成人CKD患者におけるポリファーマシーと腎臓病の進行との関連性は?(後ろ向きコホート研究; 福島CKDコホート研究; Clin J Am Soc Nephrol. 2021)

yellow and white red pills on blister pack 07_腎・泌尿器系
Photo by Anna Shvets on Pexels.com

CKD患者集団におけるポリファーマシーとアウトカムの関連性とは?

人類の寿命が長くなるにつれて、併存疾患を有する割合が増えてきました。これに伴い薬剤の使用数も増加しています。

薬剤使用数が5〜6剤以上の状態はポリファーマシーと定義されており、薬剤使用に伴う有害事象リスクの増加と関連していることから、特に在宅医療現場で問題視されています。また、ポリファーマシーはCKD患者において一般的であり、有害な転帰との関連についても報告されています。しかし、CKD患者における腎臓転帰に及ぼす影響は十分に解明されていません。

そこで今回は、ポリファーマシーと腎代替療法(KRT)を必要とする腎不全との関連性を検討した日本のコホート研究の結果をご紹介します。ちなみに、本試験では1日あたり5~9種類の薬剤使用をポリファーマシー、10種類以上の薬剤師用をハイパーポリファーマシーと定義しています。

試験結果から明らかになったことは?

薬剤数の中央値は8種類で、ポリファーマシーとハイパーポリファーマシーの有病率はそれぞれ38%でした。観察期間中(中央値 4.8年)に、120例が腎不全を発症し、153例が心血管イベントを発症し、109例が死亡しました。

ポリファーマシー
(vs. 5種類未満の薬剤使用)
ハイパーポリファーマシー
(vs. 5種類未満の薬剤使用)
腎不全HR 2.28
(95%CI 1.00~5.21
HR 2.83
(95%CI 1.21~6.66
心血管イベントHR 1.60
(95%CI 0.85~3.04
HR 3.02
(9%%CI 1.59~5.74
全死亡HR 1.25
(95%CI 0.62~2.53
HR 2.80
(95%CI 1.41~5.54

ポリファーマシーとハイパーポリファーマシーに関連する調整後のハザード比(95%信頼区間)は、5種類以下の薬剤使用と比較して、腎不全では2.28(1.00~5.21)と2.83(1.21~6.66)、心血管イベントでは1.60(0.85~3.04)と3.02(1.59~5.74)、全死亡では1.25(0.62~2.53)と2.80(1.41~5.54)でした。

コメント

日本における透析未導入CKD患者におけるポリファーマシーとアウトカムとの関連性について報告された後向きコホート研究。試験結果によれば、5剤以上の薬剤使用は、5剤未満と比較して、腎不全、心血管イベント、全死亡のリスクが高いことが明らかとなりました。大変貴重な報告であると考えます。

ただし、本試験は後向きコホート研究であることから、そもそもイベント発生リスクの高い患者集団において薬剤が多く使用されている可能性が高いです(逆因果、因果の逆転)。ポリファーマシー自体は、あくまでも薬剤の使用数が多いという状態に過ぎません。

ポリファーマシーは潜在的不適切処方(PIMs)と相関することが報告されていることから、処方薬剤レビューを行い、PIMsを検出し代替薬や処方中止の提案を実施した方が良いと考えられます。

woman holding a yellow string light

✅まとめ✅ 薬剤の使用数が多いと、腎不全、心血管イベント、全死亡のリスクが高いかもしれない。

根拠となった試験の抄録

背景と目的:ポリファーマシーはCKD患者では一般的であり、有害な転帰との関連が報告されている。しかし、CKD患者の腎臓の転帰に及ぼす影響は十分に解明されていない。そこで、本研究では、ポリファーマシーと腎代替療法(KRT)を必要とする腎不全との関連性を検討することを目的とした。

試験デザイン、設定、参加者および測定:福島CKDコホート研究に登録された1,117例(年齢中央値66歳、男性56%、eGFR中央値48ml/min/1.73m2)を対象に、日本人の非透析依存性CKD患者における処方薬の数と、腎不全、全死亡、心血管イベントなどの有害事象との関連をレトロスペクティブに検討した。ポリファーマシーとハイパーポリファーマシーは、それぞれ1日あたり5~9種類、10種類以上の薬を常用していることと定義した。

結果:薬剤数の中央値は8種類で、ポリファーマシーとハイパーポリファーマシーの有病率はそれぞれ38%であった。観察期間中(中央値 4.8年)に、120例が腎不全を発症し、153例が心血管イベントを発症し、109例が死亡した。
ポリファーマシーとハイパーポリファーマシーに関連する調整後のハザード比(95%信頼区間)は、5種類未満の薬剤使用と比較して、腎不全では2.28(1.00~5.21)と2.83(1.21~6.66)、心血管イベントでは1.60(0.85~3.04)と3.02(1.59~5.74)、全死亡では1.25(0.62~2.53)と2.80(1.41~5.54)であった。

結論:日本人の非透析依存性CKD患者が腎臓内科で治療を受けている場合、薬剤の使用数が多いと、腎不全、心血管イベント、全死亡のリスクが高いことがわかった。

キーワード:CKD、心血管疾患、慢性腎不全、死亡率、ポリファーマシー、予後

引用文献

Association of Polypharmacy with Kidney Disease Progression in Adults with CKD
Hiroshi Kimura et al. PMID: 34782408 DOI: 10.2215/CJN.03940321
Clin J Am Soc Nephrol. 2021 Nov 15;CJN.03940321. doi: 10.2215/CJN.03940321. Online ahead of print.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34782408/

関連記事

【進行性CKD高齢者における国際的な処方パターンとポリファーマシーの頻度はどのくらいですか?(前向きコホート研究; EQUAL study; Nephrol Dial Transplant. 2020)】

【処方薬レビューを行うことでポリファーマシーを抱える高齢患者のQOL向上や健康問題の解決に寄与できますか?(RCT; DREAMeR-study; PLoS Med. 2019)】

【ポリファーマシーは必要悪?(BMJ 2013:Free)】

コメント

タイトルとURLをコピーしました