カルシウムチャネル拮抗薬Isradipineは早期パーキンソン病に効果がありますか?(DB-RCT; Ann Intern Med 2020)

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Isradipine Versus Placebo in Early Parkinson Disease: A Randomized Trial

Parkinson Study Group STEADY-PD III Investigators

Ann Intern Med 2020 Mar 31

PMID: 32227247

DOI: 10.7326/M19-2534

ClinicalTrials.gov: NCT02168842

Primary funding source: National Institute of Neurological Disorders and Stroke.

背景

ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬がパーキンソン病(PD)のリスク低下と関連している可能性が示唆されている研究がある。

目的

ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬であるisradipineのPDの臨床的進行率に対する効果を評価すること。

試験デザイン

多施設共同、ランダム化、並行群間、二重盲検、プラセボ対照試験

試験設定

北米のパーキンソン研究グループ57施設

試験参加者

早期PD(罹患期間3年未満)で、登録時にドパミン作動薬を服用していない患者

介入

即時放出型isradipine 5mgを1日2回、またはプラセボを36ヵ月間投与

測定方法

主要アウトカムは、ベースラインから36ヵ月間の抗パーキンソン薬「ON」状態で測定された統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale, UPDRS)パートI~IIIスコアの変化であった。

副次的アウトカムとして、抗パーキンソン薬の服用開始および使用までの期間、運動合併症の発症までの期間、非運動障害の変化、QOL(生活の質)の測定が行われた。

結果

・患者336人(平均年齢 62歳[SD 9];男性68%;疾患期間 0.9年[SD 0.7];UPDRSパートI~IIIの平均スコア 23.1[SD 8.6])がランダムに割り付けられ、95%の患者が本試験を終了した。

・Isradipine投与群とプラセボ投与群の36ヵ月間の抗パーキンソン薬のON状態におけるUPDRS総スコアの調整済み最小二乗平均変化は、それぞれ2.99(95%CI 0.95~5.03)ポイント vs. 3.26(CI 1.25~5.26)ポイントであり、治療効果は -0.27(CI -3.02~2.48)ポイント(P=0.85)であった。

・抗パーキンソン薬の使用について統計的に調整しても、所見に変化はなかった。

・副次的アウトカムでは、isradipine治療の効果は認められなかった。

・Isradipineの副作用で最も多かったのは浮腫とめまいであった。

試験の限界

Isradipineの投与量は、神経保護効果に関連した標的カルシウムチャネルに関与するには不十分であった可能性がある。

結論

即時放出型isradipineによる長期治療では、早期PDの臨床的進行を遅らせることはできなかった。

コメント

基礎研究等において、ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬isradipineによるパーキンソン病の進行抑制の可能性が示唆されていた。

今回の研究は、パーキンソン病患者を対象とした臨床研究。残念ながら効果が認められず、パーキンソン病の進行抑制効果を示せなかった。

試験の限界として用量5mgが少なかったのかもしれない点が記載されています。ただし、通常、医薬品開発のステップは、基礎研究(前臨床試験)、その次に忍容性試験(小規模の健康人を対象)、用量設定試験(小規模の健康人あるは疾患によって疾患者を対象)、有効性確認試験(小規模の疾患者を対象)、有効性・安全性確認試験(中規模〜大規模の疾患者を対象Phase Ⅲ)、市販後調査(Phase Ⅳ)、という流れです。したがって用量の設定については、事前に完了しているのが通常です。

本試験はPhase Ⅲですので、本文に記載されている試験の制限としては、少し違和感が残ります。

医薬品開発において、エビデンスがないことと、有効ではないというエビデンスがあることには大きな差異があります。そういう意味で、本試験結果を公表し論文化したことには大きな価値があります。

✅まとめ✅ 36ヵ月のisradipine 5mg(1日2回)投与はパーキンソン病の進行を抑制できなかった

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