A Double-Blind, Randomized, Multicenter Phase 3 Study of Palonosetron vs Granisetron Combined With Dexamethasone and Fosaprepitant to Prevent Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting in Patients With Breast Cancer Receiving Anthracycline and Cyclophosphamide
Koji Matsumoto et al.
Cancer Med. 2020
PMID: 32168551
DOI: 10.1002/cam4.2979
Keywords: AC regimen; CINV; fosaprepitant; granisetron; palonosetron.
目的
アントラサイクリンおよびシクロホスファミド(ACベースのレジメン)で治療中の乳癌患者において、デキサメタゾンおよびフォサプレピタント(Fos)との3剤併用療法に対する化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)の予防において、パロノセトロンがグラニセトロンよりも優れているか検討した。
患者および方法
原発性乳がんで化学療法を受けていない女性を対象に、AC ベースのレジメンを受ける前に、パロノセトロン 0.75mg(1 日目)またはグラニセトロン 1mg(1 日目)と、デキサメタゾン(1 日目に 12mg、2 日目と 3 日目に 8mg)および Fos 150mg(1 日目)を併用する群へ、それぞれ二重盲検でランダム割付した。
介入①:パロノセトロン+デキサメタゾン+Fos
介入②:グラニセトロン+デキサメタゾン+Fos
主要評価項目は、治療第1サイクルの遅発期における嘔吐の完全奏効率(CR)であった。
※定義:化学療法後24~120時間以上の時点で嘔吐が認められず、嘔吐もレスキュー薬の使用もなかった場合
副次評価項目は、急性期/全般期(化学療法後それぞれ0~24時間/0~120時間)のCR、悪心・嘔吐なし、Patient-Reported Outcomes version of the Common Terminology Criteria for Adverse Events(PRO-CTCAE)、安全性とした。
結果
・2012年12月から2014年10月までに326例が治療・評価された。
グラニセトロン群:164例
パロノセトロン群:162例
・遅発期のCRはグラニセトロン群で60.4%,パロノセトロン群で62.3%であった。
・急性期のCR(それぞれ73.2% vs. 75.9%)と全期間のCR(両レジメンで54.9%)はよく一致していた。
・パロノセトロン群では、遅発期に悪心のない患者が有意に多かった(28% vs. 40.1%;P = 0.029)。
・有害事象も同様であったが、注射あ部位反応(ISR)は両レジメンとも先行研究よりも高かった(20.3%~23.3%)。
結論
ACベースのレジメンを受けている化学療法未実施の原発性乳癌患者において、デキサメタゾンおよびFosとの併用では、パロノセトロンはグラニセトロンよりも優れていないことが示唆された。 ACベースのレジメン後に末梢静脈にFosを投与すると、ISRが上昇した。
コメント
化学療法の中では吐き気の強いACレジメン。基本的にステロイド、NK-1拮抗薬、5-HT3拮抗薬の併用による嘔吐予防が行われます。今回は、デキサメタゾン、フォスアプレピタントをベースに、5-HT3拮抗薬であるパロノセトロンとグラニセトロンとを比較した第3相試験。
さて、試験結果によると制吐作用において、両群間に差は認められなかった。ただし、遅発性悪心についてはパロノセトロンで有意に抑えられたとのこと。絶対差は12.1%、NNT=9。
治療費としては、後発医薬品のあるグラニセトロンの方が安価です。もろもろ含めて14,000円ぐらい差があったと思います。
急性期と全期間では差がないので、個人的にはグラニセトロンで良いと考えます。
コメント