青年後期の血圧値と心血管イベントのリスクとの関連性はどのくらいか?(コホート研究: Annals of Internal Medicine 2023)

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思春期の血圧と将来の心血管イベントとの関連性は?

高血圧は脳卒中や心筋梗塞の発症リスクと関連していることから、高齢者を含む成人において降圧治療が行われています。しかし、青年後期(思春期)の血圧と将来の心血管イベントとの関連については十分に知られていません。

そこで今回は、2017年の米国心臓病学会(American College of Cardiology/American Heart Association)の血圧上昇分類ガイドラインを用いてこの関連を測定したスウェーデンのコホート研究の結果をご紹介します。

本試験の対象は1969年から1997年に徴兵された青年期後期の男性でした。

ベースラインの血圧値は徴兵時に測定されました。本試験の主要アウトカムは心血管死または心筋梗塞、心不全、虚血性脳卒中、脳内出血による初回入院の複合でした。

試験結果から明らかになったことは?

対象は平均年齢18.3歳の男性1,366,519例でした。ベースライン血圧は28.8%が正常高値血圧(120~129/<80mmHg)、53.7%が高血圧(≧130/80mmHg)でした。中央値35.9年の追跡期間中に79,644例で主要転帰を得ました。

主要アウトカム
(心血管死または心筋梗塞、心不全、虚血性脳卒中、脳内出血による初回入院の複合)
調整ハザード比
(95%CI)
正常高値血圧1.10(95%CI 1.07~1.13
ステージ1の孤立性収縮期高血圧(ISH)1.15(95%CI 1.11~1.18
ステージ1の孤立性拡張期高血圧(IDH)1.23(95%CI 1.18~1.28
ステージ1の収縮期-拡張期高血圧(SDH)1.32(95%CI 1.27~1.37
ステージ2のISH1.31(95%CI 1.28~1.35
ステージ2のIDH1.55(95%CI 1.42~1.69
ステージ2のSDH1.71(95%CI 1.58~1.84

調整ハザード比は、正常高値血圧で1.10(95%CI 1.07~1.13)、ステージ1の孤立性収縮期高血圧(ISH)で1.15(95%CI 1.11~1.18)、ステージ1の孤立性拡張期高血圧(IDH)で1.23(95%CI 1.18~1.28)、ステージ1の収縮期-拡張期高血圧(SDH)が1.32(95%CI 1.27~1.37)、ステージ2のISHが1.31(95%CI 1.28~1.35)、ステージ2のIDHが1.55(95%CI 1.42~1.69)、ステージ2のSDHが1.71(95%CI 1.58~1.84)でした。

心血管イベントの累積リスクもまた、68歳時点の血圧が正常の14.7%からステージ2のSDHの24.3%まで、血圧の段階を越えて徐々に増加しました。

コメント

高血圧治療の対象は成人〜高齢者であることから、青年後期における血圧値と将来にわたる心血管疾患リスクとの関連性については充分に検証されていません。

さて、スウェーデンのコホート研究の結果、青年後期(平均年齢18.3歳)における血圧値の上昇は、血圧値120/80mmHgから始まる主要な心血管イベントのリスクの漸増と関連していることが明らかとなりました。

ただし、本試験はスウェーデン人男性を対象とした観察研究であることから、他の国や地域、青年後期の女性における血圧値の影響については不明です。

続報に期待。

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✅まとめ✅ スウェーデンのコホート研究の結果、青年後期における血圧値の上昇は、血圧値120/80mmHgから始まる主要な心血管イベントのリスクの漸増と関連している。

根拠となった試験の抄録

背景:思春期の血圧と将来の心血管イベントとの関連については十分に知られていない。

目的:2017年の米国心臓病学会(American College of Cardiology/American Heart Association)の血圧上昇分類ガイドラインを用いてこの関連を測定すること。

デザイン:コホート研究

設定:スウェーデン。

参加者:1969年から1997年に徴兵された青年期後期の男性。

測定:ベースライン血圧は徴兵時に測定した。
主要アウトカムは心血管死または心筋梗塞、心不全、虚血性脳卒中、脳内出血による初回入院の複合とした。

結果:対象は平均年齢18.3歳の男性1,366,519例であった。ベースライン血圧は28.8%が正常高値血圧(120~129/<80mmHg)、53.7%が高血圧(≧130/80mmHg)であった。中央値35.9年の追跡期間中に79,644例が主要転帰を得た。調整ハザード比は、血圧上昇で1.10(95%CI 1.07~1.13)、ステージ1の孤立性収縮期高血圧(ISH)で1.15(95%CI 1.11~1.18)、ステージ1の孤立性拡張期高血圧(IDH)で1.23(95%CI 1.18~1.28)、ステージ1の収縮期-拡張期高血圧(SDH)が1.32(95%CI 1.27~1.37)、ステージ2のISHが1.31(95%CI 1.28~1.35)、ステージ2のIDHが1.55(95%CI 1.42~1.69)、ステージ2のSDHが1.71(95%CI 1.58~1.84)であった。心血管イベントの累積リスクもまた、68歳時点の血圧が正常の14.7%からステージ2のSDHの24.3%まで、血圧の段階を越えて徐々に増加した。

試験の限界:これはスウェーデン人男性を対象とした観察研究である。

結論:青年期後期における血圧値の上昇は、血圧値120/80mmHgから始まる主要な心血管イベントのリスクの漸増と関連している。

主な資金源:Västerbotten県議会、Swedish Society for Medical Research、Heart Foundation of Northern Sweden

引用文献

Blood Pressure Level in Late Adolescence and Risk for Cardiovascular Events : A Cohort Study
Helene Rietz et al. PMID: 37748180 DOI: 10.7326/M23-0112
Ann Intern Med. 2023 Sep 26. doi: 10.7326/M23-0112. Online ahead of print.
— 読み進める https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37748180/

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