CKD患者における血清カリウム値と全死亡リスクとの関連性はどのくらいですか?(米国データベース研究; Am J Nephrol. 2017)

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Association of Serum Potassium With All-Cause Mortality in Patients With and Without Heart Failure, Chronic Kidney Disease, and/or Diabetes

Allan J Collins et al.

Am J Nephrol. 2017;46(3):213-221. doi: 10.1159/000479802. Epub 2017 Sep 2.

PMID: 28866674

PMCID: PMC5637309

DOI: 10.1159/000479802

Keywords: Chronic kidney disease; Diabetes; Heart failure; Hyperkalemia; Hypokalemia; Mortality.

背景

血清カリウム、死亡率、心不全(HF)、慢性腎臓病(CKD)、糖尿病(DM)などのカリウム代謝調節障害に一般的に関連する状態との関係はほとんど知られていない。

方法

我々は、地理的に多様な医療を受けている集団(n=911,698)の電子カルテデータをレビューし、血清カリウムの分布、心不全、慢性腎臓病(CKD)および/または糖尿病(DM)の有無にかかわらず、18ヵ月間の指標カリウム値と死亡率との関係を調べた。

我々は、全人口、対照群、HF、CKD、DM、およびそれらを組み合わせたコホートについて、3次スプライン回帰分析を用いて、全死亡率とカリウム値との関連を検討した。

結果

・カリウム値が4.0mEq/L未満の患者は27.6%、5.0mEq/L以上の患者は5.7%であった。すべての群で血清カリウムと死亡率の間にU字型の関連が認められ、カリウム値が4.0~5.0mEq/Lの対照群で全死亡率が最も低かった。

・2.5~8.0 mEq/Lの指標カリウム値あたりの全死亡率は、HFで22%、CKDで16.6%、DMで6.6%と、対照群 1.2%に対して一貫して高く、複合群では29.7%と最も高かった。

・死亡率は、65歳以上の患者と50~64歳の患者で高かった。

・調整モデルでは、カリウムが4.0mEq/L未満および5.0mEq/L以上において、0.1mEq/L変化する毎に全死亡率が有意に上昇した。

・利尿薬とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬はそれぞれ低カリウム血症と高カリウム血症に関連していた。

結論

高カリウム血症になると死亡リスクは徐々に増加し、HF、CKD、DMのいずれの患者でも死亡リスクは異なる傾向を示した。

コメント

CKD患者における血清カリウム値と死亡率との関連性については以前から報告されています。また並存疾患の有無により死亡リスクに差があることも明らかとなっています。

さて、本試験結果により、2.5~8.0 mEq/Lの指標カリウム値あたりの全死亡率は、対照群1.2%と比較して、心不全で22%、CKDで16.6%、糖尿病で6.6%でした。さらに、これらの疾患(心不全+CKD+糖尿病)を併発している患者で29.7%でした。

Fig.2(本文より引用)

ここまで一貫してカリウム値は、死亡リスクとU字型の相関関係を示しています。しかし、カリウムを補正した場合の死亡リスク低下については、これまで報告されていないと考えます。したがって、因果関係のリスク因子というよりは、死亡リスクを予測するためのマーカーに近いのかもしれません。

✅まとめ✅ カリウム値 2.5~8.0 mEq/Lあたりの全死亡率は、対照群で1.2%、心不全患者で22%、CKD患者で16.6%、糖尿病患者で6.6%だった。さらに、これらの疾患(心不全+CKD+糖尿病)を併発している患者では29.7%だった

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