Proton Pump Inhibitor(PPI)長期使用による生殖機能への影響はありますか?(Fetil Steril 2016;charge)

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Are proton-pump inhibitors harmful for the semen quality of men in couples who are planning pregnancy? Huijgen NA et al. Fertil Steril. 2016 Dec;106(7):1666-1672.e2. PMID: 27743698

背景

今日までに Proton Pump inhibitor(PPI)長期使用による “認知症”、”低 Mg血症”、”骨粗鬆症・骨折”、”ビタミン B12の欠乏”、”鉄の欠乏”、”間質性腎炎”、”市中肺炎”、”感染性腸炎” 等のリスク増加が報告されている。しかし生殖機能への影響は不明である。そこで、妊娠を計画しているカップルのうち proton pump inhibitor長期服用中の若い男性における精液パラメータへの影響を後向きに検討した。

PECOT

P case:精液検査を受けた若年男性 2,473人のうち総運動精子数 total motile sperm count(TMSC)100万以下の 241例 P control:マッチする TMSC 100万超の 714例 E:PPIの暴露 C:(PPIの暴露無し) :PPI暴露および投与量 :コホート内症例対症研究 Nested case-control studyに相当(Abstractには “Case-control study of a population-based registry” の記載有り)

批判的吟味

症例を集める基準は?偏りはあるか?(選択/抽出バイアスはあるか?)

オランダの人口データベース the Integrated Primary Care Information database(IPCI)* に登録されている 1996〜2013年のデータを使用。バイアスは低いと考えられる。

対象を集める基準は?偏りはあるか?(選択/抽出バイアスはあるか?)

Abstractからは不明だが、データベースよりマッチングを行っているため大きな問題はないと考えられる。

交絡因子の検討は充分か?(思い出し/情報バイアス等の測定バイアスはあるか?)

Abstractからは【年齢】および【PPI以外の薬剤使用状況】の 2点については検討されていることがわかる。 他の因子については不明。

結果は?

年齢と PPI以外の薬剤使用を調整した結果、精液検査前 6〜12ヶ月間の PPI使用と総精子活動数 Total motile sperm count(TMSC)低下リスクには相関が認められた。   オッズ比 =2.96(95% confidence interval 1.26〜6.97)。 一方、検査前 6ヶ月以内の PPI使用は、TMSC低下との有意な関係は示されなかった(詳細な値は Abstract に記載なし)。
考察 アブストのみ。 6ヶ月〜 12 ヶ月の PPI 使用が総精子活動数 TMSCを低下させる、つまり精子の質低下との可能性が示唆された。これは年齢及び PPI以外の薬剤使用について調整された結果であった。 やはり PPIの漫然長期処方の益は少なそうである。出来れば PPI投与量等についても知りたかった。手持ちの情報だけでは因果推論までは出来なかった。今後の報告を待ちたい。 原著論文は有料であるため、ここからは推測だが TMSC 1×106を基準にしているのは、この値未満の患者に対し『医師の約 90%が顕微授精**を勧める』という結果に基づいていると考えられる(Total motile sperm count: a better indicator for the severity of male factor infertility than the WHO sperm classification system. – PubMed – NCBI PMID: 25788568)。

追加情報

① 海外のデータベースをリストアップしているサイト:INTERNATIONAL SOCIETY FOR PHARMACOEPIDEMIOLOGY (ISPE) ② IPCI*:オランダ全土から選ばれた診療記録タイプのデータ(代表例としては家庭医 General Practitioner:GP の電子カルテ情報)を基にした長期観察研究用のデータベース。 主な登録情報は【生年月日】、【性別】、【患者 ID】 、【症状・診断名】、【処方薬剤】、【療法】、【入退院】、【身体所見】、【臨床検査値】など。GP のコンピュータから匿名化され毎月ダウンロードされている。疫学研究や薬剤疫学研究に用いられている。 ③ 顕微授精**(ICSI:intracytoplasmic sperm injection):体外受精とは異なり、精子を直接卵子内に挿入する方法。他の治療法に比べ高価だが妊娠の可能性が高くなる。      

-Evidence never tells you what to do-




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