根拠となった試験の抄録
目的:本研究の目的は、無症候性高尿酸血症者における慢性腎臓病発症リスクに対するベンズブロマロンとアロプリノールの相対的効果を比較することであった。
方法:台湾の200万人の受益者の全請求データを含む2003~2015年の全国データベースを解析し、レトロスペクティブ・コホート研究を実施した。無症候性高尿酸血症は、尿酸降下薬を使用かつ痛風フレアを発症したことがない人と定義された。ベンズブロマロン群では、無症候性高尿酸血症でベンズブロマロン単剤、アロプリノール群では、無症候性高尿酸血症でアロプリノールのみを投与された20~84歳が対象だった。本試験では、最長追跡期間を5年とした。
主要アウトカムは、新たに慢性腎臓病と診断された人と定義した。Cox比例ハザード回帰分析を行い、変数と慢性腎臓病のリスクとの関連を検証した。
結果:傾向スコアマッチングの結果、ベンズブロマロン群 9,107例、アロプリノール群 4,554例が研究対象者となった。研究対象者の約71%は男性であった。平均年齢は56歳であった。慢性腎臓病の発症率は、アロプリノール群よりもベンズブロマロン群で低かった(1.18 vs. 1.99/100人・年、発症率 0.60、95%信頼区間 0.52〜0.68)。Cox比例ハザード回帰分析では、共変数を調整した後、アロプリノール群と比較して、ベンズブロマロン群では慢性腎臓病の発症リスクが低下していた(ハザード比 0.59、95%信頼区間 0.52〜0.67、P<0.001)。
結論:20~84歳の無症候性高尿酸血症患者において、ベンズブロマロンの使用は、アロプリノールの使用と比較して、慢性腎臓病発症のハザードが低いことと関連している。本研究の結果を確認するためには、さらなる研究が必要である。
キーワード:アロプリノール、無症候性高尿酸血症、Benzbromarone、慢性腎臓病
引用文献
Comparison of benzbromarone and allopurinol on the risk of chronic kidney disease in people with asymptomatic hyperuricemia
Shih-Wei Lai et al. PMID: 37127506 DOI: 10.1016/j.ejim.2023.04.025
Eur J Intern Med. 2023 Apr 29;S0953-6205(23)00136-X. doi: 10.1016/j.ejim.2023.04.025. Online ahead of print.
— 読み進める www.ejinme.com/article/S0953-6205(23)00136-X/fulltext
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