日本人の大うつ病性障害に対するブレクスピプラゾール vs. アリピプラゾール(SR&NMA; Neuropsychopharmacol Rep. 2024)

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日本人大うつ病性障害患者に対する薬剤比較

ブレクスピプラゾールは、脳内の神経伝達物質のセロトニン・ドパミンの働きを調整し、統合失調症による幻覚、妄想、意欲の減退などの症状を改善する薬剤です。日本では2023年12月22日に「うつ病うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」の適応が追加となりましたが、既存薬との比較検証は充分に行われていません。

そこで今回は、抗うつ薬の効果が不充分な日本人大うつ病性障害(MDD)患者に対するブレクスピプラゾール(BRE)とアリピプラゾール(ARI)の有効性、受容性、忍容性、安全性プロファイルに違いがあるかどうかを明らかにするために行われたネットワークメタ解析の結果をご紹介します。

アウトカム評価項目は、Montgomery Åsberg Depression Rating Scale(主要評価項目)、Clinical Global Impression重症度評価尺度、社会機能評価尺度のスコア、非反応率、非寛解率、全死因による中止、有害事象による中止(DAE)、少なくとも1つの有害事象(1AE)、重篤な有害事象、アカシジア、振戦、体重増加でした。

試験結果から明らかになったことは?

文献検索により、3件の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験が同定されました。これらは、1つのブレクスピプラゾール試験(1mg/日[BRE1]と2mg/日[BRE2])と2つのアリピプラゾール試験(3mg/日群とフレキシブル用量群[日本で承認されている用量の範囲内])から構成されました(n=1,736)。

ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールはいずれもプラセボより優れた有効性を示しました。

ブレクスピプラゾールはプラセボより有害事象による中止が高いことが示されましたが、アリピプラゾールでは示されませんでした。

アリピプラゾールはプラセボより少なくとも1つの有害事象の発生が高いことが示されましたが、ブレクスピプラゾールでは示されませんでした。

ブレイクスピラゾールとアリピプラゾールはプラセボよりアカシジアと体重増加のリスクが高いことが示されました。ブレイクスピラゾールとアリピプラゾールはいずれのアウトカムにおいても有意差はありませんでした。

BRE1試験(1mg/日)は有効性が高いことが示されましたが、体重増加のリスクが示されました。BRE2試験(2mg/日)も有効でしたが、有害事象による中止、アカシジア、体重増加のリスクが示されました。しかし、BRE2試験のアカシジアのリスクは初回投与量を1.0mg/日ではなく0.5mg/日にすることで軽減されました。

コメント

ブレイクスピラゾールは、米国で2015年7月に発売され使用されています。一方、日本では比較的新しい薬剤であり、発売は2018年1月です。日本人を対象に既存薬と比較検証した試験は限られています。

さて、二重盲検ランダム化比較試験3件のネットワークメタ解析の結果、全体としてブレクスピプラゾールはアリピプラゾールと同様の有用性を示し、リスクとベネフィットのバランスも良好でした。ただし、組み入れられた患者数は1,736例であり、各アウトカムの評価も限定的です。

どちらが優れているのかについては結論を出せない状況です。更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 二重盲検ランダム化比較試験3件のネットワークメタ解析の結果、全体としてブレクスピプラゾールはアリピプラゾールと同様の有用性を示し、リスクとベネフィットのバランスも良好であった。

根拠となった試験の抄録

目的:このシステマティックレビューとランダム効果モデルを用いた頻出ネットワークメタ解析は、抗うつ薬の効果が不充分な日本人大うつ病性障害(MDD)患者に対するブレクスピプラゾール(BRE)とアリピプラゾール(ARI)の有効性、受容性、忍容性、安全性プロファイルに違いがあるかどうかを明らかにするために行われた。

方法:アウトカム評価項目は、Montgomery Åsberg Depression Rating Scale(主要評価項目)、Clinical Global Impression重症度評価尺度、社会機能評価尺度のスコア、非反応率、非寛解率、全死因による中止、有害事象による中止(DAE)、少なくとも1つの有害事象(1AE)、重篤な有害事象、アカシジア、振戦、体重増加であった。

結果:文献検索により、3件の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験が同定された。これらは、1つのブレクスピプラゾール試験(1mg/日[BRE1]と2mg/日[BRE2])と2つのアリピプラゾール試験(3mg/日群とフレキシブル用量群[日本で承認されている用量の範囲内])から構成された(n=1,736)。BREとARIはいずれもプラセボより優れた有効性を示した。BREはプラセボより有効性が高かったが、ARIでは示されなかった。ARIはプラセボより1AEが高かったが、BREでは示されなかった。BREとARIはプラセボよりアカシジアと体重増加のリスクが高かった。BREとARIはいずれのアウトカムにおいても有意差はなかった。BRE1は有効性が高かったが、体重増加のリスクがあった。BRE2も有効であったが、DAE、アカシジア、体重増加のリスクがあった。しかし、BRE2のアカシジアのリスクは初回投与量を1.0mg/日ではなく0.5mg/日にすることで軽減された。

結論:全体としてブレクスピプラゾールはアリピプラゾールと同様の有用性を示し、リスクとベネフィットのバランスも良好であった。

キーワード 日本人の大うつ病性障害;アリピプラゾール;ブレクスピプラゾール;ネットワークメタ解析;システマティックレビュー

引用文献

Comparison of brexpiprazole, aripiprazole, and placebo for Japanese major depressive disorder: A systematic review and network meta-analysis
Taro Kishi et al. PMID: 38219278 DOI: 10.1002/npr2.12414
Neuropsychopharmacol Rep. 2024 Jan 14. doi: 10.1002/npr2.12414. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38219278/

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