変形性股関節症または変形性膝関節症患者に対する鎮痛剤の効果は?(RCTのSR&MA; Phys Ther. 2024)

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鎮痛薬は身体機能を改善できるのか?

変形性股関節症および変形性膝関節症は、世界的な身体障害の主な原因のひとつであり、その治療の主な目的のひとつは身体機能を改善することです。治療の主体は鎮痛薬ですが、この鎮痛薬が身体機能を改善するかは不明です。

そこで今回は、鎮痛薬が身体機能(自己報告による身体機能と歩行能力)に及ぼす影響を調査することを目的に実施されたメタ解析の結果をご紹介します。

本研究はシステマティックレビューとメタ解析であり、鎮痛薬の自己報告による身体機能および歩行能力への影響を調査したランダム化比較試験が対象となりました。鎮痛薬は経口投与のアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、オピオイドでした。

データはランダム効果モデルでプールされ、標準化平均差(SMD)と95%CIが算出されました(SMD:0.2~0.4=小さい、0.5~0.7=中程度、0.8以上=大きい効果量)。エビデンスの質は、Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluationのアプローチに従って評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

合計1,454件の研究が同定され、そのうち33件が組み入れられました。

自己報告による身体機能標準化平均差 SMD
(95%CI)
アセトアミノフェンSMD -0.13(-0.26 〜 0.00
NSAIDsSMD -0.32(-0.37 〜 -0.27
オピオイドSMD -0.20(-0.32 〜 -0.09

自己報告による身体機能については、アセトアミノフェン(SMD -0.13、95%CI -0.26 〜 0.00)、NSAIDs(SMD -0.32、95%CI -0.37 〜 -0.27)、またはオピオイド(SMD -0.20、95%CI -0.32 〜 -0.09)の有益性が小さいという低~中程度の質のエビデンスが示されました。

歩行中の疼痛標準化平均差 SMD
(95%CI)
NSAIDsSMD -0.34(-0.45 〜 -0.23

歩行中の疼痛に対する非ステロイド性抗炎症薬の効果が小さいことについては、中等度の質のエビデンスが示されました(SMD -0.34、95%CI -0.45 〜 -0.23)。

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変形性股関節症および変形性膝関節症の発症は、その多くが原因不明ですが、関節軟骨がすり減ることで生じる軟骨下骨の疼痛性障害の一つです。根本的な治療法は確立されていないため、対症療法である疼痛緩和療法が行われます。しかし、治療目標の一つである身体機能の改善が得られるかどうかについては充分に検証されていません。

さて、ランダム化比較試験を対象としたメタ解析の結果、変形性股関節症または変形性膝関節症の患者において、身体機能および歩行能力に対する鎮痛薬のわずかに有益な効果について、低~中程度の質のエビデンスが認められました。

鎮痛薬が運動時および歩行時の疼痛を軽減することにより身体機能を改善した可能性があります。またストレッチや筋力負荷などの身体機能強化療法と鎮痛薬との併用効果については不明です。

続報に期待。

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✅まとめ✅ メタ解析の結果、変形性股関節症または変形性膝関節症の患者において、身体機能および歩行能力に対する鎮痛薬のわずかに有益な効果について、低~中程度の質のエビデンスが認められた。

根拠となった試験の抄録

目的:変形性股関節症および変形性膝関節症は、世界的な身体障害の主な原因のひとつであり、その治療の主な目的のひとつは身体機能を改善することである。このレビューの目的は、鎮痛薬が身体機能(自己報告による身体機能と歩行能力)に及ぼす影響を調査することである。

方法:システマティックレビューとメタアナリシスを行った。鎮痛薬の自己報告による身体機能および歩行能力への影響を調査したランダム化比較試験を対象とした。鎮痛薬は経口投与のアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、オピオイドとした。データはランダム効果モデルでプールされ、標準化平均差(SMD)と95%CIが算出された(SMD:0.2~0.4=小さい、0.5~0.7=中程度、0.8以上=大きい効果量)。エビデンスの質は、Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluationのアプローチに従って評価された。

結果:合計1,454件の研究が同定され、そのうち33件が組み入れられた。自己報告による身体機能については、アセトアミノフェン(SMD -0.13、95%CI -0.26 〜 0.00)、NSAIDs(SMD -0.32、95%CI -0.37 〜 -0.27)、またはオピオイド(SMD -0.20、95%CI -0.32 〜 -0.09)の有益性が小さいという低~中程度の質のエビデンスが示された。歩行中の疼痛に対する非ステロイド性抗炎症薬の効果が小さいことについては、中等度の質のエビデンスがあった(SMD -0.34、95%CI -0.45 〜 -0.23)。

結論:変形性股関節症または変形性膝関節症の患者において、身体機能および歩行能力に対する鎮痛薬のわずかな有益な効果について、低~中程度の質のエビデンスが認められた。

試験結果によるインパクト:鎮痛薬は、運動時および歩行時の疼痛を軽減することにより身体機能を改善する可能性がある。

キーワード:鎮痛薬、変形性股関節症、変形性膝関節症、身体機能、歩行能力

引用文献

Effects of Analgesics on Self-Reported Physical Function and Walking Ability in People With Hip or Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis
Silje H Sveaas et al. PMID: 37980627 PMCID: PMC10902557 DOI: 10.1093/ptj/pzad160
Phys Ther. 2024 Feb 1;104(2):pzad160. doi: 10.1093/ptj/pzad160.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37980627/

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