心房細動を悪化させるのはコーヒー?それともカフェイン?(JAMA. 2026)

cup of cappuccino with latte art and croissant 02_循環器系
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― カフェイン摂取と心房細動再発の関係を検証した最新RCTの結果

この記事のポイント

  • 「コーヒー=不整脈を悪化させる」という通説を検証した前向きランダム化比較試験(RCT)
  • 心房細動(AF)患者において
    👉 カフェイン含有コーヒー摂取群のほうが再発率が低かった
  • ただし、試験には明確な限界があり、解釈には注意が必要

研究の背景|コーヒーは本当に心房細動を悪化させるのか?

カフェインは交感神経を刺激し、心拍数や興奮性を高める作用をもつため、

「コーヒーは不整脈を悪化させる」

という考えが長年広く受け入れられてきました。

しかし実際には、

  • 観察研究では「コーヒー摂取量が多いほどAFが少ない」
  • 一方で、介入試験はほとんど存在しない

という状況が続いていました。

そこで今回、心房細動患者を対象とした初のランダム化比較試験(RCT)が実施されました。


試験結果から明らかになったことは?

◆試験デザイン(PMID: 41206802)

■ 試験概要

項目内容
試験デザイン前向き・多施設・オープンラベルRCT
対象心房細動(AF)または心房粗動の既往あり
条件電気的除細動後、コーヒー摂取歴あり
症例数200例
期間6か月
登録施設米国・カナダ・オーストラリア
登録期間2021年11月~2024年12月

■ 介入内容

内容
コーヒー摂取群カフェイン入りコーヒーを1日1杯以上
摂取禁止群カフェイン・コーヒーを完全に回避

※デカフェやエナジードリンクも禁止
※摂取量は自己申告ベース


◆主要評価項目

Primary Endpoint

  • 心房細動または心房粗動の再発

(臨床的に確認されたもの)

Secondary Endpoint

  • 有害事象(出血・心血管イベントなど)

◆結果(重要ポイント)

◆ コーヒー摂取量

項目摂取群摂取禁止群
週あたり摂取量7杯(IQR 6–11)0杯(0–2)

→ 明確な摂取差あり


◆ 心房細動再発率(主要評価項目)

AF再発率ハザード比
(95%CI)
コーヒー群47%0.61(0.42~0.89)
P=0.01
摂取禁止群64%

👉 コーヒー摂取により再発リスクが39%低下


◆ 安全性(副作用)

項目結果
重篤な有害事象両群で差なし
出血有意差なし
不整脈悪化増加なし

本研究が示す臨床的意義

「コーヒー=不整脈を悪化させる」という従来の常識を否定
✔ 少なくとも「1日1杯程度のコーヒー」は
 👉 AF再発を増やさない
 👉 むしろ再発が少ない可能性
✔ 心房細動患者に対して、一律に「コーヒー禁止」とする根拠は乏しい


試験の限界

本研究は非常に意義のある試験ですが、以下の制限があります。

① オープンラベル試験

  • 盲検化されていない
  • 行動変容・報告バイアスの影響を受ける可能性

② コーヒー量は自己申告

  • 実際のカフェイン摂取量を正確に測定していない
  • 種類(エスプレッソ・ドリップなど)も統一されていない

③ 対象は「コーヒー常飲者」

  • もともとコーヒーを飲む人のみ
  • 非飲用者への一般化は不可

④ 観察期間は6か月

  • 長期的影響(数年単位)は不明
  • 心血管イベント抑制効果までは評価できない

⑤ 用量反応関係は不明

  • 「何杯まで安全か」は検討されていない
  • あくまで「1日1杯前後」の話

臨床現場での解釈

✔ 心房細動患者に対して
 → コーヒーを一律に禁止する必要はない

✔ 特に以下の患者では過度な制限は再考の余地あり

  • もともとコーヒーを飲んでいる
  • カフェインで動悸が悪化しない
  • 除細動後の維持療法中

⚠ ただし注意すべき患者

  • カフェインで明らかに動悸が誘発される
  • 不眠・頻脈が強い
  • 高用量摂取

コメント

◆まとめ

ポイント内容
研究タイプ前向きRCT
対象心房細動患者
介入コーヒー摂取 vs 禁止
結果摂取群でAF再発が有意に少ない
安全性有害事象の増加なし
結論適量のコーヒーはAF再発を増やさない可能性

再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

✅まとめ✅ 非盲検ランダム化比較試験の結果、「コーヒーは心房細動に悪い」という従来の常識は、少なくとも本試験の範囲では支持されなかった。むしろ、適量摂取は再発リスクを下げる可能性すら示唆された。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性: カフェイン入りコーヒーは不整脈を誘発するというのが通説です。コーヒーは米国で最も一般的に消費されているカフェイン入り飲料ですが、心房細動(AF)患者におけるカフェイン入りコーヒーの摂取を評価するランダム化試験はこれまで実施されていません。

目的: カフェイン入りコーヒーの摂取と、コーヒーとカフェインの摂取を控えた場合とを比較して、再発性AFに及ぼす影響を判断する。

試験設計、設定、および参加者: これは、2021年11月から2024年12月の間に米国、カナダ、オーストラリアの5つの病院から電気的除細動を予定している、現在または過去(過去5年以内)の持続性AFまたはAFの既往歴のある心房粗動のあるコーヒーを飲む成人200人を登録した前向き、非盲検、ランダム化臨床試験であった。最終追跡日は2025年6月5日であった。

介入: 患者は、カフェイン入りコーヒーを定期的に摂取する群と、コーヒーとカフェインの両方を断つ群に1:1の比率で無作為に割り付けられ、6ヶ月間継続した。コーヒー摂取群の患者には、カフェイン入りコーヒーを1日少なくとも1杯飲むことが推奨された。断つ群の患者には、カフェイン入りコーヒー、カフェインレスコーヒー、その他のカフェイン含有製品を完全に断つことが推奨された。

主な結果と評価: 主要評価項目は、6 か月以内に臨床的に検出された AF または心房粗動の再発でした。

結果: 200名の患者(平均年齢[SD]69[11]歳、男性71%)をカフェイン入りコーヒー摂取群(n = 100)とコーヒー断食群(n = 100)に無作為に割り付けた。ベースラインのコーヒー摂取量は両群とも週7杯(IQR 7-18)であった。追跡期間中、摂取群と断食群のコーヒー摂取量はそれぞれ週7杯(IQR 6-11)と0杯(IQR 0-2)であり、群間差は週7杯(95%信頼区間7-7)であった。主要解析では、コーヒー摂取群(47%)ではコーヒー断食群(64%)よりもAFまたは心房粗動の再発率が低く、再発ハザード比は39%低下しました(ハザード比0.61 [95%信頼区間0.42-0.89]、P = .01)。コーヒー摂取による同等のベネフィットはAF再発のみにも認められました。有害事象には有意差は認められませんでした。

結論と関連性: 心臓除細動が成功した後のコーヒー愛飲者を対象としたこの臨床試験では、平均して 1 日 1 杯のカフェイン入りコーヒーの摂取に割り当てられた群は、コーヒーやカフェイン入り製品を断った群と比較して、AF または心房粗動の再発が少ないことが示されました。

試験登録: ClinicalTrials.gov 識別子 NCT05121519

引用文献

Caffeinated Coffee Consumption or Abstinence to Reduce Atrial Fibrillation: The DECAF Randomized Clinical Trial
Christopher X Wong et al. PMID: 41206802 PMCID: PMC12598581 (available on 2026-05-09) DOI: 10.1001/jama.2025.21056
JAMA. 2026 Jan 27;335(4):317-325. doi: 10.1001/jama.2025.21056.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41206802/

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