ポケモンGOは身体活動に良い影響を及ぼすのか?
ポケモンGOは、プレイヤーが仮想キャラクターを捕まえるために様々な場所に移動することを要求する人気のモバイル拡張現実ゲームです。しかし、プレイヤーの身体活動に対する影響については充分に検討されていません。
そこで今回は、ポケモンGOがプレイヤーの身体活動へどのような影響を及ぼすのか検討したメタ解析の結果をご紹介いたします。
本試験では、PubMed、Web of Science、Scopus、EBSCO、SPORTDiscus、PsycINFO、ScienceDirect、Cochrane Libraryにおいて、2016年7月から2018年10月に出版された論文についてキーワード検索が実施されました。ポケモンGOのプレイが身体活動のアウトカムに及ぼすプール効果を推定するためにメタ解析が実施されました。
試験結果から明らかになったことは?
キーワード検索から、17件の研究(観察研究16件、事前事後研究1件)が同定され、総サンプル数は33,108例でした。
ポケモンGOのプレイヤーと非プレイヤー、プレイ前後の時点の比較では、歩行時間、歩行距離、歩数/日が増加することが明らかとなりました。また、ポケモンGOプレイヤーは座りっぱなしの行動が少ないことが示されました。ポケモンGOのプレイは、1日あたりの歩数1,446歩の増加と関連していました(95%CI 953〜1,939、I2=81%)。
コメント
人気の位置情報アプリとしてポケモンGOやドラクエウォークが挙げられますが、これらがプレイヤーの身体活動にどの程度、影響するのかについては充分に検討されていません。
さて、本試験結果によれば、ポケモンGOをプレイすることは、ゲームプレイヤーの1日の歩数の統計的に有意だが臨床的には控えめな増加と関連していました。しかし、メタ解析の結果は異質性が高く、今後の試験結果により結果が覆る可能性、また身体活動増加に対する持続的な効果が得られるのかについて、引き続き検討が求められます。
とはいえ、歩行に関わらず外出する機会が増加することは、少なからず身体活動に良い影響を及ぼすことが期待できます。
続報に期待。
✅まとめ✅ ポケモンGOをプレイすることは、ゲームプレイヤーの1日の歩数の統計的に有意だが臨床的には控えめな増加と関連していたが、メタ解析の結果は異質性が高く、今後の試験結果により結果が覆る可能性、また身体活動増加に対する持続的な効果が得られるのかについて検討が求められる。
根拠となった試験の抄録
コンテクスト:ポケモンGOは、プレイヤーが仮想キャラクターを捕まえるために様々な場所に移動することを要求する人気のモバイル拡張現実ゲームである。本研究では、プレイヤーの身体活動への関与に関連するポケモンGOを体系的に検討し、定量化した。
エビデンスの取得:PubMed、Web of Science、Scopus、EBSCO、SPORTDiscus、PsycINFO、ScienceDirect、Cochrane Libraryにおいて、2016年7月から2018年10月に出版された論文についてキーワード検索を実施した。ポケモンGOのプレイが身体活動のアウトカムに及ぼすプール効果を推定するためにメタ解析を実施した。
エビデンスの統合:キーワード検索から、17件の研究(観察研究16件、事前事後研究1件)が同定され、総サンプル数は33,108例であった。ポケモンGOのプレイヤーと非プレイヤー、プレイ前後の時点の比較では、歩行時間、歩行距離、歩数/日が増加することが明らかになった。また、ポケモンGOプレイヤーは座りっぱなしの行動が少ないことが明らかとなった。ポケモンGOのプレイは、1日あたりの歩数1,446歩の増加と関連していた(95%CI 953〜1,939、I2=81%)。
結論:ポケモンGOをプレイすることは、ゲームプレイヤーの1日の歩数の統計的に有意だが臨床的には控えめな増加と関連した。ポケモンGOを用いた今後の身体活動介入における1つの課題は、最初の目新しさがなくなった後、積極的な関与を維持することである。ポケモンGOやその他の拡張現実ゲームが、持続的な期間、集団レベルでの身体活動を促進するためにどの程度使用できるかを評価するために、より長い追跡期間と実験的研究デザインを持つ追加の研究が必要である。
引用文献
Impact of Pokémon Go on Physical Activity: A Systematic Review and Meta-Analysis
Madina Khamzina et al. PMID: 31836333 DOI: 10.1016/j.amepre.2019.09.005
Am J Prev Med. 2020 Feb;58(2):270-282. doi: 10.1016/j.amepre.2019.09.005. Epub 2019 Dec 10.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31836333/
コメント