COVID-19後12ヵ月以内の症状の有病率はどのくらい?(前向きコホート研究:2020年12月~2023年3月; INSPIRE; MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023)

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COVID-19罹患後の症状の特徴とは?

SARS-CoV-2感染後またはCOVID様疾患後のCOVID後症状が報告されていますが、充分に検証されていません。

そこで今回は、COVID後症状について、症状の進行、消失、出現、再出現に関するより微妙な説明を提供するために実施された研究結果をご紹介します。

本解析では、前向き多施設コホート研究であるInnovative Support for Patients with SARS-CoV-2 Infections Registry(INSPIRE)のデータが調査されました。この報告には、登録時に食品医薬品局(FDA)承認のポリメラーゼ連鎖反応または抗原検査を用いてSARS-CoV-2検査を受け、12ヵ月間3ヵ月間隔で症状を報告したCOVID様疾患の成人1,296例から収集した自己報告症状に関するデータの解析が含まれていました。

試験結果から明らかになったことは?

何らかの症状の有病率COVID検査陽性者COVID検査陰性者
ベースライン98.4%88.2%
3ヵ月後48.2%36.6%
12ヵ月後18.3%
p>0.05
16.1%

SARS-CoV-2検査の結果が陽性であった者(COVID検査陽性者)では98.4%から48.2%へ、SARS-CoV-2検査の結果が陰性であった者(COVID検査陰性者)では88.2%から36.6%へと、ベースラインから3ヵ月後の追跡調査までの間に、何らかの症状の有病率は大幅に減少しました。

両群とも、6ヵ月後、9ヵ月後、12ヵ月後に症状が出現または再燃したと報告されました。したがって、これらの症状はCOVID-19やCOVID後の状態に特有のものではないようです。

持続的な症状は12ヵ月まで減少し、12ヵ月時点では両群間に差は認められませんでした(COVID検査陽性者の有病率=18.3%、COVID検査陰性者の有病率=16.1%、p>0.05)。

コメント

2019年に流行をはじめた新型コロナウイルス感染症は、罹患後にさまざまな症状を引き起こすだけでなく、後遺症として長期間にわたり症状が示されることがあります。これをlong COVIDあるいはコロナ後遺症と呼びます。現在までに根本的な治療法はなく、罹患しないよう基本的な感染予防策の実施、ワクチン接種がコロナ後遺症の発症リスクを低減させることが報告されています。

コロナ後遺症については充分に解明されていないことから、さらなる検証が求められています。

さて、2020年12月~2023年3月のINSPIREデータを調査したMMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023において、COVID様疾患の症状は12ヵ月後まで持続する可能性、またCOVID様疾患の1年後に多くの症状が出現または再出現する可能性があることが明らかとなりました。COVID-19罹患後の症状は、基本的に1〜2週間以内に自然寛解することが知られていますが、本解析結果では罹患した後の6ヵ月後、9ヵ月後、12ヵ月後に症状が出現または再燃したことが報告されていることから、コロナ後遺症だけでなく、再罹患の可能性も考えられます。解析対象となったのはCOVID様疾患の成人1,296例とやや小規模な解析結果です。より精緻な検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ COVID様疾患の症状は12ヵ月後まで持続する可能性、またCOVID様疾患の1年後に多くの症状が出現または再出現する可能性があることが明らかとなった。追加の検証が求められる。

根拠となった試験の抄録

背景・方法:SARS-CoV-2感染後またはCOVID様疾患後のCOVID後症状の理解を深め、症状の進行、消失、出現、再出現に関するより微妙な説明を提供するために、解析者らは前向き多施設コホート研究であるInnovative Support for Patients with SARS-CoV-2 Infections Registry(INSPIRE)のデータを調査した。この報告には、登録時に食品医薬品局承認のポリメラーゼ連鎖反応または抗原検査を用いてSARS-CoV-2検査を受け、12ヵ月間3ヵ月間隔で症状を報告したCOVID様疾患の成人1,296例から収集した自己報告症状に関するデータの解析が含まれている。

結果:SARS-CoV-2検査の結果が陽性であった者(COVID検査陽性者)では98.4%から48.2%へ、SARS-CoV-2検査の結果が陰性であった者(COVID検査陰性者)では88.2%から36.6%へと、ベースラインから3ヵ月後の追跡調査までの間に、何らかの症状の有病率は大幅に減少した。持続的な症状は12ヵ月まで減少し、12ヵ月時点では両群間に差は認められなかった(COVID検査陽性者の有病率=18.3%、COVID検査陰性者の有病率=16.1%、p>0.05)。
両群とも、6ヵ月後、9ヵ月後、12ヵ月後に症状が出現または再燃したと報告している。したがって、これらの症状はCOVID-19やCOVID後の状態に特有のものではない。

結論:症状が12ヵ月まで持続する可能性があること、またCOVID様疾患の1年後に多くの症状が出現または再出現する可能性があることを認識することは、医療提供者がCOVID後遺症に関連する臨床症状や徴候を理解するのに役立つであろう。

引用文献

Prevalence of Symptoms ≤12 Months After Acute Illness, by COVID-19 Testing Status Among Adults – United States, December 2020-March 2023
Juan Carlos C Montoy et al. PMID: 37561663 PMCID: PMC10415002 DOI: 10.15585/mmwr.mm7232a2
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023 Aug 11;72(32):859-865. doi: 10.15585/mmwr.mm7232a2.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37561663/

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