12歳以上のワクチン未接種者およびワクチン接種者におけるCOVID-19罹患率および死亡率の比較(CDC; MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023)

covid vaccine on pink surface 09_感染症
Photo by Thirdman on Pexels.com
この記事は約6分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

COVID-19ワクチンを接種することで得られる恩恵はどのくらいなのか?

2022年9月1日、CDCは、12歳以上(※その後、生後6ヵ月以上まで拡大)の患者に対して、前回のワクチン接種により低下した予防効果を回復させ、出現した変異株に対する予防効果を拡大するために、最新の二価COVID-19ワクチンのブースターを推奨しました。これはワクチン承認時の臨床試験やリアルワールドデータなどの結果に基づいています。しかし、SARS-CoV-2は容易に変異することから、定期的にワクチン接種により得られる効果を検証する必要があります。

そこで今回は、COVID-19のオリジナルワクチン(一価)と二価のブースター接種の影響を評価するため、デルタ変異株とオミクロン変異株(BA.1、BA.2、初期 BA.4/BA.5、後期 BA.4/BA.5) の流行時期にブースターワクチン(一価または二価)の全接種状況と接種後の時間別に12歳以上の未接種者と接種者を比較して、COVID-19発症率と死亡率比(RR)を検証した米国疾病予防管理センター(CDC)のMMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

BA.4/BA.5後期において、COVID-19の死亡率および感染率は、ワクチン未接種者が二価ワクチン接種者(死亡率RR 14.1、感染率RR 2.8)より高く、一価ワクチン接種者(死亡率RR 5.4、感染率RR 2.5)より低率でした。

高齢者において、ワクチン未接種者の死亡率は、二価ブースター接種者(65~79歳:RR 23.7、80歳以上:RR 10.3)または一価ブースター接種者(65~79歳:RR 8.3、80歳以上:RR 4.2)に比べて有意に高いことが明らかとなりました。

ブースター接種後の期間で層別化した第2解析では、2週間から2ヵ月以内に一価ブースター接種を受けた人と比較して、未接種者のCOVID-19相対死亡率はデルタ変異株の流行期(RR 50.7)からBA.4/BA.5初期(RR 7.4)へ徐々に低下していました。

BA.4/BA.5前期では、一価ブースター接種後6〜8ヵ月(RR 4.6)、9〜11ヵ月(RR 4.5)、12ヵ月以上(RR 2.5)で相対死亡率の低下が観察されましたが、BA.4/BA.5後期では、2週間から2ヵ月前に受けた2価のブースターの方が死亡予防効果が高いことが明らかとなりました(RR 15.2)。

コメント

SARS-CoV-2によるCOVID-19の流行は続いており、時期により流行する変異株が異なるという特徴があります。したがって根絶することは難しく、インフルエンザのように、基本的な感染予防対策を実施し、共存していく必要がありそうです。

感染予防対策の一つであるワクチンについて、COVID-19罹患、そして死亡リスクに対してワクチン接種が有効であることが報告されています。しかし、流行する変異株により得られるCOVID-19ワクチンの効果が異なるため、定期的に検証する必要があります。

さて、本試験結果によれば、ワクチン未接種者と比較すると、二価のブースター接種を受けた人は、一価接種または一価ブースター接種を受けた人よりも死亡に対する保護が強化されていました。特に死亡予防効果は高齢者で最も高いことが示されました。

定期的な接種が求められます。

続報に期待。

※ちなみにワクチンによる集団免疫を獲得するためには、人類の60%以上の接種が必要と試算されていましたが、SARS-CoV2の変異により、この試算も再度検討する必要があります。

person holding a vaccine vial

☑まとめ☑ ワクチン未接種者と比較すると、二価のブースター接種を受けた人は、一価接種または一価ブースター接種を受けた人よりも死亡に対する保護が強化されていた。死亡予防効果は高齢者で最も高かった。COVID-19の重症化リスクを低減するために、対象者は二価ブースター接種を含め、すべての人がCOVID-19のワクチン接種を最新の状態に保つ必要がある。

根拠となった試験の抄録

背景:2022年9月1日、CDCは、12歳以上(その後、生後6ヵ月以上まで拡大)の患者に対して、前回のワクチン接種により低下した予防効果を回復させ、出現した変異株に対する予防効果を拡大するために、最新の(二価)COVID-19ワクチンのブースターを推奨した。*

方法:COVID-19のオリジナルワクチン(一価)と二価のブースターの影響を評価するため、デルタ変異株とオミクロン変異株(BA.1、BA.2、初期 BA.4/BA.5、後期 BA.4/BA.5) 優勢の時期にブースターワクチン(一価または二価)の全接種状況と接種後の時間別に12歳以上の未接種者と接種者を比較して、発症率と死亡率比(RR)を算出した。†

結果:BA.4/BA.5後期において、COVID-19の死亡率および感染率は、ワクチン未接種者が二価ワクチン接種者(死亡率RR 14.1、感染率RR 2.8)より高く、一価ワクチン接種者(死亡率RR 5.4、感染率RR 2.5)より低率であった。高齢者では、ワクチン未接種者の死亡率は、二価ブースター接種者(65~79歳:RR 23.7、80歳以上:RR 10.3)または一価ブースター接種者(65~79歳:RR 8.3、80歳以上:RR 4.2)に比べて有意に高かった。ブースター接種後の期間で層別した2番目の解析では、2週間から2ヵ月以内に一価ブースター接種を受けた人と比較して、未接種者のCOVID-19相対死亡率はデルタ変異株の流行期(RR 50.7)からBA.4/BA.5初期(RR 7.4)へ徐々に低下していた。BA.4/BA.5前期では、一価ブースター接種後6〜8ヵ月(RR 4.6)、9〜11ヵ月(RR 4.5)、12ヵ月以上(RR 2.5)で相対死亡率の低下が観察された。一方、BA.4/BA.5後期では、2週間から2ヵ月前に受けた2価のブースターの方が死亡予防効果が高かった(RR 15.2)。

考察:どちらの解析でも、ワクチン未接種者と比較すると、二価のブースター接種を受けた人は、一価接種または一価ブースター接種を受けた人よりも死亡に対する保護が強化されていた。死亡予防効果は高齢者で最も高かった。COVID-19の重症化リスクを低減するために、対象者は二価ブースター接種を含め、すべての人がCOVID-19のワクチン接種を最新の状態に保つ必要がある。

引用文献

COVID-19 Incidence and Mortality Among Unvaccinated and Vaccinated Persons Aged ≥12 Years by Receipt of Bivalent Booster Doses and Time Since Vaccination – 24 U.S. Jurisdictions, October 3, 2021-December 24, 2022
Amelia G Johnson et al. PMID: 36757865 PMCID: PMC9925136 DOI: 10.15585/mmwr.mm7206a3
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023 Feb 10;72(6):145-152. doi: 10.15585/mmwr.mm7206a3.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36757865/

コメント

タイトルとURLをコピーしました