Overall and Cause-Specific Mortality in Randomized Clinical Trials Comparing Percutaneous Interventions With Coronary Bypass Surgery: A Meta-analysis
Mario Gaudino et al.
JAMA Intern Med. 2020 Oct 12;e204748. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.4748. Online ahead of print.
PMID: 33044497
PMCID: PMC7551235 (available on 2021-10-12)
DOI: 10.1001/jamainternmed.2020.4748
試験の重要性
死亡率は経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)と冠動脈バイパスグラフト術(coronary artery bypass grafting, CABG)を比較した試験において一般的なアウトカムである。
心臓以外を原因とする死亡率は治療とは無関係であるべきであるため、試験のエンドポイントとして全死亡と心関連死のどちらが好ましいかについては論争がある。
試験の目的
冠動脈疾患患者の治療のためにPCIとCABGを比較したランダム化臨床試験(RCT)における全死亡率と原因別死亡率の違いを評価すること。
データソース
2019年11月24日にMEDLINE(1946年~現在)、Embase(1974年~現在)、Cochrane Library(1992年~現在)のデータベースを検索した。また、含まれている論文のリファレンスリストも検索し、必要に応じて追加の研究も含めた。
研究の選択
研究の包含基準は、英語であり、冠動脈疾患の治療のためにPCIと薬剤溶出ステントまたはベアメタルステントとCABGを比較したRCTであり、死亡率および/または原因別死亡率を報告している論文であった。
ステント留置なしの血管形成術を含むPCIの試験は除外された。各試験について、各アウトカムのフォローアップ期間が最も長い出版物を選択した。
データの抽出と合成
データ抽出のために、すべての研究は2人の独立した研究者によってレビューされ、意見の相違は3人目の研究者によってシステマティックレビューおよびメタアナリシスの優先報告項目ガイドラインに従って解決された。データは固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いてプールされた。
主要アウトカムおよび測定法
主要アウトカムは、全死亡率と原因別死亡率(心臓 vs. 非心臓)であった。
サブグループ解析は、薬剤溶出性ステントとベアメタルステントを使用したPCI試験と左主病変患者が関与する試験について実施した。
結果
・患者13,620例を対象としたユニークな試験23件が含まれた(PCIを受けた6,829例とCABGを受けた6,791例;試験集団の男性率 39.9%~99.0%;平均年齢幅 60.0~71.0歳)。
・加重平均(SD)追跡期間は5.3年(3.6年)であった。
・CABGと比較して、PCIは全死亡率(発生率比 1.17、95%CI 1.05~1.29)および心疾患死亡率(発生率比 1.24、95%CI 1.05~1.45)が高いが、非心疾患死亡率(発生率比 1.19、95%CI 1.00~1.41)も高かった。
結論と関連性
経皮的冠動脈インターベンションは、5年後のCABGと比較して、全死亡率、心臓死亡率、非心臓死亡率が高かった。
PCIに関連した有意に高い非心臓死亡率は、PCI後の非心臓死亡であっても手技に関連している可能性があることを示唆しており、心筋再灌流試験のエンドポイントとして全死亡率を使用することを支持している。
コメント
冠動脈疾患に対してPCI(Primaryまたは待機的)あるいはCABGが適応となることがあります。以前から、これらの手術の比較結果が報告されています。
さて、本試験結果によれば、加重平均 追跡期間 5.3年(SD3.6年)における冠動脈疾患のPCIは、CABGと比較して、全死亡率の発生率比 1.17(95%CI 1.05~1.29)および心疾患死亡率の発生率比 1.24(95%CI 1.05~1.45)が高かったとのこと。さらに非心疾患死亡率の発生率比 1.19(95%CI 1.00~1.41)も高いことが明らかとなりました。
ただし、患者背景によりPCIを実施できない場合もあり、その場合はCABGの適応となります。また本試験結果の区間推定値から、リスクはそこまで大きくないように考えます。
今後の検討結果に期待。
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