COVID-19予防のための予防的抗凝固療法の早期開始は有効ですか?

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COVID-19では、ウイルス感染により障害された血管内皮細胞から凝固第VIII因子とvon Willebrand factor(VWF)が放出され、凝固系や血小板凝集が活性化されます。これはCOVID-19の患者において、第VIII因子とVWFの血中レベル増加の報告に基づいています(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32435823/)。

したがって、COVID-19に対する予防的な抗凝固療法により、COVID-19患者の転機にどのような影響を及ぼすのかについて期待が寄せられます。

臨床試験の結果から明らかになったことは?

30日目の累積死亡率は、予防的抗凝固療法を受けた患者で14.3%(95%信頼区間13.1%~15.5%)、受けなかった患者で18.7%(15.1%~22.9%)でした。

予防的抗凝固療法を受けていない患者と比較して、予防的抗凝固療法を受けた患者では30日死亡リスクが27%減少しました。
ハザード比0.73、95%信頼区間0.66~0.81

入院患者の死亡率と治療的抗凝固療法の開始についても同様の関連が認められたとのこと。予防的抗凝固療法を受けても、輸血を必要とする出血リスクの増加とは関連しませんでした。
ハザード比 0.87、0.71~1.05

あくまでも相関関係ですが、COVID-19患者における予防的な抗凝固療法は、30日死亡率のリスク低下と関連していました。COVID-19患者全例への抗凝固療法の必要性については不明ですが、どのような患者で予防的な抗凝固療法が必要かエビデンスの集積が待たれます。

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✅まとめ✅ COVID-19で入院した患者において、抗凝固療法を行わない場合と比較して予防的な抗凝固療法を早期に開始することは、30日死亡率のリスク低下と関連していた

根拠となった論文の抄録

目的:米国のコロナウイルス疾患2019(COVID-19)で入院した患者の死亡リスクの低下と、抗凝固療法を行わない場合と比較して予防的抗凝固療法の早期開始が関連しているかどうかを評価すること。

試験デザイン:観察的コホート研究

試験設定:大規模な統合国民医療システムである退役軍人省でケアを受けている患者の全国コホート。

試験参加者:重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が臨床検査で確認され、抗凝固療法の既往歴のない、2020年3月1日から7月31日までに入院した全患者4,297例。

主要アウトカム指標:主要アウトカムは30日死亡率であった。副次的アウトカムは、入院患者死亡率、治療的抗凝固療法の開始(血栓塞栓イベントを含む臨床悪化の代理)、輸血を必要とする出血であった。

結果:COVID-19で入院した患者4,297例のうち、3,627例(84.4%)が入院後24時間以内に予防的抗凝固療法を受けた。治療を受けた患者の99%以上(n=3600)がヘパリンまたはエノキサパリンの皮下投与を受けていた。入院後30日以内に622例が死亡したが、そのうち513例が予防的抗凝固療法を受けていた。死亡のほとんど(510/622例、82%)は入院中に発生した。
治療の逆確率加重分析を用いたところ、30日目の累積死亡率は、予防的抗凝固療法を受けた患者で14.3%(95%信頼区間13.1%~15.5%)、受けなかった患者で18.7%(15.1%~22.9%)であった。予防的抗凝固療法を受けていない患者と比較して、予防的抗凝固療法を受けた患者では30日死亡リスクが27%減少した(ハザード比0.73、95%信頼区間0.66~0.81)。入院患者の死亡率と治療的抗凝固療法の開始についても同様の関連が認められた。予防的抗凝固療法を受けても、輸血を必要とする出血リスクの増加とは関連しなかった(ハザード比 0.87、0.71~1.05)。
定量的バイアス分析では、測定されていない交絡因子に対して結果は頑健であった(30日死亡率のe値下限95%信頼区間1.77)。結果はいくつかの感度分析においても持続した。

結論:COVID-19で入院した患者において、抗凝固療法を行わない場合と比較して予防的な抗凝固療法を早期に開始することは、30日死亡率のリスク低下と関連し、重篤な出血イベントのリスク増加は認められなかった。これらの知見は、COVID-19患者の入院時の初期治療として予防的抗凝固療法の使用を推奨するガイドラインを支持する強力な実世界の証拠を提供するものである。

引用文献

Early initiation of prophylactic anticoagulation for prevention of coronavirus disease 2019 mortality in patients admitted to hospital in the United States: cohort study – PubMed
Early initiation of prophylactic anticoagulation compared with no anticoagulation among patients admitted to hospital with covid-19 was associated with a decreased risk of 30 day mortality and no increased risk of serious bleeding events. These findings provide strong real world evidence to support …
—続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33574135/

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