.049)、それぞれ複数椎体骨折のリスク3.4%と2.2%に相当しました。

デノスマブ投与中止後に多発性椎体骨折を発症するオッズ(95%信頼区間)は、治療前または治療中に持続した椎体骨折の既往を有する集団では、既往のない人の3.9倍(2.1〜7. 2)、治療外の追跡期間が1年増えるごとに1.6倍(1.3〜1.9)高いことが示されました。

治療外の股関節全体(TH)のBMD測定データを有する参加者においては、TH-BMD損失1%の年率につき1.2(1.1〜1.3)倍高くなることが示されました。治療中止期間中の非椎体骨折の発生率は同程度でした(デノスマブ:2.8/100人・年、プラセボ:3.8/100人・年)。

コメント

デノスマブはヒトRANKLに結合するヒト型IgG2モノクローナル抗体です。デノスマブはRANK/RANKL経路を阻害し、破骨細胞の形成を抑制することにより骨吸収を抑制し、その結果として、皮質骨及び海綿骨の骨量を増加させ、骨強度を増強させると考えられています。基本的に治療が続けられる限りはデノスマブ(商品名:プラリア)による治療を継続しますが、顎骨壊死・顎骨骨髄炎や大腿骨転子下、近位大腿骨骨幹部、近位尺骨骨幹部等の非定型骨折などの副作用が認められた場合は、治療を中止する必要があります。

プラリアの添付文書では、治療中止後の椎体骨折リスクについて海外の第Ⅲ相試験の結果が記載されています。今回ご紹介した試験は、この添付文書に記載されている試験の事後解析結果です。

さて、本試験結果によれば、FREEDOMまたはExtension試験中にデノスマブを中止した1,001例の参加者のうち、椎体骨折率は、治療期間中の1.2人/100人・年から、7.1人/100人・年に増加しました。

作用機序からビスホスホネート系薬は、治療開始5~10年毎に治療中止について検討しますが、抗RANKL抗体薬の場合は、基本的的に治療を継続した方が良さそうです。ただし、より長期に使用した際のデータは充分でないことから、今後の検討結果が待たれます。

続報に期待。

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☑まとめ☑ 椎体骨折率は、デノスマブの投与中止により、未治療の参加者で観察されたレベルまで上昇した。デノスマブを中止した患者は、速やかに代替の抗骨吸収剤治療に移行する必要がある。

根拠となった試験の抄録

背景:デノスマブは骨吸収を抑制し、椎体および非椎体骨折のリスクを低減する。デノスマブによる治療を中止することにより、予定投与が省略された3ヵ月後に骨代謝マーカーが上昇し、6ヵ月後にはベースライン以上のレベルに達し、12ヵ月後には骨密度(BMD)がベースラインまで低下する。

方法:FREEDOM試験またはその延長試験中にデノスマブを中止した参加者における、新規または増悪した椎体骨折、特に多発性椎体骨折のリスクを分析した。参加者は、デノスマブまたはプラセボQ6Mを2回以上投与され、治療を中断し、最終投与後7カ月以上研究にとどまった。

結果:FREEDOMまたはExtension試験中にデノスマブを中止した1,001例の参加者のうち、椎体骨折率は、治療期間中の1.2人/100人・年から、プラセボを投与後中止した参加者(470例、8.5人/100人・年)と同様の7.1人に増加した。治療期間外の椎体骨折が1つ以上あった参加者のうち、複数(>1)の割合は、デノスマブを中止した参加者の方がプラセボよりも大きく(60.7%、p=0.049)、それぞれ複数椎体骨折のリスク3.4%と2.2%に相当した。デノスマブ投与中止後に多発性椎体骨折を発症するオッズ(95%信頼区間)は、治療前または治療中に持続した椎体骨折の既往がある人では、ない人の3.9倍(2.1〜7. 2)、治療外の追跡期間が1年増えるごとに1.6倍(1.3〜1.9)高く、治療外の股関節全体(TH)のBMD測定ができる参加者の場合は、TH BMD損失1%の年率につき1.2(1.1〜1.3)倍高くなることが示された。治療中止期間中の非椎体骨折の発生率は同程度であった(デノスマブ:2.8/100人・年、プラセボ:3.8/100人・年)。

結論:椎体骨折率は、デノスマブの投与中止により、未治療の参加者で観察されたレベルまで上昇した。デノスマブ投与中止後に椎体骨折が発生した被験者の大多数は、複数の椎体骨折を有しており、椎体骨折の既往を有する被験者のリスクが最も高くなった。したがって、デノスマブを中止した患者は、速やかに代替の抗骨吸収剤治療に移行する必要がある。

Clinicaltrails.gov: NCT00089791(FREEDOM)、NCT00523341(Extension)

キーワード:骨吸収、デノスマブ、中止、多発性椎体骨折、椎体骨折

引用文献

Vertebral Fractures After Discontinuation of Denosumab: A Post Hoc Analysis of the Randomized Placebo-Controlled FREEDOM Trial and Its Extension
J Bone Miner Res. 2018 Feb;33(2):190-198. doi: 10.1002/jbmr.3337. Epub 2017 Nov 22.
Steven R Cummings et al.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29105841/

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