イバンドロン酸は他のビスホスホネート系薬と比較して重篤な有害事象と腎障害の発生リスクが低い?
イバンドロン酸による有害事象は、他のビスホスホネート系薬による有害事象よりも重篤でないことを示唆する報告が複数あります。しかし、質の高い研究は限られており、充分に検討されていません。
そこで今回は、イバンドロン酸が重篤な有害事象および腎障害の発生率が低いかどうかを判断するために系統的レビューとメタ解析を実施した研究の結果をご紹介します。
本試験の対象はランダム化比較試験であり、研究対象は骨粗鬆症の成人患者でした。本試験の主要評価項目はすべての重篤な有害事象、副次評価項目は腎障害でした。エビデンスの質の評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)アプローチが用いられました。
試験結果から明らかになったことは?
19件の試験が組み入れられました。イバンドロン酸とプラセボ、またはイバンドロン酸と他のビスホスホネート系薬の間で、重篤な有害事象の発生率および腎障害の発生率に有意な差は認められませんでした。
イバンドロン酸 vs. 他のビスホスホネート系薬 | |
重篤な有害事象の発生リスク | リスク比 0.79 (95%信頼区間 0.66〜0.94) p<0.01 |
しかし、detection bias 検出(測定)バイアスが「高リスク」の研究を除外した感度分析では、重篤な有害事象のリスクは、イバンドロン酸が他のビスホスホネート系薬より有意に低いことが明らかとなりました(リスク比 0.79、95%信頼区間 0.66〜0.94、p<0.01)。この知見は、GRADEの基準を適用した場合、質の高いエビデンスと評価されました。
有害事象として腎障害を報告した研究は5件(26%)のみでした。
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イバンドロン酸は他のビスホスホネート系薬と比較して、重篤な有害事象および腎障害の発生率が低い可能性が報告されています。しかし充分に検討されていません。
さて、本試験結果によれば、イバンドロン酸は、他のビスホスホネート系薬と比較して重篤な有害事象のリスクが低いことを示唆する限られたエビデンスが見出されました。
ビスホスホネート系薬に求められることは、骨折の予防効果です。イバンドロン酸は股関節骨折リスクの低減効果が示されていないことから、診療ガイドラインではアレンドロン酸やリセドロン酸よりも推奨度が低いです。したがって、本試験結果をもってイバンドロン酸の使用を推奨することはできません。リスクとベネフィットの評価が求められます。
続報に期待。
✅まとめ✅ イバンドロン酸は、他のビスホスホネート系薬と比較して重篤な有害事象のリスクが低いことを示唆する限られたエビデンスが見出された。
根拠となった試験の抄録
背景:イバンドロン酸による有害事象は、他のビスホスホネート系薬による有害事象よりも重篤でないことを示唆する報告が複数ある。この系統的レビューとメタ解析の目的は、イバンドロン酸が重篤な有害事象および腎障害の発生率が低いかどうかを判断することである。
方法:ランダム化比較試験を選択し、研究対象は骨粗鬆症の成人患者であった。主要評価項目はすべての重篤な有害事象とし、副次評価項目は腎障害とした。エビデンスの質の評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)アプローチを用いた。
結果:19件の試験が組み入れられた。イバンドロン酸とプラセボ、またはイバンドロン酸と他のビスホスホネート系薬の間で、重篤な有害事象の発生率および腎障害の発生率に有意な差は認められなかった。しかし、検出バイアスの「高リスク」の研究を除外した感度分析では、重篤な有害事象のリスクは、イバンドロン酸が他のビスホスホネート系薬より有意に低いことが明らかとなった(リスク比0.79、95%信頼区間 0.66〜0.94、p<0.01)。この知見は、GRADEの基準を適用した場合、質の高いエビデンスと評価された。有害事象として腎障害を報告した研究は5件(26%)のみであった。
結論:イバンドロン酸は、他のビスホスホネート系薬と比較して重篤な有害事象のリスクが低いことを示唆する限られたエビデンスが見出された。様々なビスホスホネートの腎障害のリスクを比較するために、さらに質の高いランダム化対照試験が必要である。
キーワード:ビスホスホネート、イバンドロン酸、腎障害、重篤な有害事象
引用文献
Risks of serious adverse events and kidney injury in patients treated with ibandronate: A systematic review and meta-analysis
Satoru Mitsuboshi et al. PMID: 35716279 DOI: 10.1002/phar.2713
Pharmacotherapy. 2022 Aug;42(8):677-686. doi: 10.1002/phar.2713. Epub 2022 Jun 28.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35716279/
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