地域在住の高齢女性の転倒予防に対する2年間の運動効果はどのくらい？（RCT; Age Ageing. 2023）

根拠となった試験の抄録

背景：共同運動介入は、転倒や怪我の予防に役立つ可能性がある。しかし、そのような戦略の有効性を実証する実用的な臨床試験はまばらである。

方法：我々は、初期6ヵ月間の監督された週1回のジムと太極拳セッションを含む、市のレクリエーションスポーツ施設への費用無料の12ヵ月間の入場が、転倒と関連する怪我の発生数を減少させるかどうかを決定した。平均フォローアップ期間は、2016〜19年に22.6（SD 4.8）ヵ月であった。人口ベースのサンプルから、平均年齢76.5（SD 3.3、範囲71.1～84.8）歳の女性914例を、運動介入群（n=457）と対照群（n=457）にランダム化した。転倒情報は、隔週のショートメッセージ（SMS）問い合わせと転倒日記を通じて収集された。Intention-to-treat（ITT）解析では、合計1,380件の転倒が記録され、1,281件（92.8%）が電話による確認が行われた。

結果：運動介入群では、対照群と比較して14.3％の転倒率低下が確認された（発生率比, IRR）=0.86、95%CI 0.77〜0.95）。転倒の約半数は、中等度（n=678、52.8％）または重度の傷害（n=61、4.8％）だった。全体で転倒の13.2％（n=166）（73件の骨折を含む）が医師の診察を必要としたが、運動介入群では骨折率が38％低かった（IRR=0.62、95%CI 0.39〜0.99）。全体として、41%（IRR=0.59、95%CI 0.36〜0.99）の最大の減少は、重傷と痛みを伴う転倒で観察された。

結論：6ヵ月の運動期間と12ヵ月のスポーツ施設の自由利用を組み合わせた地域密着型のアプローチは、高齢女性の転倒、骨折、その他の転倒関連傷害を減らすことができる。

キーワード：高齢化、運動、転倒傷害、転倒予防、骨折、高齢者

引用文献

Effectiveness of exercise on fall prevention in community-dwelling older adults: a 2-year randomized controlled study of 914 women
Toni Rikkonen et al. PMID: 37097767 PMCID: PMC10128158 DOI: 10.1093/ageing/afad059
Age Ageing. 2023 Apr 1;52(4):afad059 doi: 10.1093/ageing/afad059.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37097767/