帯状疱疹は心血管リスクを高める?

02_循環器系
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ー MACCEとの長期関連を検証したコホート研究(Sci Rep. 2023)


臨床疑問

帯状疱疹(Herpes Zoster: HZ)は、長期的な心血管・脳血管イベント(MACCE)のリスク因子となるのか?


研究の背景

帯状疱疹は一般的な感染症であり、脳卒中や心筋梗塞などの短期的リスク上昇との関連はこれまでに報告されている。一方で、長期的な心血管イベント(MACCE)との関連については明確なエビデンスが限られていた。


PICO

項目内容
P(対象)成人患者(n=41,930)
I(曝露)帯状疱疹(HZ)
C(比較)非帯状疱疹
O(アウトカム)MACCE
(脳卒中、AMI、PCI、CABG、死亡など)

試験デザイン

  • 研究タイプ:後ろ向きコホート研究
  • 対象:HZ群 vs 非HZ群(1:1マッチ)
  • 期間:2001–2018年(最大17年追跡)
  • 解析手法:
    • Kaplan–Meier解析
    • 多変量Cox回帰
  • 調整因子:年齢、社会経済状況、脂質異常症、既往MI

試験結果

MACCE発生リスク

期間HR(95%CI)
1年1.19(1.01–1.39), P=0.035
5年1.07(0.96–1.18), P=0.219
15年1.03(0.95–1.13), P=0.451

👉 初年度で有意なリスク上昇


生存率(全期間)

アウトカムHZ群非HZ群P値
MACCE-free survival54.4%74.2%P<0.001
Stroke-free survival88.7%94.0%P=0.062
AMI-free survival68.7%90.0%P<0.001

個別アウトカム(Cox解析)

脳卒中

期間HR
1年0.78(NS)
5年1.04(NS)
15年1.13(NS)

心筋梗塞(AMI)

期間HR
1年1.30(NS)
5年1.07(NS)
15年1.02(NS)

抗ウイルス薬の影響

項目結果
抗ウイルス薬(アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル)投与後1か月以内の脳卒中、心筋梗塞、MACCEフリーの生存率抗ウイルス薬で治療した被験者では生存率が低いことが示された

試験の限界(批判的吟味)

  1. 後ろ向き研究であり因果関係は不明
  2. ICDコードベースの診断で誤分類の可能性
  3. ワクチン接種歴の情報なし
  4. 治療内容(抗ウイルス薬の用量等)の詳細不明
  5. HZの重症度や部位の情報なし
  6. 未測定交絡(生活習慣など)の影響

コメント(結果の解釈)

本研究では、帯状疱疹後の1年間においてMACCEリスクの有意な上昇が認められた。一方で、長期的には有意差は消失しており、HZは持続的なリスク因子というよりも「短期的リスク上昇」または「高リスク群のマーカー」としての側面が示唆される。


まとめ

  • 帯状疱疹後1年でMACCEリスク増加(HR 1.19)
  • 5年以上のより長期間では有意差なし
  • 抗ウイルス薬は長期予後において生存率低下と関連
  • HZは血管リスクのマーカーの可能性

帯状疱疹後、少なくとも1年間は心血管イベントのリスクが増加する可能性が示唆されました。帯状疱疹後神経痛を有さず皮膚病変が完治した後も継続的なフォローアップが必要なのかもしれません。

ワクチン接種の影響度が不明など、データ欠損があることから、結果の再現性を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 後ろ向きコホート研究の結果、追跡調査1年目におけるMACCEのリスクは、帯状疱疹患者で19%高かった。抗ウイルス治療は、帯状疱疹患者の長期生存率にプラスの効果をもたらさなかった。

根拠となった試験の抄録

帯状疱疹(Herpes zoster, HZ)は、その罹患率と合併症の多さから、一般集団において深刻な健康問題となっている。脳卒中と急性心筋梗塞は、主に脳動脈と冠動脈の血管障害による帯状疱疹の短期的な合併症としてよく知られている。しかし、これまでのところ、帯状疱疹がすべての主要心血管・脳血管イベント(Major Adverse Cardiac and Cerebrovascular Events, MACCE)の長期的なリスク因子であることを具体的に実証した大規模な研究はない。そこで、帯状疱疹とMACCEの関連性を分析する後ろ向きコホート研究を実施した。2001年から2018年の間に診断された帯状疱疹患者と、マッチングさせた対照群を比較した。モデルはマッチングペアごとに層別化し、年齢、社会経済的地位、脂質異常症の既往歴、および過去の心筋梗塞(myocardial infarction, MI)について調整した。帯状疱疹への曝露と脳卒中の関連性は、多変量Cox回帰分析によって評価した。本研究には41,930名の患者が参加し、各グループに20,965名ずつ含まれた。追跡調査1年目におけるMACCEのリスクは、帯状疱疹患者で19%高かった(P<0.001)。抗ウイルス治療は、帯状疱疹患者の長期生存率にプラスの効果をもたらさなかった(P<0.001)。これらの結果は、帯状疱疹が長期的な血管リスクの指標であることを示唆している。このリスク、帯状疱疹ワクチン接種がそのようなリスクに及ぼす影響、および潜在的なリスク軽減策をさらに評価するためには、追加の研究が必要となるだろう。

引用文献

Herpes zoster and long-term vascular risk: a retrospective cohort study
Amir Horev et al. PMID: 36759695 PMCID: PMC9911591 DOI: 10.1038/s41598-023-29667-w
Sci Rep. 2023 Feb 9;13(1):2364. doi: 10.1038/s41598-023-29667-w.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36759695/

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