COVID-19の入院患者におけるJanus Kinase(JAK)阻害剤の効果はどのくらい?(SR&MA; Clin Epidemiol Glob Health. Jul-Sep 2021)

pills on gray background 02_循環器系
Photo by cottonbro on Pexels.com

重症COVID-19に対するJAK阻害薬の効果は?

重症のCOVID-19によって引き起こされる高炎症状態は、サイトカインの大量放出と炎症マーカーの増加を特徴とし、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、致命的な血栓症、多臓器不全に至る可能性のある重篤な状態です。ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤は、サイトカイン産生における細胞内シグナル伝達経路を阻害することができるため、魅力的な治療戦略となります。

D’Alessioらは、ステロイド併用下、JAK1/2阻害薬であるルキソリチニブを投与されたCOVID-19患者の全生存率が有意に高いことを示しました(全生存率:ハザード比HR 4.65、95%CI 1.65〜12.7、p=0.0034、PMID: 33173161)。一方、Kalilらは、多施設共同ランダム化比較試験において、JAK阻害剤とレムデシビルの併用による死亡率の低下は有意ではなかった(HR 0.65、95%CI 0.39〜1.09)が、臨床的改善が示されたことが報告されています(オッズ比OR 1.3、95%CI 1.0〜1.6、PMID: 33306283)。

このように、入院中のCOVID-19患者にJAK阻害剤を使用した場合のエビデンスは相反する結果が示されています。

そこで今回は、COVID-19入院患者に対するJAK阻害薬の効果を検証したシステマティックレビュー・メタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

本システマティックレビューおよびメタアナリシスには、5つの研究、合計1,190例の患者が含まれました。
JAK阻害剤の使用は、死亡リスクの低減(OR 0.51、95%CI 0.28〜0.93、P=0.02、I2=7.8%、P=0.354)および臨床的改善(OR 1.76、95%CI 1.05〜2.95、P=0.032、I2=26.4%、P=0.253)と関連していました。
JAK阻害剤の使用は、臨床的悪化のリスク低減とは関連しませんでした(OR 0.58、95%CI 0.28〜1.19、P=0.136、I2=24.1%、P=0.267)。

JAK阻害剤の使用
死亡リスクの低減OR 0.51(95%CI 0.28〜0.93)、P=0.02
I2=7.8%、P=0.354
臨床的改善OR 1.76(95%CI 1.05〜2.95)、P=0.032
I2=26.4%、P=0.253
臨床的悪化のリスク低減OR 0.58(95%CI 0.28〜1.19)、P=0.136
I2=24.1%、P=0.267

コメント

JAK阻害薬であるバリシチニブ(オルミエント®️)がCOVID-19の治療薬として承認されました(2021年4月23日「新型コロナによる肺炎」の効能追加)。ただし、既に承認されているレムデシビル(ベクルリー®️)との併用療法としてです。この根拠となった試験は1件(ACTT-2試験)のみです。1つのRCTのみで治療可否を判断してしまうのは早計であると考えます。

そこで5件の試験を統合解析したメタ解析の結果を参照したところ、死亡リスクの低減および臨床的改善が認められました。しかし、組み入れられた研究は5件であり、また併用薬の有無・併用薬の種類については研究間で異なっています。

今後の試験結果によりメタ解析による統合結果が異なる可能性は充分にあります。現状では、COVID-19患者の中でも重症例に対して、バリシチニブを含むJAK阻害薬による有効性があるのかもしれません。

続報に期待。

photo of gray cat looking up against black background

✅まとめ✅ COVID-19入院患者において、JAK阻害剤の使用は、死亡リスクの低減、および臨床的改善と有意に関連していた。

根拠となった論文の抄録

背景:入院中のCOVID-19患者にJAK阻害剤を使用することのエビデンスは矛盾している。今回のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、COVID-19を有する入院患者の死亡リスクの低減におけるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の有効性を取り上げることを目的とした。

方法:PubMed、EuropePMC、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどの複数の電子データベースを使用し、関連するキーワード「COVID-19″ AND (“JAK inhibitor” OR “Ruxolitinib” OR “Tofacitinib” OR “Fedratinib” OR “Baricitinib”) AND (“Severe” OR “Mortality”) 」を用いて、2020年12月11日までに系統的な文献検索を行った。事前に設定した適格性基準に該当するすべての研究を分析に含めた。対象としたアウトカムは、すべてのタイプの死亡率臨床的改善、および臨床的悪化でした。目的のアウトカムの二項変数は、Maentel-Haenszel式を用いて解析し、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を、異質性にかかわらずランダム効果モデルで求めた。

結果:本システマティックレビューおよびメタアナリシスには、5つの研究、合計1,190例の患者が含まれた。
JAK阻害剤の使用は、死亡リスクの低減(OR 0.51、95%CI 0.28〜0.93、P=0.02、I2=7.8%、P=0.354)および臨床的改善(OR 1.76、95%CI 1.05〜2.95、P=0.032、I2=26.4%、P=0.253)と関連していた。
JAK阻害剤の使用は、臨床的悪化のリスク低減とは関連しなかった(OR 0.58、95%CI 0.28〜1.19、P=0.136、I2=24.1%、P=0.267)。

結論:COVID-19入院患者において、JAK阻害剤の使用は、死亡リスクの低減、および臨床的改善と有意に関連していた。

引用文献

The use of Janus Kinase inhibitors in hospitalized patients with COVID-19: Systematic review and meta-analysis
Indra Wijaya et al. PMID: 33969237 PMCID: PMC8088409 DOI: 10.1016/j.cegh.2021.100755
Clin Epidemiol Glob Health. Jul-Sep 2021;11:100755. doi: 10.1016/j.cegh.2021.100755. Epub 2021 May 2.
The use of JAK inhibitors was significantly associated with a reduced risk of mortality, and clinical improvement in hospitalized patients with COVID-19.
— Read on pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33969237/

関連記事

【成人COVID-19入院患者に対するバリシチニブとレムデシビルの併用療法は、プラセボとレムデシビルの併用療法より優れていますか?】

【重度COVID-19患者に対する通常ケアへのルキソリチニブ追加の効果はどのくらいですか?】

コメント

タイトルとURLをコピーしました