根拠となった試験の抄録
試験の重要性:多くの処方薬(ハイパーポリファーマシー)を使用している高齢患者は、薬物有害作用のリスクが高い可能性がある。
目的:ハイパーポリファーマシーを減らすことを目的とした質の高い介入の有効性と安全性を検証すること。
試験デザイン、設定、参加者:本ランダム化比較試験は、複数の既存減処方ワークフローを有する統合医療システムにおいて、10種類以上の処方薬を使用する76歳以上の患者を減処方介入または通常ケア(1:1)に割り付けた。データ収集期間は2020年10月15日~2022年7月29日。
介入:医師と薬剤師による共同薬物療法管理、標準治療の実践推奨、共同意思決定、および減処方プロトコルを、割り付け後最大180日間、複数サイクルで電話により実施。
主要アウトカムと評価基準:主要評価項目は、ランダム化前と比較した割り付け後181~365日の薬剤数および老年症候群(転倒、認知、尿失禁、疼痛)の有病率の変化であった。副次的評価項目は、医療サービスの利用および薬物離脱による副作用であった。
結果:登録の可能性がある患者2,860例のランダム標本のうち、2,470例(86.4%)が医師の承認後も適格であり、1,237例が介入に、1,233例が通常ケアに割り付けられた。合計1,062例(85.9%)の介入患者が登録に同意した。人口統計学的変数はバランスがとれていた。2,470例の患者の年齢中央値は80歳(範囲 76~104歳)で、1,273例(51.5%)が女性であった。人種および民族に関しては、185例(7.5%)がアフリカ系米国人、234例(9.5%)がアジア系または太平洋諸島系、220例(8.9%)がヒスパニック系、1,574例(63.7%)が白人、257例(10.4%)がその他(アメリカンインディアンまたはアラスカ先住民、ネイティブハワイアン、1つ以上の人種または民族を含む)または人種または民族不明であった。追跡期間中、介入群および通常ケア群ともに、調剤された薬剤の数がわずかに減少した(平均変化:それぞれ-0.4、95%CI -0.6 ~ -0.2および-0.4、95%CI -0.6 ~ -0.3)。通常ケア群と介入群では、追跡終了時に老年病の有病率に有意な変化はなく、群間差もなかった(ベースラインの有病率:それぞれ47.7%、95%CI 44.9%〜50.5% vs. 42.9%、95%CI 40.1%〜45.7%;差分 1.0、95%CI -3.5~5.6、P=0.65)。医療サービスの利用や薬物離脱の有害作用に差は認められなかった。
結論と関連性:さまざまな既存の減処方ワークフローを有する統合ケア設定によるこのランダム化臨床試験では、バンドルされたハイパーポリファーマシーの減処方介入は、調剤数の減少、老年症候群の有病率、医療サービスの利用、または有害な薬物離脱影響と関連しなかった。より統合度の低い環境およびより対象を絞った集団における追加研究が必要である。
臨床試験登録:ClinicalTrials.gov. NCT05616689
引用文献
Effectiveness of Bundled Hyperpolypharmacy Deprescribing Compared With Usual Care Among Older Adults: A Randomized Clinical Trial
Lisa J Herrinton et al. PMID: 37428504 PMCID: PMC10334220 DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2023.22505
JAMA Netw Open. 2023 Jul 3;6(7):e2322505. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2023.22505.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37428504/
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