2型糖尿病患者におけるオルフォルグリプロン経口投与の効果はどのくらい?(DB-RCT; Lancet. 2023)

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2型糖尿病に対する新規GLP-1受容体作動薬オルフォルグリプロンの効果は?

経口非ペプチド性グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるオルフォルグリプロン(orforglipron)は、2型糖尿病および肥満症治療薬として開発中の新薬候補物質です。本剤のプラセボや既存のGLP-1受容体作動薬との比較は行われていません。

そこで今回は、2型糖尿病患者において、オルフォルグリプロンとプラセボまたはデュラグルチドとの有効性および安全性を比較検討したランダム化比較試験んの結果をご紹介します。

本試験は、26週間の第2相二重盲検ランダム化多施設共同試験であり、米国、ハンガリー、ポーランド、スロバキアの45施設(民間クリニック、病院、研究センター)から参加者を募集しました。メトホルミンの併用または非併用で食事療法と運動療法を受けており、糖化ヘモグロビン(HbA1c)が7.0〜10.5%、BMIが23kg/m2以上で安定している18歳以上の2型糖尿病の成人参加者がランダムに割り付けられ、プラセボ、デュラグルチド1.5mgを週1回投与、またはオルフォルグリプロン3mg、12mg、24mg、36mg(群1)、36mg(群2)、45mg(群1)、45mg(群2)を1日1回投与されました(5:5:5:5:5:3:3:3:3)。36mgと45mgの各コホートについて、2つの異なる用量漸増レジメンが評価されました。参加者は試験薬、デュラグルチド、プラセボについてマスクされました。

本試験の主要評価項目は、26週目におけるオルフォルグリプロンとプラセボのHbA1cのベースラインからの平均変化でした。有効性は、試験薬を少なくとも1回投与されたランダム割付けされた参加者全員を対象とし、試験薬の恒久的中止またはレスキュー薬開始後のデータは除外され解析されました。安全性は、試験治療を少なくとも1回受けたすべての参加者が解析されました。
本試験はClinicalTrials.gov(NCT05048719)に登録され、終了している。

試験結果から明らかになったことは?

2021年9月15日から2022年9月30日の間に、569例の参加者がスクリーニングを受け、383例が登録され、ランダムに各群に割り付けられました。352例(92%)が試験を完了し、303例(79%)が26週間の治療を完了しました。ベースライン時の平均年齢は58.9歳、HbA1cは8.1%、BMIは35.2kg/m2、226例(59%)が男性、157例(41%)が女性でした。

プラセボデュラグルチドオルフォルグリプロン
投与26週目におけるHbA1cの平均変化率-0.43%-1.10%最大 -2.10%
(プラセボ調整後 -1.67%)
推定治療差(vs. プラセボ)-0.8% 〜 -1.7%

投与26週目におけるHbA1cの平均変化率は、プラセボが -0.43%、デュラグルチドが -1.10%であったのに対し、オルフォルグリプロンでは最大 -2.10%(プラセボ調整後 -1.67%)でした。

HbA1cの減少はプラセボに対してオルフォルグリプロンで統計学的に優れていました(推定治療差 -0.8% 〜 -1.7%)。

プラセボデュラグルチドオルフォルグリプロン
26週目の平均体重の変化-2.2kg
(-3.6 ~ -0.7)
-3.9kg
(-5.3 ~ -2.4)
最大 -10.1kg(95%信頼区間 -11.5 ~ -8.7
(プラセボ調整後 7.9kg[-9.9 ~ -5.9])

26週目の平均体重の変化は、プラセボが-2.2kg(-3.6 ~ -0.7)、デュラグルチドが-3.9kg(-5.3 ~ -2.4)であったのに対し、オルフォルグリプロンでは最大 -10.1kg(95%信頼区間 -11.5 ~ -8.7、プラセボ調整後 7.9kg[-9.9 ~ -5.9])でした。

プラセボデュラグルチドオルフォルグリプロン
試験治療下で発現した有害事象の発生率61.8%56.0%61.8%〜88.9%
 軽度から中等度の胃腸障害18.2%34.0%44.1%〜70.4%
 臨床的に有意な低血糖(<54mg/dL [<3mmol/L] )1例3例
 死亡1例
(治療との因果関係は否定された)

試験治療下で発現した有害事象の発生率は、オルフォルグリプロン投与群で61.8%〜88.9%であったのに対し、プラセボ投与群では61.8%、デュラグルチド投与群では56.0%でした。大部分は軽度から中等度の胃腸障害(オルフォルグリプロン投与群 44.1%〜70.4%、プラセボ投与群 18.2%、デュラグルチド投与群 34.0%)でした。

オルフォルグリプロン投与群では3例、デュラグルチド投与群では1例に臨床的に有意な低血糖(<54mg/dL [<3mmol/L] )が認められ、重篤な低血糖を認めた参加者は報告されませんでした。死亡例はプラセボ群で1例であり、試験治療とは無関係でした。

コメント

GLP-1受容体作動薬は血糖降下作用の他、体重減少作用も有してることから、2型糖尿病だけでなく肥満患者に対しても使用されます。しかし、人体への吸収に際して幾つかの課題がありました。経口製剤においては空腹時服用かつ服用後30分間の絶食が必要、注射製剤では経口と比較して侵襲性が高いことです。したがって、経口服用時の条件がより少ないGLP-1受容体作動薬の開発が求められていました。

さて、二重盲検ランダム化デザインの第2相試験において、新規の経口非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロン12mg以上の用量で、プラセボまたはデュラグルチドと比較してHbA1cおよび体重の有意な減少を示しました。ただし、軽度から中等度の胃腸障害はプラセボまたはデュラグルチドよりも多く報告されています。その他の事象も含め、より長期的な有効性・安全性の検証が求められます。

とはいえ、空腹時服用や服用後30分間の絶食がないことは既存薬と比較して、大きなアドバンテージであると考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 第2相試験では、新規の経口非ペプチド性GLP-1受容体作動薬であるオルフォルグリプロンが12mg以上の用量で、プラセボまたはデュラグルチドと比較してHbA1cおよび体重の有意な減少を示した。

次のページに根拠となった論文情報を掲載しています。

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