心房細動患者における抗凝固薬治療で骨折リスクは増加しますか?(前向きコホート研究; JAMA Intern Med. 2019.)

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Association of Anticoagulant Therapy With Risk of Fracture Among Patients With Atrial Fibrillation.

Lutsey PL, et al.

JAMA Intern Med. 2019.

PMID: 31764956

【研究の重要性】

ワルファリンは、心塞栓性合併症の予防のために心房細動(AF)の患者に処方されている。

ワルファリンが骨に悪影響を与えるかどうかは議論の余地がある。代替治療として直接経口抗凝固薬(Direct Oral AntiCoagulation, DOAC)が利用できるようになったため、骨折リスクに関連したワルファリンの比較安全性を評価できるようになった。

【目的】

非弁膜性AF患者において、DOAC使用がワルファリン使用よりも骨折リスクが低いという仮説を検証する。

【試験設計、設定、参加者】

本有効性比較コホート研究では、MarketScan行政請求データベースを使用して、非弁膜性AF患者および2010年1月1日から2015年9月30日まで経口抗凝固薬を処方された患者を特定した。

年齢、性別、CHA2DS2-VASc(うっ血性心不全、高血圧、年齢[> 65歳= 1ポイント;> 75歳= 2ポイント]、糖尿病、および脳卒中/一過性虚血発作の既往[2ポイント]、血管疾患)スコア、 高次元の傾向スコア。

最終分析には、AFの167,275人の患者が含まれた。 データは、2019年2月27日から2019年9月18日まで分析された。

【暴露】

ワルファリンとDOAC(ダビガトランエテキシレート、リバロキサバン、およびアピキサバン)。

【主なアウトカムと測定】

股関節骨折エピソード、入院が必要な骨折、および国際疾病分類・第9改訂・臨床修正コードで定義されたすべての骨折(入院患者または外来患者の主張を使用して特定)。

【結果】

・平均追跡期間は16.9 (SD 13.7) 年だった

・167,275人のAF患者(女性 38.0%、男性 62.0%、平均[SD]年齢 68.9 [12.5]歳)の研究集団では、股関節骨折817件、入院骨折2013件、および総骨折7,294件が発生した。

・ワルファリンの新規ユーザーと比較して、多変量調整済み、傾向スコアが一致したコックス比例ハザード回帰モデルでは、DOACの新規ユーザーは入院を必要とする骨折リスクが低い傾向があった。

★ハザード比[HR] =0.87; 95%CI 0.79〜0.96)

★総骨折(HR =0.93; 95%CI 0.88〜0.98)

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・一方、股関節骨折との関連(HR =0.91; 95%CI 0.78〜1.07)は統計的に有意ではなかった。

・個々のDOACとワルファリンを比較した場合、最も強い所見はアピキサバン(股関節骨折のHR =0.67 [95%CI 0.45〜0.98]; 入院を必要とする骨折のHR =0.60 [95%CI 0.47〜0.78]、および総骨折 =0.86 [95%CI 0.75〜0.98])。

・サブグループ分析では、DOACは、骨粗鬆症の診断を受けていない患者よりも骨粗鬆症の診断を受けたAF患者の方が有益であると思われた。

【結論と関連性】

AF患者167,275人を対象とした本リアルワールド集団において、ワルファリンの使用と比較したDOAC使用、特にアピキサバンの使用は、骨折リスク低下に関連していた。

これらの関連は、骨粗鬆症と診断された患者の間でより顕著だった。

骨の健康に対するワルファリンの潜在的な悪影響を考えると、これらの発見は、骨折リスクが高いAF患者にワルファリンを処方する際には注意が必要であることを示唆している。


【コメント】

アブストのみ。

過去の報告と矛盾しない。ビタミンKは骨のターンオーバーに関連しているためである。

ただし、骨折していない人では両群間で差がなかった。

骨折リスクが高い対象を含めるか否かはおいといて、骨折の既往がある患者ではOACの方が良さそうである。

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