人工膝関節全置換術におけるXRリハビリテーションの有効性はどのくらい?(メタ解析; J Arthroplasty. 2023)

man paddling while wearing virtual reality glasses 11_皮膚・骨格筋系
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人工膝関節全置換術(TKA)の術後リハビリテーションにおけるクロスリアリティの有効性は?

人工膝関節全置換術(TKA)の術後リハビリテーションにおいて、仮想現実(人工現実感:virtual reality, VR)、拡張現実(augmented reality, AR)、複合現実(mixed reality, MR)などのクロスリアリティ(Cross Reality, Extended reality, XR)の利用が増加しています。しかし、クロスリアリティを用いた術後リハビリテーションの有効性については充分に検証されていません。

そこで今回は、TKAにおけるクロスリアリティを用いたリハビリテーションの有効性を従来のリハビリテーションと比較評価した系統的レビューとメタ解析の結果をご紹介します。

本研究では、PubMed(MEDLINE)、Embase(OVID)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、clinicaltrials.govを対象として、開始時から2023年2月15日まで検索が行われました。989例の患者を対象とした合計14件のランダム化比較試験が本研究に組み入れられました。

主要アウトカムは疼痛と機能(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index, WOMAC)であり、副次的アウトカムは不安とQOLでした。

試験結果から明らかになったことは?

標準化平均差 SMD あるいは 平均差
(95%CI)
視覚的アナログスケールSMD -0.31
-0.47 ~ -0.15
P=0.0001
WOMACSMD -0.46
-0.86 〜 -0.06
P=0.02
可動域SMD 0.40
0.09~0.72
P=0.01
不安スコア平均差 -3.95
-7.76 ~ -0.13
P=0.04

プールされたデータによると、クロスリアリティベースのリハビリテーションは、視覚的アナログスケール(標準化平均差[SMD] -0.31、95%信頼区間[CI] -0.47 ~ -0.15、P=0.0001)、WOMAC(SMD -0.46、95%信頼区間 -0.86 〜 -0.06、P=0.02)、可動域(SMD 0.40、95%信頼区間 0.09~0.72、P=0.01)、不安スコア(平均差 -3.95、95%信頼区間 -7.76 ~ -0.13、P=0.04)は従来のリハビリテーションよりも改善しましたが、Timed Up and GoテストとQOLは2群間で同等でした。

コメント

術後リハビリテーションにおいても仮想現実、拡張現実、複合現実などのクロスリアリティの利用が増加しています。しかし、従来のリハビリテーションと比較した検証は充分に行われていません。

さて、系統的レビューとメタ解析の結果、拡張現実に基づくリハビリテーションは、術後1ヵ月以内に従来のリハビリテーションと比較して、人工膝関節全置換術(TKA)における疼痛、機能、不安を改善することが示されました。一方、QOLは同等でした。

解析に組み入れられたのは、989例の患者を対象とした合計14件のランダム化比較試験であり、やや症例数が少ないと考えられます(少なくとも3,000例は欲しいところ)。

続報に期待。

man warming up in vr goggles

✅まとめ✅ 系統的レビューとメタ解析により、拡張現実に基づくリハビリテーションは、術後1ヵ月以内に従来のリハビリテーションと比較して、人工膝関節全置換術(TKA)における疼痛、機能、不安を改善したが、QOLは同様であることが明らかになった。

根拠となった試験の抄録

背景:人工膝関節全置換術(TKA)の術後リハビリテーションにおいて、仮想現実(人工現実感:virtual reality, VR)、拡張現実(augmented reality, AR)、複合現実(mixed reality, MR)などのクロスリアリティ(Cross Reality, Extended reality, XR)の利用が増加している。この系統的レビューとメタ解析の目的は、TKAにおけるXRを用いたリハビリテーションの有効性を従来のリハビリテーションと比較して評価することである。

方法:本研究では、PubMed(MEDLINE)、Embase(OVID)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、clinicaltrials.govを対象として、開始時から2023年2月15日までに検索を行った。989例の患者を対象とした合計14件のランダム化比較試験が本研究に組み入れられた。
主要アウトカムは疼痛と機能であった。副次的アウトカムは不安とQOLであった。系統的レビューとメタ解析が行われた。

結果:プールされたデータによると、クロスリアリティベースのリハビリテーションは、視覚的アナログスケール(標準化平均差[SMD] -0.31、95%信頼区間[CI] -0.47 ~ -0.15、P=0.0001)、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(SMD -0.46、95%信頼区間 -0.86 〜 -0.06、P=0.02)、可動域(SMD 0.40、95%信頼区間 0.09~0.72、P=0.01)、不安スコア(平均差 -3.95、95%信頼区間 -7.76 ~ -0.13、P=0.04)は従来のリハビリテーションよりも改善したが、Timed Up and GoテストとQOLは2群間で同等であった。

結論:この系統的レビューとメタ解析により、クロスリアリティに基づくリハビリテーションは、術後1ヵ月以内に従来のリハビリテーションと比較して、人工膝関節全置換術(TKA)における疼痛、機能、不安を改善したが、QOLは改善しなかったことが明らかになった。プールされた結果から、拡張現実を用いたリハビリテーションはTKA患者の術後リハビリテーションに有益である可能性が示唆された。

キーワード:拡張現実、拡張現実、メタ分析、リハビリテーション、人工膝関節全置換術、バーチャルリアリティ

引用文献

The Effectiveness of Virtual Reality, Augmented Reality, and Mixed Reality Rehabilitation in Total Knee Arthroplasty: A Systematic Review and Meta-Analysis
Shilong Su et al. PMID: 37598785 DOI: 10.1016/j.arth.2023.08.051
J Arthroplasty. 2023 Aug 19:S0883-5403(23)00861-6. doi: 10.1016/j.arth.2023.08.051. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37598785/

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