2型糖尿病患者における眼関連アウトカムに対するSGLT2阻害薬の効果はどのくらいですか?(SR&MA; Diabetes Obes Metab. 2020)

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Sodium-glucose co-transporter-2 inhibition and ocular outcomes in patients with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis

Chao Li et al.

Diabetes Obes Metab. 2020 Sep 21. doi: 10.1111/dom.14197. Online ahead of print.

PMID: 32954617

DOI: 10.1111/dom.14197

Keywords: SGLT2 inhibitor; diabetic retinopathy; meta-analysis; randomized trial; systematic review; type 2 diabetes.

背景:今回の研究をする目的は?

ナトリウム-グルコース共トランスポーター2(SGLT2)阻害薬は、2型糖尿病における大血管合併症や腎症の治療に有効であるが、微小血管眼関連アウトカムへの影響は不明である。

2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の全眼イベントおよび網膜症に対する効果を評価するため、ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。

方法:どんなやり方で調べたの?

データベース開始日から2019年10月11日までの期間を対象に、MEDLINEとEmbaseで検索した。

2人のレビュアーが独立して関連データを抽出した。

サマリーリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を推定するために、逆分散重み付けを用いたランダム効果モデルを選択した。

結果:どんなことが明らかになった?

・研究 9件、患者 39,982例、平均追跡期間 2.8年を対象とした。

・全眼的イベントは1,414件で、そのうち624件が網膜症イベントであった。

・SGLT2阻害薬は、全眼イベント(RR 0.97、95%CI 0.85〜1.11)または網膜症(RR 0.98、95%CI 0.84〜1.16)のリスクの変化とは関連しておらず、研究間で一貫した効果を示した(異質性のP=0.35、0.45)。

結論

2型糖尿病患者の眼疾患に対するSGLT2阻害の効果はおそらく無効であるが、利用可能なデータからは小規模から中等度の有益性または有害性を排除することはできない。

コメント

ナトリウム-グルコース共トランスポーター2(SGLT2)阻害薬は、2型糖尿病における大血管合併症や腎症の治療に有効であることが臨床試験で示されています。腎症は微小血管イベントに区分されることから、同じく微小血管イベントである網膜症へのSGLT2阻害薬の有効性に期待が寄せられます。

さて、試験結果によれば、全眼イベントおよび網膜症に対するSGLT2阻害薬は、プラセボと比較して、イベント発生を抑制する傾向にありましたが、有意差はありませんでした。

微小血管イベントは神経障害→網膜症→腎症の順に発症しやすいことが報告されています。今回の研究結果から推察すると、微小血管イベントに対しては、やはり早期治療による継続的な血糖コントロールが求められると考えられます。また過去の検討結果から、腎症の発症抑制効果については、SGLT2阻害薬固有のもである可能性が高いと考えられます。

引き続き追っていきたいテーマです。

✅まとめ✅ 2型糖尿病患者に対するSGLT2阻害薬の使用は、プラセボと比較して、全眼イベントや網膜症の発症を抑制できなかったが、減少傾向であった

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