血液透析患者における食事からのカリウム摂取量と全死亡率の関係は?(コホート研究; DIET-HD試験; Clin J Am Soc Nephrol. 2021)

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維持透析患者における食事からのカリウム摂取制限の効果は?

腎機能が低下すると、eGFR15mL/min/1.73m2未満を目安に透析の導入が検討されます。腎機能低下患者では、腎臓からのカリウム排泄能が低下することから、高カリウム血症となりやすいことから、カリウム吸着剤やカリウム摂取制限が行われます。

維持血液透析を受けている集団における食事からのカリウム摂取制限は標準的な方法であり、ガイドラインで推奨されています。しかし、カリウム制限による効果はエビデンスが不足しています。

そこで今回は、食事からのカリウム摂取量と死亡率との関連を評価し、高カリウム血症がこの関連を媒介するかどうかを検討したDIETary intake, death and hospitalization in adults with end-stage kidney disease treated with HemoDialysis(DIET-HD)試験の結果をご紹介します。本試験では、ヨーロッパと南米で維持血液透析を受けている成人8,043例が組み入れ螺れました。食物頻度質問票(Global Allergy and Asthma European Network)からベースラインのカリウム摂取量を測定し、time-to-event解析とmediation解析が行われました。

試験結果から明らかになったことは?

ベースライン時のカリウム摂取量の中央値は3.5(四分位範囲 2.5~5.0)g/dでした。中央値4.0年(25,890人・年)の追跡期間中、2,921例(36%)の死亡が観察されました。

食事からのカリウム摂取量の増加によるリスク
全死亡(1g/d増えるごとに)
ハザード比 1.00
95%CI 0.95~1.05

心疾患や食品群などのベースラインの特徴を調整したところ、食事からのカリウム摂取量は全死亡とは関連しませんでした(食事からのカリウム摂取量が1g/d増えるごとに:ハザード比 1.00、95%信頼区間[95%CI] 0.95~1.05)。

媒介分析による死亡リスク
血清カリウムの介在ハザード比 1.00
95%CI 1.00~1.00
血清カリウムの独立ハザード比 1.01
95%CI 0.96~1.06

媒介分析では、カリウム摂取量と死亡率との関連は、血清カリウムを介しても独立しても認められませんでした(ハザード比 1.00、95%CI 1.00~1.00およびハザード比 1.01、95%CI 0.96~1.06、それぞれ)。

カリウム摂取量
(1g/dの食事によるカリウム摂取量が多いほど)
血清カリウムレベル0.03、95%CI -0.01~0.07mEq/L
ベースライン時の高カリウム血症
(6.0mEq/L以上)の有病率
オッズ比 1.11
95%CI 0.89~1.37

カリウム摂取量は、血清レベル(1g/dの食事によるカリウム摂取量が多いほど;0.03、95%CI -0.01~0.07mEq/L)およびベースライン時の高カリウム血症(6.0mEq/L以上)の有病率(1g/dの食事によるカリウム摂取量が多いほど;オッズ比 1.11、95%CI 0.89~1.37)とは有意な関連はありませんでした。

高カリウム血症
心血管死亡ハザード比 1.23
95%CI 1.03~1.48

高カリウム血症は心血管死亡と関連していました(ハザード比 1.23、95%CI 1.03~1.48)。

コメント

血液透析患者におけるカリウム摂取制限は一般的に行われていますが、摂取制限による恩恵については充分に検討されていませんでした。

さて、本試験結果によれば、血液透析を受けている患者において、食事からのカリウム摂取量が多いことは、高カリウム血症や死亡とは関連していないようでした。一方、高カリウム血症は心血管死亡との関連が示されました。血液透析患者では、週に3回の透析を実施するため、カリウム摂取制限はそこまで厳格に行わなくても透析によりカリウムが除去されるためであると推察されます。とはいえ、やはり腎機能低下集団においては、カリウム摂取量が多ければ高カリウム血症を呈すると考えられます。透析未導入患者と比較して、カリウム摂取制限を厳格に行う必要はないかもしれませんが、摂取量については把握しておいた方が良いと考えられます。

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✅まとめ✅ 血液透析を受けている患者において、食事によるカリウムの摂取量が多いことは、高カリウム血症や死亡とは関連しないかもしれない。

根拠となった試験の抄録

背景と目的:維持血液透析を受けている集団における食事からのカリウム摂取制限は標準的な方法であり、エビデンスが不足しているにもかかわらず、ガイドラインで推奨されている。我々は、食事からのカリウム摂取量と死亡率との関連を評価し、高カリウム血症がこの関連を媒介するかどうかを検討することを目的とした。

試験デザイン、設定、参加者および測定方法:DIETary intake, death and hospitalization in adults with end-stage kidney disease treated with HemoDialysis (DIET-HD) studyに、ヨーロッパと南米で維持血液透析を受けている成人8,043例を組み入れた。Global Allergy and Asthma European Networkの食物頻度質問票からベースラインのカリウム摂取量を測定し、time-to-event解析とmediation解析を行った。

結果:ベースライン時のカリウム摂取量の中央値は3.5(四分位範囲 2.5~5.0)g/dであった。中央値4.0年(25,890人・年)の追跡期間中、2,921例(36%)の死亡が観察された。心疾患や食品群などのベースラインの特徴を調整したところ、食事からのカリウム摂取量は全死亡とは関連しなかった(食事からのカリウム摂取量が1g/d増えるごとに:ハザード比 1.00、95%信頼区間[95%CI]0.95~1.05)。媒介分析では、カリウム摂取量と死亡率との関連は、血清カリウムを介しても独立しても認められなかった(ハザード比 1.00、95%CI 1.00~1.00およびハザード比 1.01、95%CI 0.96~1.06、それぞれ)。カリウム摂取量は、血清レベル(1g/dの食事によるカリウム摂取量が多いほど;0.03、95%CI -0.01~0.07mEq/L)およびベースライン時の高カリウム血症(6.0mEq/L以上)の有病率(1g/dの食事によるカリウム摂取量が多いほど;オッズ比 1.11、95%CI 0.89~1.37)とは有意な関連はなかった。高カリウム血症は心血管死亡と関連していた(ハザード比 1.23、95%CI 1.03~1.48)。

結論:血液透析を受けている患者において、食事によるカリウムの摂取量が多いことは、高カリウム血症や死亡とは関連しない。

キーワード:コホート研究;食事;血液透析;死亡率;栄養;カリウム

引用文献

Dietary Potassium Intake and All-Cause Mortality in Adults Treated with Hemodialysis
Amelie Bernier-Jean et al. PMID: 34853064 DOI: 10.2215/CJN.08360621
Clin J Am Soc Nephrol. 2021 Dec 1;CJN.08360621. doi: 10.2215/CJN.08360621. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34853064/

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