がん治療が遅れると死亡リスク増加?(SR&MA; BMJ 2020)

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Mortality due to cancer treatment delay: systematic review and meta-analysis

Timothy P Hanna et al.

BMJ. 2020.

PMID: 33148535

PMCID: PMC7610021

DOI: 10.1136/bmj.m4087

目的

がん治療パスウェイに情報提供するために、がん治療の遅延が4週間増加するごとにおける、がん治療の遅延と死亡率との関連を定量化する。

試験デザイン

システマティックレビューおよびメタアナリシス。

データソース

2000年1月1日から2020年4月10日までにMedlineに掲載された研究。

研究を選択するための適格基準

膀胱がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、子宮頸がん、頭頸部がんに対する手術、全身治療、または放射線治療の治癒的適応、新アジュバント適応、および補助適応の研究が含まれた。

主要アウトカム指標は、各適応症の4週間の遅延ごとの全生存期間のハザード比であった。治療の遅延は、診断から最初の治療まで、または1つの治療が終了してから次の治療が開始されるまでの期間で測定した

一次解析では、主要な予後因子をコントロールした妥当性の高い研究のみを対象とした。

ハザード比は全生存期間との関係で対数線形であると仮定し、4週間の遅延ごとに効果に換算した。プール効果はDerSimonianおよびLairdランダム効果モデルを用いて推定した。

結果

・本レビューには、17の適応症を対象とした研究 34件が含まれていた(n=1 272,681)。

・放射線治療の適応症のうち5件、または子宮頸がん手術については、妥当性の高いデータは得られなかった。

・がん治療開始の遅延と死亡率増加との関連は、17の適応症のうち13件で有意であった(P<0.05)。

・手術所見は一貫しており、4週間の治療遅延ごとの死亡リスクは1.06~1.08であった(例:大腸切除術 1.06、95%信頼区間 1.01~1.12;乳房手術 1.08、1.03~1.13)。

・全身治療の推定値は様々であった(ハザード比の範囲:1.01~1.28)。放射線治療の推定値は、頭頸部がんに対する根治的放射線治療(ハザード比 1.09、95%信頼区間 1.05~1.14)、乳房温存手術後の補助放射線治療(0.98、0.88~1.09)、子宮頸部がん補助放射線治療(1.23、1.00~1.50)であった。

・併存疾患や機能的状態に関する情報が不足していたために除外された研究の感度解析を行っても、所見に変化はなかった。

結論

がん治療開始の遅延は世界中の医療システムにおける問題である。

治療開始の遅延が死亡率に及ぼす影響は、優先順位付けとモデル化のために定量化できるようになった。

がん治療の遅延が4週間であっても、7つのがん外科的治療、全身的治療、放射線治療の適応において死亡率の増加と関連している。がん治療開始までのシステムレベルの遅延を最小限に抑えることに焦点を当てた政策は、集団レベルの生存成績を改善する可能性がある。

コメント

がん治療において、患者背景により手術や化学療法(±緩和医療)が異なります。また、疾患に対し患者が、その事実を受け入れられているのかなどによっても、治療方針に影響を与えると考えます。

以前から、がん治療の遅延と死亡リスクとの関連性が指摘されており、今回の試験では、研究 34件(n=1 272,681)を含むメタ解析を実施しています。

さて、本試験結果によれば、がん治療開始の遅延と死亡率増加との関連は、17の適応症のうち13件で有意(P<0.05)だったようです。ただし、各因子調整後のハザード比としては、乳がんおよび大腸がんの死亡率と治療遅延との関連性が示されています。

少なくとも、この適応症2つについては、治療開始の遅延を抑えるための取り組みが必要であると考えます。

✅まとめ✅ がん治療の遅延が4週間であっても、7つのがん外科的治療、全身的治療、放射線治療の適応において死亡率の増加と関連していた

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