経膣分娩を計画している女性におけるアジスロマイシン投与は敗血症または死亡を予防できますか?(RCT; A-PLUS試験; N Engl J Med. 2023)

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経口アジスロマイシンの予防的投与は有益なのか?

アジスロマイシンの使用により、予期していない帝王切開分娩の女性における母体感染症が減少することが報告されています。しかし、計画的な経膣分娩の女性に対する効果は不明です。

そこで今回は、分娩期におけるアジスロマイシンの経口単回投与により、母体および出生児の敗血症または死亡が減少するかどうかについて検証したランダム化比較試験(A-PLUS試験)の結果をご紹介します。

この多国籍プラセボ対照ランダム化試験において、妊娠28週以上の陣痛があり、経膣分娩を計画している女性を、アジスロマイシン2gの単回経口投与またはプラセボ投与に割り付けました。主要アウトカムは、母親の敗血症または死亡の複合と、死産や新生児の死亡または敗血症の複合の2つでした。中間解析において、データ・安全モニタリング委員会は、母体への有益性を理由に試験の中止を勧告しました。

試験結果から明らかになったことは?

合計29,278例の女性がランダム化を受けました。

アジスロマイシン群プラセボ群相対リスク
(95%CI)
母体の敗血症または死亡の発生率1.6%2.4%0.67
0.56~0.79
P<0.001
 敗血症1.5%2.3%0.65
0.55~0.77
 死亡0.1%0.1%1.23
0.51~2.97
死産、新生児死亡または敗血症の発生率10.5%10.3%1.02
0.95~1.09
P=0.56
 死産0.4%0.4%1.06
0.74~1.53
 新生児死亡(出生後4週間以内)1.5%1.5%1.03
0.86~1.24
 敗血症9.8%9.6%1.03
0.96〜1.10

母体の敗血症または死亡の発生率はアジスロマイシン群でプラセボ群より低く(1.6% vs. 2.4%)、相対リスクは0.67(95%信頼区間[CI] 0.56~0.79、P<0.001)、死産、新生児死亡または敗血症の発生率は同等(10.5% vs. 10.3%)で相対リスクが1.02(95%CI 0.95~1.09; P=0.56) でした。

母体の主要転帰の差は、主に敗血症の発生率(アジスロマイシン群1.5%、プラセボ群2.3%)に起因すると思われ、相対リスクは0.65(95%CI 0.55~0.77); 原因を問わず死亡の発生率は両群で0.1%(相対リスク 1.23、95%CI 0.51~2.97)となりました。

新生児敗血症は、それぞれ9.8%と9.6%に発生した(相対リスク 1.03、95%CI 0.96〜1.10)。死産の発生率は両群で0.4%(相対リスク 1.06、95%CI 0.74~1.53)、出生後4週間以内の新生児死亡は両群で1.5%(相対リスク 1.03、95%CI 0.86~1.24)でした。

アジスロマイシンは、有害事象の発生率の高さとは関連していませんでした。

コメント

侵襲性の高い帝王切開では、感染症予防のために抗生物質が投与されますが、経膣分娩における抗生物質の予防的投与の効果については充分に検証されていません。

さて、本試験結果によれば、経腟分娩を計画している女性において、アジスロマイシンの単回経口投与は、母親の敗血症または死亡のリスクをプラセボよりも有意に低下させました。一方、新生児の敗血症または死亡にはほとんど影響を与えませんでした。母親の予後改善に大きく寄与していたのは、敗血症の予防であり、死亡リスクにはほとんど影響がありませんでした。本試験で用いられた経口アジスロマイシンは単回投与であることから、有害事象や副作用の発生リスクは比較的低いと考えられます。敗血症リスクの高い妊婦においてはアジスロマイシンの単回投与を検討しても良いのかもしれません。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 経腟分娩を計画している女性において、アジスロマイシンの単回経口投与は、母親の敗血症または死亡のリスクをプラセボよりも有意に低下させた。新生児の敗血症または死亡にはほとんど影響を与えなかった。

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