心血管疾患リスクを有する患者におけるウパダシチニブの安全性は?(DB-RCT; SELECT試験の事後解析; Ann Rheum Dis. 2023)

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JAK阻害薬ウパダシチニブの安全性はどのくらい?

心血管(CV)リスクを少なくとも1つ以上有している50歳以上の関節リウマチ(RA)患者において、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬治療と比較したトファシチニブの重篤な有害事象(AE)リスクの増加が報告されました(ORAL Surveillance)。したがって、トファシチニブ以外の他のJAK阻害薬においても有害事象リスクが増加する可能性があり、リスクベネフィットの評価が求められます。

そこで今回は、同様のRA集団におけるJAK阻害薬ウパダシチニブの潜在的リスクを事後評価した安全性解析結果をご紹介します。

本試験では、6件の第III相試験からプールされた安全性データを用いて、全試験集団およびCVリスクが高い患者のサブセット(50歳以上、CVリスク因子1つ以上)において、ウパダシチニブ15mgを1日1回投与(従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬との併用または非併用)、アダリムマブ40mgを隔週投与しメトトレキサート(MTX)を併用、またはMTX単剤投与を受けた患者のAEを事後評価しました。また、ウパダシチニブ15mgとアダリムマブを比較したhead-to-head試験(SELECT-COMPARE)の高リスク患者を並行して評価しました。

ウパダシチニブまたは比較薬剤への曝露に基づき、治療有害事象の曝露調整発生率がまとめられました。

試験結果から明らかになったことは?

合計3,209例の患者がウパダシチニブ15mgを、579例がアダリムマブを、314例がMTX単剤療法を受けました。患者の約54%が全体およびSELECT-COMPAREの高リスク集団に含まれました。

主要有害心血管イベント(MACE)、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がん(NMSC)を除く)および静脈血栓塞栓症(VTE)は、全集団と比較して高リスクコホートで頻度が高かいことが示されましたが、治療群間で概ね同程度でした。

高リスク集団における重篤な感染症および全集団における帯状疱疹(HZ)およびNMSCの発生率は、ウパダシチニブ15mg投与群で比較群より高かいことが示されました。

コメント

2021年に米国FDAからJAK阻害薬トファシチニブに関する警告が発出されました。市販後調査ORAL surveillanceの結果を受けて、重症な心疾患(MACEなど)、悪性腫瘍、血栓、死亡などのリスクについて警告されています。この結果を踏まえて、バリシチニブ、ウパダシチニブについても、同様のリスクがあるかもしれないとしていました。

さて、事後解析結果によれば、関節リウマチの高リスク集団においてMACE、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がん NMSCを除く)、静脈血栓塞栓症のリスク上昇が認められましたが、リスクはウパダシチニブ治療群とアダリムマブ治療群で同等でした。したがって、関節リウマチそのものが、上記のイベントリスクを上昇させていると考えられます。一方、MNSC及び帯状疱疹の発生率は、全集団において比較薬剤群に対してウパダシチニブ投与群で高く、重篤な感染症の発生率は、心血管リスクの高いウパダシチニブ投与群で高かいことが示されました。

ただし、本試験で解析されたのはウパダシチニブ15mg用量のみであり、30mgや45mgにおけるリスクの程度については不明です。とはいえ、ウパダシチニブ使用によるMNSCや帯状疱疹、(重篤な)感染症リスクの上昇については疑いようのない事実でしょう。心血管疾患及び血栓症リスク上昇の可能性も残存していることから、継続的な安全性モニタリングが求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 関節リウマチの高リスク集団においてMACE、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がん NMSCを除く)、静脈血栓塞栓症のリスク上昇が認められたが、リスクはウパダシチニブ治療群とアダリムマブ治療群で同等であった。NMSC及び帯状疱疹の発生率は、全集団において比較薬剤群に対してウパダシチニブ投与群で高く、重篤な感染症の発生率は、心血管リスクの高いウパダシチニブ投与群で高かった。

根拠となった試験の抄録

目的:心血管(CV)リスクに富んでいる50歳以上の関節リウマチ(RA)患者において、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬治療と比較したトファシチニブの重篤な有害事象(AE)リスクの増加が報告された(ORAL Surveillance)。我々は、同様のRA集団におけるウパダシチニブの潜在的リスクを事後評価した。

方法:6件の第III相試験からプールされた安全性データを用いて、全試験集団およびCVリスクが高い患者のサブセット(50歳以上、CVリスク因子1つ以上)において、ウパダシチニブ15mgを1日1回投与(従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬との併用または非併用)、アダリムマブ40mgを隔週投与しメトトレキサート(MTX)を併用、またはMTX単剤投与を受けた患者のAEを事後評価した。ウパダシチニブ15mgとアダリムマブを比較したhead-to-head試験(SELECT-COMPARE)の高リスク患者を並行して評価した。ウパダシチニブまたは比較薬剤への曝露に基づき、治療有害事象の曝露調整発生率をまとめた。

結果:合計3,209例の患者がウパダシチニブ15mgを、579例がアダリムマブを、314例がMTX単剤療法を受けた。患者の約54%が全体およびSELECT-COMPAREの高リスク集団に含まれた。主要有害心血管イベント(MACE)、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がん(NMSC)を除く)および静脈血栓塞栓症(VTE)は、全集団と比較して高リスクコホートで頻度が高かったが、治療群間で概ね同程度であった。高リスク集団における重篤な感染症および全集団における帯状疱疹(HZ)およびNMSCの発生率は、ウパダシチニブ15mg投与群で比較群より高かった。

結論:RAの高リスク集団でMACE、悪性腫瘍(NMSCを除く)、VTEのリスク上昇が認められたが、リスクはウパダシチニブ治療群とアダリムマブ治療群で同等であった。非黒色腫皮膚がん及び帯状疱疹の発生率は、全集団において比較薬剤に対してウパダシチニブ投与群で高く、重篤な感染症の発生率は、CVリスクの高いウパダシチニブ投与群で高かった。

試験登録番号:NCT02706873、NCT02675426、NCT02629159、NCT02706951、NCT02706847およびNCT03086343

キーワード:抗リウマチ薬、関節炎、心血管疾患、メトトレキサート、腫瘍壊死因子阻害薬

引用文献

Safety profile of upadacitinib in patients at risk of cardiovascular disease: integrated post hoc analysis of the SELECT phase III rheumatoid arthritis clinical programme
Roy Fleischmann et al. PMID: 37308218 DOI: 10.1136/ard-2023-223916
Ann Rheum Dis. 2023 Jun 12;ard-2023-223916. doi: 10.1136/ard-2023-223916. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37308218/

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