日本のオミクロン変異株BA.1およびBA.2流行時のmRNA COVID-19ワクチンの有効性は?(試験陰性症例対照研究; VERSUS試験; Expert Rev Vaccines. 2023)

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日本におけるオミクロン流行時のmRNA COVID-19ワクチンの有効性はどのくらい?

COVID-19ワクチンの有効性(VE)を国内で評価することは、国のワクチン接種方針を評価・決定する上で極めて重要です。しかし、日本におけるワクチンの有効性に関するデータは限られています。

そこで今回は、国内におけるmRNA COVID-19ワクチンのVEを評価した多施設共同試験陰性症例対照(test -negative case-control)研究の結果をご紹介します。

本研究では、オミクロンBA.1およびBA.2が全国的に流行した2022年1月1日から6月26日までに、COVID-19に関連する徴候または症状で医療機関を訪れた16歳以上の個人が対象となりました。

症候性SARS-CoV-2感染に対する一次およびブースターワクチン接種のVEと、一次接種と比較したブースター接種の相対VEが評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

登録されたのは7,931例で、うち3,055例が検査陽性でした。年齢中央値は39歳、48.0%が男性、20.5%が基礎疾患を有していました。

(16〜64歳)COVID-19ワクチンの有効性(VE)
90日以内の一次ワクチン接種35.6%(95%CI 19.0〜48.8%
ブースター接種68.7%(95%CI 60.6~75.1%

16歳から64歳の個人において、90日以内の一次ワクチン接種のVEは35.6%(95%CI 19.0〜48.8%)でした。ブースター接種後のVEは68.7%(60.6~75.1%)に上昇しました。

(65歳以上)COVID-19ワクチンの有効性(VE)
90日以内の一次ワクチン接種31.2%(95%CI -44.0 〜 67.1%
ブースター接種76.5%(95%CI 46.7〜89.7%

65歳以上では、一次接種のVEは31.2%(-44.0 〜 67.1%)、ブースター接種のVEは76.5%(46.7〜89.7%)でした。

相対的VE
ブースター接種 vs. 一次接種
16~64歳52.9%(95%CI 41.0~62.5%
65歳以上65.9%(95%CI 35.7~81.9%

一次接種と比較したブースター接種の相対的VEは、16~64歳では52.9%(41.0~62.5%)、65歳以上では65.9%(35.7~81.9%)となりました。

コメント

COVID-19に対する基本的な感染予防策の一つにワクチン接種があげられ、特にmRNAベースのCOVID-19ワクチンが使用されています。日本における実臨床ベースのデータは限られていることから、エビデンス創出が求められています。

さて、日本の試験陰性症例対照研究の結果によれば、オミクロン変異株(BA.1およびBA.2)の流行時において、mRNA COVID-19の一次ワクチン接種は緩やかな予防効果を示しました。また、ブースターワクチン接種により、症候性感染症に対する予防が可能であることが示されました。

特に65歳以上においては、ワクチンの一次接種により区間推定値の加減がマイナスになっています。したがって、COVID-19発症リスク低減のためには、定期的なブースター接種が必要であることがわかります。

ワクチンの有効性評価のために健康志向バイアスなどのバイアスリスクを排除することが求められます。このため、2020年頃から試験陰性症例対照研究がワクチン評価の分野で採用されるようになってきました。日本においても本試験デザインが採用され、臨床試験が発表されたことは大きな一歩です。

続報に期待。

covid vaccine on blue surface

✅まとめ✅ 日本におけるオミクロン変異株(BA.1およびBA.2)の流行時、mRNA COVID-19の一次ワクチン接種は緩やかな予防効果を示した。また、ブースターワクチン接種により、症候性感染症に対する予防が可能であった。

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