2型糖尿病患者におけるプロトンポンプ阻害薬の使用と心血管疾患および死亡のリスクとの関連性は?(英国のデータベース研究; J Clin Endocrinol Metab. 2023)

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根拠となった試験の抄録

背景:プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸関連疾患の治療薬として広く使用されているが、腸内細菌叢に影響を与える可能性がある。

目的:2型糖尿病(T2D)患者におけるPPI使用と心血管疾患(CVD)および全死亡のリスクとの関連性を評価することを目的とした。

方法:UK Biobank研究のデータを用いて、19,229例のT2D成人におけるPPI使用と冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)、心不全(HF)、脳卒中、全死亡のリスクとの関連性を分析した。

結果:中央値10.9~11.2年の追跡期間中に、2,971例のCAD、1,827例のMI、1,192例のHF、738例の脳卒中、および2,297例の総死亡が記録された。PPIの使用は、CAD(ハザード比[HR] 1.27、95%CI 1.15〜1.40)、MI(HR 1.34、95%CI 1.18〜1.52)、HF(HR 1.35、95%CI 1.16〜1.57)およびすべての原因死亡率の高さと著しく関連していた(HR 1.30、95%CI 1.16〜1.45)。PPI使用と脳卒中(HR 1.11、95%CI 0.90〜1.36)の間には、統計的に有意な関連は観察されなかった。これらの結果は、PPIの適応、抗糖尿病薬の使用、抗血小板薬の使用などの因子で層別化したサブグループ解析でも一貫していた。PPI使用者と非使用者の1:1傾向スコアマッチコホートでの解析も同様の結果となった。

結論:本データの結果から、PPI使用はT2D患者におけるCVDイベントおよび死亡の高リスクと関連することが示唆された。T2D患者においては、PPI使用の利益とリスクのバランスを慎重に検討し、PPI治療中のCVD有害事象の監視を強化する必要がある。

キーワード:心血管疾患、冠動脈疾患、心不全、死亡率、プロトンポンプ阻害薬、2型糖尿病。

引用文献

Proton Pump Inhibitor Use and Risks of Cardiovascular Disease and Mortality in Patients With Type 2 Diabetes
Tingting Geng et al. PMID: 36573284 DOI: 10.1210/clinem/dgac750
J Clin Endocrinol Metab. 2023 May 17;108(6):e216-e222. doi: 10.1210/clinem/dgac750.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36573284/

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