COVID-19に対するヤンセン社製Ad26.COV2.Sワクチン単回接種の有効性はどのくらいですか?(RCT; NEJM2021)

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COVID-19ワクチンは2回投与が基本

COVID-19に限った話ではありませんが、ワクチン接種は2回以上が基本です。これは免疫を獲得するプロセスから決められています。ただし、接種1回であっても体内で抗体が産生されるため、感染リスクを低下できることも報告されています。

しかし、COVID-19ワクチンにおける接種1回の有効性は明らかになっていません。

そこで今回は、ヤンセン社製Ad26.COV2.Sワクチンの単回接種による有効性を検証した研究結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

SARS-CoV-2陰性の被験者19,630例がAd26.COV2.Sを投与され、19,691例がプラセボを投与されました。

Ad26.COV2.Sは、投与後14日以上経過して発症した中等症から重症のCOVID-19(ワクチン群116例、プラセボ群348例;有効率66.9%、調整後95%信頼区間[CI] 59.0~73.4)および投与後28日以上経過して発症したCOVID-19(ワクチン群66例、プラセボ群193例;有効率66.1%、調整後95%CI 55.0~74.8)を防ぎました。

ワクチンの有効性は、重症・重篤なCOIVD-19に対してより高いことが明らかになりました。

☆14日以上の発症で76.7%、調整後95%CI 54.6~89.1
☆28日以上の発症で85.4%、調整後95%CI 54.2~96.9

南アフリカでは、91例中86例(94.5%)のウイルスが20H/501Y.V2変異型であったにもかかわらず、投与後14日以上および28日以上経過して発症した中等度から重度のCOVID-19に対するワクチンの有効性はそれぞれ52.0%および64.0%であり、重度のCOVID-19に対する有効性はそれぞれ73.1%および81.7%でした。

反応性は、Ad26.COV2.Sがプラセボよりも高かったが、概ね軽度から中等度で一過性でした。重篤な有害事象の発生率は、両群間で同程度でした。死亡例は、ワクチン群で3例(いずれもCOVID-19関連)、プラセボ群で16例(5例がCOVID-19関連)でした。

コメント

ヤンセン社製Ad26.COV2.Sワクチンの単回接種によってもCOVID-19を約66%防げるようです。また重症化も抑制できることから非常に有益な結果です。ただし、2回接種の方が有効率が高く、現状では2回接種することが承認されている用法です。

※2021年4月時点で、日本において承認されているCOVID-19ワクチンはファイザー・ビオンテック社製のmRNAワクチンのみです。

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✅まとめ✅ Ad26.COV2.S の単回投与は、症候性のCOVID-19を約66%防ぎ、無症候性のSARS-CoV-2感染症も予防した。また入院や死亡を含む重篤な疾患に対しても有効であった。さらに変異株への有効性も認められた。

根拠となった論文の引用

背景:Ad26.COV2.Sワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパクをプレフュージョンで安定化させた全長をコードする組換え複製不能ヒトアデノウイルス26型ベクターである。

方法:国際的なランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験において,成人被験者をAd26.COV2.S(5×1010個のウイルス粒子)またはプラセボの単回投与を受けるよう1:1の割合でランダム割り付けされた。
主要評価項目は、SARS-CoV-2 が陰性であるper-protocol 集団の参加者における、投与後14日以上 28日以内に発症する中等度から重度のコロナウイルス感染症 2019(COVID-19)に対するワクチンの有効性であった。また、安全性についても評価した。

結果:Per-protocol集団には、SARS-CoV-2陰性の被験者19,630例がAd26.COV2.Sを投与され、19,691例がプラセボを投与された。Ad26.COV2.Sは、投与後14日以上経過して発症した中等症から重症のCOVID-19(ワクチン群116例、プラセボ群348例;有効率66.9%、調整後95%信頼区間[CI] 59.0~73.4)および投与後28日以上経過して発症したCOVID-19(ワクチン群66例、プラセボ群193例;有効率66.1%、調整後95%CI 55.0~74.8)を防御した。
ワクチンの有効性は、重症・重篤なCOIVD-19に対してより高かった(14日以上の発症で76.7%[調整後95%CI 54.6~89.1]、28日以上の発症で85.4%[調整後95%CI 54.2~96.9])。
南アフリカでは、91例中86例(94.5%)のウイルスが20H/501Y.V2変異型であったにもかかわらず、投与後14日以上および28日以上経過して発症した中等度から重度のCOVID-19に対するワクチンの有効性はそれぞれ52.0%および64.0%であり、重度のCOVID-19に対する有効性はそれぞれ73.1%および81.7%であった。
反応性は、Ad26.COV2.Sがプラセボよりも高かったが、概ね軽度から中等度で一過性であった。重篤な有害事象の発生率は、両群間でバランスがとれていた。
死亡例は、ワクチン群で3例(いずれもCOVID-19関連)、プラセボ群で16例(5例がCOVID-19関連)であった。

結論:Ad26.COV2.Sの単回投与は、症候性のCOVID-19および無症候性のSARS-CoV-2感染症を予防し、入院や死亡を含む重篤な疾患に対しても有効であった。安全性は、COVID-19ワクチンの他の第3相試験と同様であると考えられた(資金提供:Janssen Research and Development社など。ENSEMBLE ClinicalTrials.gov番号:NCT04505722)。

引用文献

Safety and Efficacy of Single-Dose Ad26.COV2.S Vaccine against Covid-19 – PubMed
Jerald Sadoff et al. PMID: 33882225 DOI: 10.1056/NEJMoa2101544
N Engl J Med. 2021 Apr 21. doi: 10.1056/NEJMoa2101544. Online ahead of print.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33882225/

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