TIDieRチェックリストを用いた抗うつ薬中止試験における漸減法の評価結果は?(系統的レビュー; Int J Clin Pharm. 2023)

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抗うつ薬の漸減方法の詳細について報告されている試験はどのくらいなのか?

抗うつ薬を中止する際の漸減にかかる重要性はますます認識されつつあります。しかしながら、これまでに発表された研究における抗うつ薬の漸減方法の報告について調査した研究はありません。

介入に関する完全な説明が公開されていなければ、臨床医と患者は有用であることが示されている介入を確実に実施することができず、他の研究者は研究結果を再現したり、それに基づいて構築したりすることができません。しかし、出版物における介入の記述の質は著しく悪いようです。報告の完全性、そして最終的には介入の再現性を向上させるために、専門家と関係者の国際グループが介入の説明と複製のテンプレート(Template for Intervention Description and Replication, TIDieR)チェックリストとガイドが開発されました(PMID: 24609605)。

TIDieRチェックリストを使用することで、介入の報告が改善され、査読者や編集者が記述を評価しやすくなり、読者が情報を利用しやすくなることが期待できます。結果として得られる12項目の TIDieR チェックリスト(簡単な名称、なぜ、材料として何を、どのような手順で、誰が、どのように提供したのか、どこで、いつ、どの程度、調整・変更、計画としてどの程度うまくいくか、実際にはどのくらいうまくいくか)は、CONSORT 2010 の声明(項目 5)および SPIRIT 2013 の声明(項目 11)の拡張版として捉えることができます。

今回ご紹介するのは、TIDieRチェックリストを用いて、発表された系統的レビューにおける抗うつ薬の漸減法の報告の完全性を評価した試験の結果です。

本試験では、長期抗うつ薬の使用を中止するアプローチの有効性を検討したコクランの系統的レビューに含まれる研究の二次分析が実施されました。含まれる研究における抗うつ薬漸減法の報告の完全性は、TIDieRチェックリストの12項目を用いて2人の研究者が独立して評価しました。

試験結果から明らかになったことは?

22件の研究が解析に含まれました。

すべてのチェックリスト項目を記述した研究報告はありませんでした。どのような資料が提供されたか(項目3)、テーラーリングが行われたか(項目9)を明確に報告している研究はありませんでした。介入の名称や研究手順(1つの項目)を除いて、残りのチェックリスト項目について明確に報告している研究は少数でした。

TIDieRスコアリングの評価者間の信頼性について検討したところ、Cohen’s κappaは0.452であり、チェックリストの両方の独立した適用間で中等度の一致を示しているが明らかとなりました。さらに、独立した評価者間の相違のほとんどは、研究報告の詳細が不足しているため、「不明確」 vs. 「いいえ」という項目の採点で生じていることが明らかとなりました。これらの評価を統合した結果、評価者間の実質的な一致が得られました(κ=0.72)。

コメント

抗うつ薬の漸減方法について、詳細に記述されている研究報告は限られていますが、正確な把握は困難です。TIDieRの利用から得られる主な利益は、臨床試験が実施された治療方法(介入)を臨床の現場で過不足なく再現できることにありますが、抗うつ薬のの漸減方法の記載の完全性については充分に検討されていません。

さて、TIDieR(タイディアー)を用いたコクランレビューの二次解析の結果、これまでに発表された試験において抗うつ薬の漸減方法に関する詳細な報告が不足していることが明らかとなりました。不十分な報告は、効果的な漸減介入を臨床実践にうまく移行させる可能性だけでなく、既存の介入の再現や適応を妨げる可能性があることから本課題に対処する必要であると考えられます。

介入試験を報告する論文の著者および査読者には、TIDieRの活用が推奨できるかもしれませんが、今回対象となった試験は22報であることから、より大規模な検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ これまでに発表された試験において抗うつ薬の漸減方法に関する詳細な報告が不足していることが明らかになった。不十分な報告は、効果的な漸減介入を臨床実践にうまく移行させる可能性だけでなく、既存の介入の再現や適応を妨げる可能性があることから本課題に対処する必要がある。

次のページに根拠となった論文情報を掲載しています。

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