2型糖尿病と最近の心筋梗塞を有する患者における低用量コルヒチンの効果はどのくらい?(DB-RCT; COLCOT試験; Diabetes Care. 2024)

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2型糖尿病の心血管に対するコルヒチン0.5mg/日の効果は?

低用量コルヒチンの心血管に対する有益性は冠動脈疾患患者において証明されていますが、2型糖尿病患者に対する効果については充分に検討されていません。

そこで今回は、COLchicine Cardiovascular Outcomes Trial(COLCOT)の2型糖尿病(T2D)患者を対象とした解析結果についてご紹介します。

COLCOT試験は心筋梗塞後30日以内に開始されたコルヒチン1日0.5mgとプラセボを比較検討した二重盲検ランダム化比較試験です。

試験結果から明らかになったことは?

959例の2型糖尿病(T2D)患者が登録され、中央値22.6ヵ月間モニターされました。

コルヒチン群プラセボ群ハザード比 HR
(95%CI)
主要エンドポイントイベント8.7%13.1%HR 0.65
0.44〜0.96
P=0.03

主要エンドポイントイベントはコルヒチン群で8.7%、プラセボ群で13.1%に発生しました(ハザード比 0.65、95%CI 0.44〜0.96;P=0.03)。

吐き気は両群で2.7%および0.8%に報告され(P=0.03)、肺炎は2.4%および0.4%に発生しました(P=0.008)。

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コルヒチンは細胞の中に入り込み、チューブリン蛋白と結合することで、微小管を安定化します。この微小管は細胞骨格を形成しており細胞分裂で重要な役割を果たしています。好中球は遊走能に深く関与していることが知られています。

好中球は、急性心筋梗塞の最も早期に梗塞部位に集積する炎症細胞であり、急性心筋梗塞の病態形成に重要な役割を果たしている可能性が報告されており、コルヒチンは微小管を安定化することで好中球の遊走能を強く抑制することが報告されていますが、2型糖尿病患者における効果については充分に検証されていません。

さて、二重盲検ランダム化比較試験の結果、2型糖尿病と最近の心筋梗塞を有する患者において、コルヒチン0.5mg/日は心血管イベントの大幅な減少をもたらしました。

有料文献であることから、心血管エンドポイントの内訳について不明です。また、やや区間推定値の幅が広いため同様の結果が示されるのかについては不明です。COLCOT-T2D試験を予定しているように受け取れるため、研究実施が待たれます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 二重盲検ランダム化比較試験の結果、2型糖尿病と最近の心筋梗塞を有する患者において、コルヒチン0.5mg/日は心血管イベントの大幅な減少をもたらした。

根拠となった試験の抄録

目的:低用量コルヒチンの心血管に対する有益性は冠動脈疾患患者において証明されている。COLchicine Cardiovascular Outcomes Trial(COLCOT)の2型糖尿病(T2D)患者を対象とした本予定された解析において、その効果が評価された。

研究デザインと方法:COLCOTは心筋梗塞後30日以内に開始されたコルヒチン1日0.5mgとプラセボの二重盲検ランダム化比較試験であった。

結果:959例のT2D患者が登録され、中央値22.6ヵ月間モニターされた。主要エンドポイントイベントはコルヒチン群で8.7%、プラセボ群で13.1%に発生した(ハザード比 0.65、95%CI 0.44〜0.96;P=0.03)。吐き気は両群で2.7%および0.8%に報告され(P=0.03)、肺炎は2.4%および0.4%に発生した(P=0.008)。

結論:T2Dと最近の心筋梗塞を有する患者において、コルヒチン0.5mg/日は心血管イベントの大幅な減少をもたらした。これらの結果は一次予防におけるCOLCOT-T2D試験の実施を支持するものである。

引用文献

Low-Dose Colchicine in Patients With Type 2 Diabetes and Recent Myocardial Infarction in the COLchicine Cardiovascular Outcomes Trial (COLCOT)
François Roubille et al. PMID: 38181203 DOI: 10.2337/dc23-1825
Diabetes Care. 2024 Jan 5:dc231825. doi: 10.2337/dc23-1825. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38181203/

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