重度のCOVID-19入院患者におけるロピナビル – リトナビルの効果はどのくらいですか?(Open-RCT; NEJM 2020)

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A Trial of Lopinavir-Ritonavir in Adults Hospitalized With Severe Covid-19

Bin Cao et al.

N Engl J Med. 2020

PMID: 32187464

DOI: 10.1056/NEJMoa2001282

Funded by Major Projects of National Science and Technology on New Drug Creation and Development and others

Chinese Clinical Trial Register number, ChiCTR2000029308.

背景

SARS-CoV-2によって引き起こされる重度の病気の治療に有効であると証明された治療薬はまだない。

方法

呼吸器疾患Covid-19を引き起こし、呼吸器を必要とするか、酸素分圧(Pao2)と吸気酸素の割合(Fio2)の300 mm Hg未満の比率を呈する酸素飽和度(Sao2)が94%以下であるSARS-CoV-2感染が確認された入院成人患者を対象としたランダム化対照オープン試験を実施した。

患者は、標準治療または標準治療のみに加えて、ロピナビル-リトナビル(それぞれ400 mgおよび100 mg)を14日間1日2回受けるように1:1の比率でランダムに割り当てられた。

主要エンドポイントは、ランダム化から7カテゴリーの順序尺度での2ポイントの改善または退院のいずれか早い方までの時間として定義される臨床改善までの時間だった。

結果

・実験室で確認されたSARS-CoV-2感染症の患者199人がランダム化を受けた。99人がロピナビル-リトナビル群に、100人が標準治療群に割り当てられた。

・ロピナビル-リトナビルによる治療は、臨床改善までの時間における標準治療との違いは認められなかった。

★臨床改善のハザード比 = 1.24、95%信頼区間[CI] 0.90〜1.72

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・28日の死亡率は、ロピナビル-リトナビル群と標準治療群で類似していた。

★19.2% vs. 25.0%、群間差 -5.8パーセントポイント、95%CI -17.3〜5.7

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・さまざまな時点でウイルスRNAを検出できる患者の割合は類似していた。

・修正治療意図分析では、ロピナビル-リトナビルは、標準的なケアで観察されたものよりも1日短い臨床改善までの時間の中央値をもたらした。

★ハザード比 = 1.39; 95%CI 1.00〜1.91

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・消化管有害事象はロピナビル-リトナビル群でより一般的だったが、重篤な有害事象は標準治療群でより一般的だった。

・ロピナビル-リトナビル治療は、有害事象のため患者13人(13.8%)で早期に中止された。

結論

重度のCovid-19入院成人患者では、標準治療を超えるロピナビル-リトナビル治療で利益は観察されなかった。

重病患者に対する今後の試験は、治療効果の可能性を確認または除外するのに役立つ可能性がある。

コメント

COVID-19に対するカレトラ®️(ロピナビル-リトナビル)の有効性を検証した試験。日本で承認されている用量と同じです。

さて、結果としては、残念ながら標準治療と差がなかった。効果推定値をみても、例数が少ないとはいえ、この値ならば例数を増やしたところで大きな群間差はなさそう。

他の候補薬を検証するのが先か、ワクチン開発が先か、続報に期待。

✅まとめ✅ COVID-19に対するロピナビル-リトナビル治療の効果は標準治療と変わらない

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