移植患者におけるmRNA-1273ワクチンによる追加免疫の効果は?(RCTの二次解析; Ann Intern Med. 2021)

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移植患者におけるCOVID-19 mRNAワクチンの効果は?

SARS-CoV-2感染によるCOVID-19は、臓器移植を受けた集団でより重症化することが報告されています。SARS-CoV-2は一本鎖RNAウイルスであることから変異速度が速く、変異株の中でも懸念される変異株ウイルスが野生型ウイルスに取って代わっています。

臓器移植を受けた集団で、変異型ウイルスに対するワクチン2回接種または3回接種による免疫原性に関するデータは限られています。

そこで今回は、移植患者におけるCOVID-19 mRNAワクチン(mRNA-1273)による中和抗体反応について検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

合計117例の移植患者が解析されました(mRNA-1273群 60名、プラセボ群 57名)。血清は3回目のワクチン接種前と接種4~6週間後に採取しました。

2回の接種後、3つの変異株すべてに対して中和反応が陽性となった患者の割合は、野生型ウイルスと比較して小さいことが示されました。

mRNA-1273ワクチンの3回目の接種後、プラセボと比較して中和反応が陽性となった割合は、両アッセイで測定した3種類の亜種すべてについて改善しました。δ変異体に対する疑似ウイルス中和アッセイに基づくと、mRNA-1273群では60例中33例(55%)が陽性であったのに対し、プラセボ群では57例中10例(18%)が陽性でした(差 37[95%CI 19~53]%ポイント)。

その差は、α変異株では36(CI 17~51)%ポイント、β変異株では31(CI 15~46)%ポイントでした。mRNA-1273群では、野生型ウイルスと比較して変異株で低い中和抗体値が観察され、特にβ変異株が顕著でした。

コメント

臓器移植者では、移植後の拒絶反応を防ぐために免疫抑制薬を投与します。これにより健康な集団と比較して免疫機能が低下し、SARS-CoV-2感染によるCOVID-19が重症化しやすいことが報告されています。したがって、手洗い、マスクなどの基本的な感染予防策だけでなく、ワクチンの接種が求められます。しかし、免疫機能が低下しやすい臓器移植集者におけるワクチン接種の効果は充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、臓器移植患者においてCOVID-19 mRNAワクチンの3回目の接種は、SARS-CoV-2の野生型だけでなく亜種(α、β、δ)に対する中和抗体反応を増加させました。ただし、野生型ウイルスと比較して変異株で低い中和抗体値が観察され、特にβ変異株が顕著でした。これは健康な集団においても同様であることから、臓器移植者に限ったことではありません。ワクチンの効果は同様に示されたことになります。

今回の報告は単一施設の、さらにランダム化比較試験の二次解析の結果です。あくまでも仮説生成的な結果であることから追試が求められます。続報に期待。

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✅まとめ✅ 臓器移植患者において、mRNAワクチンの3回目の接種は、プラセボと比較してSARS-CoV-2の野生型だけでなく亜種(α、β、δ)に対する中和抗体反応を増加させる。

根拠となった試験の抄録

背景:COVID-19は臓器移植を受けた人でより重症化する。懸念される変異株ウイルスが野生型ウイルスに取って代わっている。臓器移植を受けた患者では、変異株ウイルスに対する2回投与または3回投与のワクチンの免疫原性に関するデータは限られている。

目的:移植患者におけるSARS-CoV-2亜種に対する2回および3回のワクチン投与による中和抗体反応を評価する。

試験デザイン:mRNA-1273ワクチンの3回目の投与とプラセボを比較したランダム化二重盲検比較試験の二次解析(ClinicalTrials.gov: NCT04885907)

試験設定:単一施設の移植プログラム

対象者:臓器移植を受けた患者

介入:mRNA-1273ワクチンの3回目の投与 vs. プラセボ

測定方法:血清は、野生型ウイルスおよびα、β、δの各変異体に対する中和について、代理ウイルス中和アッセイ及びスパイク・シュードタイプ・レンチウイルス・アッセイを用いて分析した。

結果:合計117例の移植患者を解析した(mRNA-1273群 60名、プラセボ群 57名)。血清は3回目のワクチン接種前と接種4~6週間後に採取した。
2回の投与後、3つの変異体すべてに対して中和反応が陽性となった患者の割合は、野生型ウイルスと比較して小さかった。mRNA-1273ワクチンの3回目の接種後、プラセボと比較して中和反応が陽性となった割合は、両アッセイで測定した3種類の亜種すべてについて改善した。δ変異株に対する疑似ウイルス中和アッセイに基づくと、mRNA-1273群では60例中33例(55%)が陽性であったのに対し、プラセボ群では57例中10例(18%)が陽性であった(差 37[95%CI 19~53]%ポイント)。その差は、α変異株では36(CI 17~51)%ポイント、β変異株では31(CI 15~46)%ポイントであった。mRNA-1273群では、野生型ウイルスと比較して変異株で低い中和抗体値が観察され、特にβ変異株が顕著であった。

試験の限界:中和抗体に対する保護の明確な相関関係はない。これは二次解析である。

結論:臓器移植患者において、mRNAワクチンの3回目の投与は、プラセボと比較してSARS-CoV-2の亜種に対する中和抗体反応を増加させる。

主要な資金源:Ajmera Transplant Centre

引用文献

Neutralization of SARS-CoV-2 Variants in Transplant Recipients After Two and Three Doses of mRNA-1273 Vaccine : Secondary Analysis of a Randomized Trial
Deepali Kumar et al. PMID: 34807716 DOI: 10.7326/M21-3480
Ann Intern Med. 2021 Nov 23. doi: 10.7326/M21-3480. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34807716/

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