高齢AMI入院患者における6ヵ月死亡リスクの予測ツール開発および検証(前向きコホート研究; Ann Intern Med. 2019)

この記事は約3分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

Predicting 6-Month Mortality for Older Adults Hospitalized With Acute Myocardial Infarction: A Cohort Study

John A Dodson et al.

Ann Intern Med. 2019

ClinicalTrials.gov: NCT01755052

PMID: 31816630

DOI: 10.7326/M19-0974

Primary funding source: National Heart, Lung, and Blood Institute of the National Institutes of Health.

背景

急性心筋梗塞(AMI)の高齢者は、若年者よりも認知機能、筋力、感覚ドメインの欠損など、機能障害の有病率が高くなっている。

目的

機能障害に関する情報を取り入れた、高齢者の6ヵ月AMI死亡リスクモデルの予後的有用性を開発および評価する。

デザイン

前向きコホート研究。

試験設定

米国の病院94施設

試験参加者

AMIで入院後、無事に退院した75歳以上の3,006人。

測定

入院中に直接測定(認知、可動性、筋力)または自己報告(視覚、聴覚)により機能障害を評価した。

過去のリスクモデルにおける死亡率に関連する臨床的変数は、チャートレビューにより確認された。 72の候補変数を含めるために選択し、後方選択とベイズモデル平均を使用して、6ヵ月死亡率モデルを導出(n = 2,004参加者)および検証(n = 1,002)した。

結果

・参加者の平均年齢は81.5歳、44.4%は女性、10.5%は非白人だった。 6ヵ月以内に266人(8.8%)が死亡した。

・最終的なリスクモデルには15の変数が含まれており、そのうち4つ(聴覚障害、運動障害、体重減少、患者報告による健康状態の低下)は以前のリスクモデルに含まれていなかった。

・リスクモデルは充分に較正され(Hosmer-Lemeshow P> 0.05)、良好な識別を示した(検証コホートの曲線下面積= 0.84)。 機能障害を追加すると、モデルのパフォーマンスが大幅に向上した。これは、聴覚障害では0.21(P = 0.008)、モビリティ障害では0.26(P <0.001)のカテゴリフリーの純再分類改善指数によって証明されている。

試験の限界

モデルは外部で検証されていない。

結論

高齢者の6ヵ月AMI死亡リスクに対する新たに開発されたモデルは、十分に調整されており、識別能力が良好であった。本モデルは、退院時の意思決定に役立つ場合がある。


コメント

試験の限界としてリスクモデルの外部バリデートについて記載されているが、これはおそらく最大でも2,000例の結果ですよって意味だと思います。

外部バリデーションの場合、導出と導入でサンプルを振り分けます。今回の場合は94施設、約3,000例を2:1に割り当てています。そこでそれぞれのサンプルで識別能力を検討して、より本モデルの識別能力を向上させようという試験です。

ここで問題となるのが、それぞれの検討結果による識別能力は、あくまでもそれぞれのサンプル数までしか分からず、決して3,000例全体の結果ではない、ということです。

そういった意味では、本試験はパイロット試験に近いかもしれません。今後さらに検討して行く必要があります。

また6ヵ月の心筋梗塞による死亡リスクを算出した後に、死亡リスクの高い患者における治療方針の補助まで落とし込めないと臨床で役立たないと考えられます。しかし非常に興味深い研究、続報に期待。

✅AMI入院後のMI関連志望リスクの評価ツール開発中✅

コメント

タイトルとURLをコピーしました