超早産児の神経発達アウトカムに対するドナーミルク vs. 早産児用ミルク(DB-RCT; JAMA. 2024)

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極小の早産児(超早産児)の成長にミルクの種類は影響するのか?

出産入院中の超早産児への母乳給与は、早産児用ミルクと比較して神経発達の転帰が良好であることと関連していることが報告されています。しかし、母乳栄養を全く受けていない、または最低限しか受けていない乳児の場合、ドナーヒトミルクが早産児用ミルクと比較して同様の神経発達上の利点をもたらすかどうかは不明です。

そこで今回は、最小限の母乳しか与えられなかった超早産児において、栄養強化された低温殺菌のドナーヒトミルクが、早産児用ミルクと比較して、修正月齢22~26ヵ月時の神経発達転帰を改善するかどうかを明らかにすることを目的に実施されたランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験は、ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所新生児研究ネットワーク(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Network)内の米国の15の学術医療センターで実施された二重盲検ランダム化臨床試験です。2012年9月~2019年3月に妊娠29週0日未満または出生体重1,000g未満の乳児が登録されました。

ランダム化から生後120日、死亡、または退院まで、早産児用粉ミルクまたはドナーヒトミルクの給与が行われました。

本試験の主要アウトカムは、22~26ヵ月の修正月齢で測定したBayley Scales of Infant and Toddler Development(BSID)の認知スコアでした。ランダム化から22~26ヵ月の修正月齢までに死亡した乳児には54点(スコアの範囲 54~155点;85点以上は神経発達の遅れがないことを示す)が割り当てられました。24の副次的アウトカムには、BSID言語・運動スコア、院内発育、壊死性腸炎、死亡が含まれました。

試験結果から明らかになったことは?

1,965例の適格乳児のうち483例がランダム化されました(ドナーミルク群 239例、早産児用ミルク群 244例);妊娠週数中央値は26週(IQR 25~27週)、出生体重中央値は840g(IQR 676~986g)、52%が女性でした。出産した親の人種は、黒人52%(247/478例)、白人43%(206/478例)、その他5%(25/478例)でした(自己申告)。

追跡調査前に死亡した乳児は54人でした;生存者の88%(376/429例)は、修正月齢22~26ヵ月で評価されました。

ドナーミルク群早産児用ミルク群群間差
(95%CI)
調整平均BSID認知スコア80.7(SD 17.4)81.1(SD 16.7)調整平均差 -0.77
-3.93~2.39
有意ではなかった
死亡率(追跡調査前の死亡)13%(29/231例)11%(25/233例)調整リスク差 -1%
-4% ~ 2%
壊死性腸炎4.2%(10/239例)9.0%(22/244例)調整リスク差 -5%
-9% ~ -2%
体重増加24.6g/kg/d
23.6~25.6
22.3g/kg/d
21.3~23.3

調整平均BSID認知スコアは、ドナーミルク群80.7(SD 17.4)に対して早産児用ミルク群81.1(SD 16.7)でした(調整平均差 -0.77、95%CI -3.93~2.39、有意ではなかった);調整平均BSID言語スコアおよび運動スコアにも差はありませんでした。

死亡率(追跡調査前の死亡)は、ドナーミルク群13%(29/231例)に対して早産児用ミルク群11%(25/233例)でした(調整リスク差 -1%、95%CI -4% ~ 2%)。壊死性腸炎は、ドナーミルク群では乳児の4.2%(10/239例)であったのに対し、早産児用ミルク群では乳児の9.0%(22/244例)でした(調整リスク差 -5%、95%CI -9% ~ -2%)。体重増加は、早産児用ミルク群(24.6g/kg/d、95%CI 23.6~25.6g/kg/d)と比較して、ドナーミルク群(22.3g/kg/d、95%CI 21.3~23.3g/kg/d)では遅かった。

コメント

極小の早産児(超早産児)の成長に対して、ミルクの種類で差があるのか充分に検証されていません。

さて、二重盲検ランダム化比較試験の結果、最小限の母乳しか飲めない極早産新生児において、22~26ヵ月齢の修正月齢における神経発達の転帰は、ドナーミルクを与えた乳児と早産児用ミルクを与えた乳児の間で差がありませんでした。

一方、発生数が限られているものの、壊死性腸炎についてはドナーヒトミルクの方が少ない結果が示されています。副次的評価項目ではあるものの、被験者予後への影響が大きいことから、関心の高いアウトカムであると考えられます。壊死性腸炎の重症例では、腸管の損傷した部分を切除する手術が必要になったり、場合によっては死亡する場合があるためです。引き続き検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 二重盲検ランダム化比較試験の結果、最小限の母乳しか飲めない極早産新生児において、22~26ヵ月齢の修正月齢における神経発達の転帰は、ドナーミルクを与えた乳児と早産児用ミルクを与えた乳児の間で差がなかった。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:出産入院中の極早産児への母乳給与は、早産児用ミルクと比較して神経発達の転帰が良好であることと関連している。母乳栄養を全く受けていない、または最低限しか受けていない乳児の場合、ドナーヒトミルクが早産児用ミルクと比較して同様の神経発達上の利点をもたらすかどうかは不明である。

目的:最小限の母乳しか与えられなかった超早産児において、栄養強化された低温殺菌のドナーヒトミルクが、早産児用ミルクと比較して、修正月齢22~26ヵ月時の神経発達転帰を改善するかどうかを明らかにすること。

試験デザイン、設定、参加者:ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所新生児研究ネットワーク(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Network)内の米国の15の学術医療センターで実施された二重盲検ランダム化臨床試験。2012年9月~2019年3月に妊娠29週0日未満または出生体重1,000g未満の乳児が登録された。

介入: ランダム化から生後120日、死亡、または退院まで、早産児用粉ミルクまたはドナー人乳の給与。

主要アウトカムと評価基準:主要アウトカムは、22~26ヵ月の修正月齢で測定したBayley Scales of Infant and Toddler Development(BSID)の認知スコアであった。ランダム化から22~26ヵ月の修正月齢までに死亡した乳児には54点(スコアの範囲 54~155点;85点以上は神経発達の遅れがないことを示す)が割り当てられた。24の副次的アウトカムには、BSID言語・運動スコア、院内発育、壊死性腸炎、死亡が含まれた。

結果:1,965例の適格乳児のうち483例がランダム化された(ドナーミルク群 239例、早産児用ミルク群 244例);妊娠週数中央値は26週(IQR 25~27週)、出生体重中央値は840g(IQR 676~986g)、52%が女性であった。出産した親の人種は、黒人52%(247/478例)、白人43%(206/478例)、その他5%(25/478例)と自己申告した。追跡調査前に死亡した乳児は54人であった;生存者の88%(376/429例)は、修正月齢22~26ヵ月で評価された。調整平均BSID認知スコアは、ドナーミルク群80.7(SD 17.4)に対して早産児用ミルク群81.1(SD 16.7)であった(調整平均差 -0.77、95%CI -3.93~2.39、有意ではなかった);調整平均BSID言語スコアおよび運動スコアにも差はなかった。死亡率(追跡調査前の死亡)は、ドナーミルク群13%(29/231例)に対して早産児用ミルク群11%(25/233例)であった(調整リスク差 -1%、95%CI -4% ~ 2%)。壊死性腸炎は、ドナーミルク群では乳児の4.2%(10/239例)であったのに対し、早産児用ミルク群では乳児の9.0%(22/244例)であった(調整リスク差 -5%、95%CI -9% ~ -2%)。体重増加は、早産児用ミルク群(24.6g/kg/d、95%CI 23.6~25.6g/kg/d)と比較して、ドナーミルク群(22.3g/kg/d、95%CI 21.3~23.3g/kg/d)では遅かった。

結論と関連性:最小限の母乳しか飲めない極早産新生児において、22~26ヵ月齢の修正月齢における神経発達の転帰は、ドナーミルクを与えた乳児と早産児用ミルクを与えた乳児の間で差がなかった。

臨床試験登録 ClinicalTrials.gov ID:NCT01534481

引用文献

Neurodevelopmental Outcomes of Extremely Preterm Infants Fed Donor Milk or Preterm Infant Formula: A Randomized Clinical Trial
Tarah T Colaizy et al. PMID: 38497706 PMCID: PMC10828950 (available on 2024-07-30) DOI: 10.1001/jama.2023.27693
JAMA. 2024 Feb 20;331(7):582-591. doi: 10.1001/jama.2023.27693.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38497706/

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