COVID-19後の帯状疱疹の長期リスクはどのくらいですか?(後向きコホート研究; J Med Virol. 2023)

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SARS-CoV-2感染からの回復後の帯状疱疹のリスクはどのくらいなのか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と帯状疱疹との関連性が報告されていますが、SARS-CoV-2感染からの回復後の帯状疱疹の長期リスクは不明です。

そこで今回は、COVID-19患者における帯状疱疹リスクを評価したレトロスペクティブ・コホート研究の結果をご紹介します。

このレトロスペクティブな傾向スコアマッチコホート研究は、多施設共同研究ネットワークTriNetXに基づくものであり、COVID-19患者における帯状疱疹の発症リスクを、1年間のフォローアップ期間中にSARS-CoV-2に感染していない患者と比較しました。

帯状疱疹およびそのサブタイプのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)が算出されました。

試験結果から明らかになったことは?

本研究において、COVID-19の診断を有する患者と有しない患者が、ベースライン特性を一致させた上で1,221例特定されました。

COVID-19患者
(vs. 非COVID-19患者)
帯状疱疹リスクHR 1.59(95%CI 1.49〜1.69

1年間の追跡期間中、COVID-19を有する患者は、COVID-19を有しない患者と比較して、帯状疱疹リスクが高いことが示されました(HR 1.59、95%CI 1.49〜1.69)。

COVID-19患者における各疾患のリスク
vs. 非COVID-19患者
ハザード比(95%CI)
帯状疱疹眼症HR 1.31(1.01〜1.71
播種性帯状疱疹HR 2.80(1.37〜5.74
その他の合併症を伴う帯状疱疹HR 1.66(1.55〜1.77

また、対照群患者と比較して、COVID-19を有する患者は、帯状疱疹眼症(HR 1.31、95%CI 1.01〜1.71)、播種性帯状疱疹(HR 2.80、95%CI 1.37〜5.74)、その他の合併症を伴う帯状疱疹(HR 1.46、95%CI 1.18〜1.79)および合併症を伴わない帯状疱疹(HR 1.66、95%CI 1.55〜1.77)リスクが高くなることが示されました。

カプランマイヤー曲線解析(log-rank p<0.05)の結果、COVID-19を有する患者は、COVID-19を有しない患者と比較して、帯状疱疹リスクが有意に高いままであることが示されました。

最後に、COVID-19コホートにおける帯状疱疹リスクの高さは、非COVID-19コホートと比較して、ワクチンの有無、年齢、性別にかかわらず、サブグループ分析でも一貫していました。また、12ヵ月間の追跡調査期間における帯状疱疹リスクは、COVID-19から回復した患者において、対照群と比較して有意に高い値を示しました。

コメント

COVID-19はサイトカインストームを引き起こし、さまざまな合併症や後遺症を引き起こします。これまで帯状疱疹との関連性について報告されてきましたが、より長期間における検証が求められていました。

さて、後向きコホート研究の結果において、COVID-19を有する集団における帯状疱疹の注意深いモニタリングの重要性が強調され、COVID-19患者に対する帯状疱疹ワクチンの有用性が示唆されました。

過去の研究において、COVID-19ワクチンと帯状疱疹発症との関連性については否定的です(PMID: 36383382PMID: 36706232)。つまり、COVID-19発症そのものが帯状疱疹リスクを増加させる可能性が高いということです。したがって、COVID-19を発症した患者、特に高齢者においては帯状疱疹ワクチンの予防的投与が重要であると考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 後向きコホート研究の結果において、COVID-19を有する集団における帯状疱疹の注意深いモニタリングの重要性が強調され、COVID-19患者に対する帯状疱疹ワクチンの有用性が示唆された。

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