心房細動患者における頭蓋内出血リスクはDOAC間で差がありますか?(RCTのNWM; Am J Cardiol. 2022)

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心房細動患者における頭蓋内出血リスクはVKAとDOAC、またDOAC間で異なるのか?

直接経口抗凝固薬(DOAC)を服用している心房細動(AF)患者は、頭蓋内出血(ICH)のリスクに曝されており、これは重篤で生命にかかわることさえあります。しかし、抗凝固薬のICHリスクについてはまだ議論の余地があります。

そこで今回は、ビタミンK拮抗薬(VKA)とDOACの間でICHのリスクを比較し、さらに異なるDOACsにおけるICHのリスクについても比較したランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析の結果をご紹介します。

本試験では、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryで、関連するRCTを検索しました。アウトカムはICHとし、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で表示されました。DOACは累積順位曲線下面積(SUCRA)の計算によりランク付けされました。

試験結果から明らかになったことは?

頭蓋内出血(ICH)リスク
DOAC vs. VKAOR 0.47
(95%CI 0.40〜0.54
p<0.001
抄録に記載のある薬剤のみ

合計82,404例の心房細動患者が対象となりました。DOACはVKAと比較してICHリスクをほぼ半減させました(OR 0.47、95%CI 0.40〜0.54、p<0.001)。VKAはすべての経口抗凝固薬の中で最も安全性の低いことが示されました(SUCRA 1.7)。

ダビガトラン110mgリバーロキサバン20mg
頭蓋内出血(ICH)リスクSUCRA 87.3SUCRA 27.5
相対リスクOR 0.47
(95%CI 0.27~0.82
抄録に記載のある薬剤のみ

ダビガトラン110mgは、ICHリスクに対して最も安全なDOAC(SUCRA 87.3)であり、リバーロキサバン20mgは比較的安全でないDOAC(SUCRA 27.5)でした。ダビガトラン110mgは、リバーロキサバン20mgと比較して、ICHの相対リスクが53%(OR 0.47、95%CI 0.27~0.82)低下しました。

コメント

心房細動患者は脳卒中リスクが高いことから、自覚症状の有無に関わらず抗凝固薬が使用されています。しかし、抗凝固薬の使用に伴う頭蓋内出血(ICH)リスクにおける薬剤間のリスク評価は充分に行われていません。

さて、本試験結果によれば、DOACはVKAと比較してICHリスクをほぼ半減させました。また、DAOC間において、最も安全性が高いのはダビガトラン110mg、最も安全性が低いのはリバーロキサバン20mgでした。ただし、これまでDOAC間の直接比較は実施されていません。理論上はメタ解析よりもネットワークメタ解析の方が検出力は高いとされていますが、あくまでも理論上はです。また、DOACは用量、患者背景によりリスク・ベネフィットが異なりますので、より多くのランダム化比較試験の結果が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 心房細動患者において、DOACはVKAよりもICHのリスクが低いことが示された。心ダビガトラン110mgはDOACsの中で最も安全な選択であると考えられる。

根拠となった試験の抄録

背景:直接経口抗凝固薬(DOAC)を服用している心房細動(AF)患者は、頭蓋内出血(ICH)のリスクに直面しており、これは重篤で生命にかかわることさえあるが、抗凝固薬のICHリスクはまだ議論の余地がある。今回のメタ解析では、ビタミンK拮抗薬(VKA)とDOACの間でICHのリスクを比較した。さらに、異なるDOACsにおけるICHのリスクも比較した。

方法:PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryで、関連するランダム化比較試験を検索した。アウトカムはICHとし、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で表示した。DOACは累積順位曲線下面(SUCRA)の計算によりランク付けされた。

結果:合計82,404例の心房細動患者を対象とした。DOACはVKAと比較してICHリスクをほぼ半減させた(OR 0.47、95%CI 0.40〜0.54、p<0.001)。VKAはすべての経口抗凝固薬の中で最も安全性が低かった(SUCRA 1.7)。ダビガトラン110mgは、ICHリスクに対して最も安全なDOAC(SUCRA 87.3)であり、リバロキサバン20mgは比較的安全でないDOAC(SUCRA 27.5)であった。ダビガトラン110mgは、リバーロキサバン20mgと比較して、ICHの相対リスクが53%(OR 0.47、95%CI 0.27~0.82)低下した。

結論:心房細動患者において、DOACはVKAよりもICHのリスクが低いことが示された。心房細動の患者において、ダビガトラン110mgはDOACsの中で最も安全な選択であると考えられる。

引用文献

Risk of Intracranial Hemorrhage Caused by Direct Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Patients With Atrial Fibrillation (from a Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials)
Meina Lv et al. PMID: 34756593 DOI: 10.1016/j.amjcard.2021.09.011
Am J Cardiol. 2022 Jan 1;162:92-99. doi: 10.1016/j.amjcard.2021.09.011. Epub 2021 Oct 29.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34756593/

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